永遠にしりとりしていたい!3
私、三原カナは、どこにでもいるようないたって普通の女子高校生。
隣の席の島地くんが好きなんだけど、想いを伝えるなんて難しいから、なんだかんだでまだ友達みたいな関係を続けているんだ。
きっとずっとこのままで……いつか終わりが来るんだろうなって思うこともあるけど、でも、今ここに在る時間を大切にしたいよね。
「おはよう、島地くん」
「あ、おはよう」
なんてことのない挨拶を交わして、また新しい一日が始まる。
窓の外では鳥が軽やかに鳴いて朝を告げていた。
「ねえ、今日も……」
「しりとりだよね」
「うん! よかったら、しよ! しりとり」
すると島地くんは「いいよ」と頷いてくれた。
「じゃあこっちからね! うーんと……落書き!」
「生真面目、かな」
「メダカ!」
「かす汁、かな」
「累進課税!」
「インバウンド客、だね」
「草刈り!」
「理不尽な説教、だね」
「浮世絵!」
今日も始まる穏やかなしりとりタイム。
ただしりとりをするだけ。
それ以上でもそれ以下でもない。
でもそれが愛おしい。
いつかはもっと距離を縮めたいなぁ、なんて思いつつも、そんなのは叶わない夢だから……既に手にできているものに感謝して生きていこうと思ってるんだ。
「絵馬、とか」
「前!」
「枝豆、とか」
「メジロ!」
島地くんとならどこまでだって行ける。
……しりとりという意味で。
「ロックバンド、かな」
「どんぶり!」
「凛々しい、かな」
「イマジネーションを働かせる!」
「ルアー、だね」
二人の世界、二人のしりとり、それを止められる者なんてどこにもいない。
少なくとも今は二人だけの世界の中に在る。
「暗黒!」
「黒い犬、だね」
「縫い物!」
「ノック忘れ、とか」
「連帯感を大事に!」
「西日、とか」
「ビンタ!」
「たまねぎ、かな」
「義理の母!」
「ハーモニー、かな」
「にんじんジュース!」
「すき焼き、だね」
「絶対美味しいやつ……! えーと、そしたら次は……金歯?」
「バイト、だね」
金歯、は、さすがにちょっと何か言ってくれるかと思ったけど、島地くんは何も言ってくれなかったな……ちょっと残念。
でもいいんだ!
こうしてしりとりできていることが大事だから!
好きな人と上手く関わるって難しい。
だから私はできることをしていたい。
好き、とか、愛してる、とか、そういう感情がすべてだとは思わないから。
そんないかにもな名前の感情だけでしか絆を築けないわけじゃないって、証明してみせるよ! しりとりで、ね!
◆終わり◆




