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第4楽章〜指と舌の使い方

僕が音楽室の扉を開けると、そこからはもうピアノの音が聞こえていた。

指の動きが見えない・・・・早いなぁ。

指が取れちゃうんじゃないか、って思うほどに、委員長の指は動き回っていた。

弾き終わったようで、委員長はぐったりとピアノに倒れた。

「すごぉい。」

「何がだ?」

「何がって・・・・委員長がだよ。僕だったら、こんなに指動かせないもん。」

「鍛えたからなぁ。あらゆる方法で。」

「あらゆる方法・・・・・?」

委員長はにやっと唇の端を吊り上げた。

「ちなみに、舌も器用だ。」

「へぇ。でもさ、舌なんて鍛えたって、意味ないじゃん。」

「役立つぞ?いろいろと。」

「いろいろ・・・・・?」

裏委員長の言葉には、必ず何か含みがあるんだ。

僕がどうしてもわからないって思っても、絶対に教えてくれないし。

「そういえば、さっき弾いてた曲の曲名は?」

「ベートーヴェン『ピアノソナタ『月光』』だ。聞いたことないか?」

「うーん、僕、ピアノあんまり詳しくないんだよね。」

僕の答えを聞こうともせず、楽譜をぺらぺらとめくり始める委員長。

「ねぇ、ちょっと聞いてる?」

「聞いてない。」

何なんだよ!と、言ってしまうところだった。

いや、言ってよかったかも知れない・・・けど、裏だとはいえ委員長に言うのはなんか・・・ねぇ。

でも、聞いておいてさあ・・・・それはないんじゃないの!

「もういいっ!」

「・・・・教えてやろうか?」

「え!?」

「指と舌の・・・鍛え方と、その利用方法を、さ。」

「いや、別に対して興味ないし。」

ばっと立ったと思ったら、委員長は僕の髪の毛を指先で弄り始めた。

くすぐったくて、追い返そうとすると・・・あれ?びくともしない・・・・。

委員長って・・・こんなにいい体してたっけ?

つん、と僕の鼻先をつついて、くっと委員長は笑った。

「まだ、早いか。」

「な、何がだよー!」

「別に?」

「ふん、もういいよ!」

やっぱり、僕、委員長のこと結構好きかも。当然、友達として。

ちょっと何考えているか分からなくなることもあるけど、一緒にいて楽しいし。



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