表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/106

私の野望(幼馴染視点)

「まずはカラオケに行こう!」


私はしょうちゃんと一緒に、たくさんのお店が並ぶ駅前へと向かった。


恋人関係を解消してから、こうして休日にしょうちゃんと出かけるのは、もしかしたら初めてかもしれない。


※※※


久しぶりのしょうちゃんとのお出かけ。私はこれをデートだと思っている。


しょうちゃんは「キラキラ感」の検証だとか言っていたけど、カラオケにクレープ、どう考えてもデートだ。デートといったらデートだ。


でも……しょうちゃんはどう思っているんだろう。気になって、思い切って聞いてみた。


「これって、デートかな?」


「ん、ああ。デートだろうな」


「ネムちゃんと出かけたときも、デートだった?」


ネムちゃんと二人の時のしょうちゃんって、どんな風なんだろう?


「あれは……デートっていうより、一緒にコンビニに買い出しに行くみたいな感じだったな」


「ほら、あいつ、いつも同じ服着てるじゃん?実際は同じ服を何着も持ってるだけなんだろうけど、特別感はないよな」


「でも千穂は違うよ。今日もおしゃれで可愛いし、なんかキラキラしてる」


「か、可愛い?……えへへへ……」


しょうちゃんに、可愛いと言われて嬉しくて仕方ない。だらしない照れ笑いが漏れ出てしまう私だった。


※※※


カラオケでは、いろんな曲に挑戦した。しょうちゃんは最近のヒット曲には疎いみたいで、なぜか童謡ばかりを選んでいた。「ぞうさん」や「チューリップ」を真剣な顔で歌うしょうちゃんは、思わず笑ってしまうほど可愛かった。その姿をしっかり動画に収めたので、これから毎晩の癒しにしようと思う。


私も最新の曲にはあまり詳しくないけれど、しょうちゃんほどではない。二人で一緒に歌えそうな曲を選んで、デュエットした。歌っているとき、ふと肩が触れ合うたびに胸が高鳴った。本当に、夢のような幸せな時間だった。


※※※


カラオケの後、私たちは公園に出ているキッチンカーへ向かった。色とりどりのクレープが並んでいて、どれにしようか迷ってしまう。


どれにしようか何度も迷った末、私は甘酸っぱいイチゴのクレープを、しょうちゃんは定番のチョコバナナクレープを選んだ。


「しょうちゃんのクレープ、美味しそうだね」


「ん?食べてみる?」


しょうちゃんは、自然な仕草で自分のクレープを私の方に差し出してくれる。


「う、うん。ありがとう。しょうちゃんも、私のクレープ食べてみる?」


「お、それも美味しそうだと思ってた。サンキュー。」


しょうちゃんは、ためらいもなく私のクレープにかぶりついた。その無防備な姿が、なんだかすごく可愛い。


私も、しょうちゃんのクレープにそっと口をつける。甘さが口いっぱいに広がって、今までで一番美味しく感じた。


……これって、間接キスだよね。えへへへ……


※※※


ネムちゃんには本当に感謝している。今回デートに行くきっかけを作ってくれたのは、間違いなく彼女だ。


最初、ネムちゃんと仲良くなろうと思ったのは、正直なところ打算的な気持ちだった。しょうちゃんと一緒にいるためには、正妻であるネムちゃんに気に入られなきゃいけない、そんな風に考えていた。


でも、実際に二人を見ていると、しょうちゃんとネムちゃんの関係は、私が想像していたような恋愛的なものではなかった。お互いに相手から好かれようとする素振りが全くないし、私としょうちゃんが話していても、ネムちゃんは全然気にしていないことも多い。もし本当に好きなら、そんな態度はとらないはずなのに。


それでも、しょうちゃんとネムちゃんの間には、私の知らない深い繋がりがあるように感じる。まるで、言葉にしなくても通じ合っている空気がある。阿吽の呼吸、というのがぴったりかもしれない。共同研究者というのは、そういうものなのだろうか?


二人の会話は、私にはよく分からないことが多い。専門用語が多いから理解できないというわけでなく、誰か私の知らない人について話をしているような感じだ。しょうちゃんの会社のVTuberさんの話かな?とも思うけど、それだけじゃない気がする。二人のことを理解するには、まだ私が知らない大きなピースがあるのかもしれない。


それに、しょうちゃんもネムちゃんも、よく独り言を口にする。気になって「独り言多いね」と聞いてみたら、「ひとりの時間が長いと自然と増えるんだよ」と笑っていた。確かに、そういうものなのかもしれない。


でも、二人の独り言には「折り紙」という単語がよく出てくるのが不思議だ。もしかして、二人の研究は折り紙と関係があるのかな?本当はもっと詳しく聞いてみたいけれど、私が踏み込んではいけない領域のような気がして、なかなか聞けずにいる。


いつか教えてくれると言っていたから、その日を楽しみに、今はそっと見守ることにしよう。


※※※


ネムちゃんは、私の作ったご飯を本当に美味しそうに食べてくれる。その姿を見るたび、胸がきゅんとする。


年上のはずなのに、私よりずっと小さくて、まるで妹みたいに可愛い。ご飯を食べているときは、ニコニコしながら私を見上げて、「おいしいな、おいしいな」と子供のように喜んでくれる。その無邪気な笑顔がたまらなく愛おしい。正直、しょうちゃんの次に可愛いと思ってしまう。


本音を言えば、ずっとこのまま、しょうちゃんとネムちゃんと三人で暮らしていけたらいいのにと思う。ネムちゃんがどう思っているのかは分からないけれど、私は心からそう願っている。


いつか、二人でしょうちゃんの子供を産んで、本当の家族になりたい。もう、道徳とか倫理観なんて気にしない。ただ、みんなで一緒に幸せになりたい。それが私の野望だ。


※※※


デートから数日後、私にとって信じられないほど幸せな出来事が起きた。


いつものように、しょうちゃんの家で一緒にご飯を食べ、帰り道を送ってもらっていたときのこと。


ふいに、しょうちゃんが立ち止まり、私の方をまっすぐ見つめて言った。


「俺、千穂のこと絶対に手放さないから。少しだけ待っててくれる?」


その言葉と同時に、しょうちゃんは私をぎゅっと強く抱きしめてくれた。顔が触れ合いそうなほど近くで、真剣な眼差しを向けてくる。そのまま、何も言わずにくるりと背を向けて歩き出してしまった。


私はその場に立ち尽くし、しばらく動けなかった。まるで夢を見ているみたいだった。しょうちゃんからこんな言葉をもらえるなんて思っていなかったし、もう一度抱きしめてもらえるなんて想像もしていなかった。裏切り者の私なのに、しょうちゃんは本当に優しくて、心が広い。私はなんて幸せなんだろう。


「待ってて」と言われたから、私はいつまでも待つ。どれだけでも、しょうちゃんのことを信じて。


ふわぁ……本当に、幸せすぎてどうにかなりそう……えへへへへ……


もし気に入っていただけたら、【ブックマーク】と【下の評価 ★★★★★】をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ