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ネムにプロポーズ

ネムはソファの上で、無防備にお腹を出して、幸せそうに眠っている。Tシャツがめくれ上がり、柔らかそうな白いお腹と小さなおへそが丸見えだ。


まるで夏休みの昼下がり、宿題もせずに昼寝している子どものようだった。彼女の胸はゆっくりと上下し、口元にはよだれが少しだけのぞいている。


……本当に、こいつは俺のことが好きなんだろうか?俺の存在なんて気にも留めていないように見えるんだけど。もしかして、千穂の勘違いだったりしないか?俺が勝手に舞い上がっているだけなんじゃないか?


そんなことを考えつつ、俺はそっとネムのお腹にタオルケットをかけてやった。こんなヘソ丸出しで寝ていたら、お腹が冷えてしまうだろう。風邪をひいてしまうかもしれない。


※※※


さて、プロポーズはどうしよう?


寝ているネムを無理やり起こしてプロポーズするのは、さすがに違う気がした。せっかく気持ちよさそうに寝ているのに、起こすのも忍びない。ここは、ネムが自然に目を覚ますまで待つしかないか。仕方ない、プロポーズは後にしよう。


俺はネムの隣にそっと腰を下ろし、リビングの天井を見上げながら、オリガミに声をかけた。


「なあ、オリガミ。プロポーズって、どうやるのが正解なんだ?」


天井に埋め込まれたスピーカーから、オリガミの涼やかで落ち着いた声が響く。


『プロポーズですか?一般的には、婚約指輪を用意して、思い出の場所や雰囲気の良い場所で「結婚してください」と伝えるのが王道かと思います。』


「やっぱり指輪は必要なんだな」


『はい、お兄様。多くの場合、婚約指輪は重要なアイテムとされています。女性にとっては特別な意味を持つことが多いですし、記念にもなりますから。』


「俺……千穂には指輪なしでプロポーズしちゃったよ」


『大丈夫ですよ。後からでも指輪を渡せば、千穂さんならきっと喜んでくださいます。私が保証します。千穂さんは、お兄様の気持ちを一番大切にされる方ですから。分かってくれますよ。』


「そうか……じゃあ、今度二人の婚約指輪を買いに行こかな」


「あ、でも……指輪がないけど、今日中にネムにもプロポーズしようと思う。あんまり日を空けると、うやむやにされそうだし。千穂とも約束したしな」


『それが良いと思います。一夫多妻は、全ての妻を同じように大切にすることが、うまくいく秘訣だと聞きますから。ネムさんにも、早いうちに、しっかりと伝えておいたほうがいいでしょうね。』


そんな会話をしていると、ネムが体がピクリと動いた。どうやら、そろそろ目覚めのときのようだ。


※※※


「むにゃむにゃ、パラメーター……組み込むぅ……畳み込み演算……」


ネムは目を閉じて寝言をつぶやいている。どうやら夢の中でもプログラムや数式と格闘しているらしい。実にネムらしい。彼女の頬にかかった髪をそっと指で払うと、ネムは少しずつと目を開いていった。


「……あ、あれ?……おうじさま?……およめさんに……はっ!」


「ネム、起きた?……おうじさまってなに?」


「ファッ!」


ネムは突然、変な声を上げて、勢いよくソファから跳ね起きた。目をぱちくりさせて、状況が飲み込めていない様子だ。そのリアクションが漫画みたいで、面白い。ファッ!なんて、現実で言う人を初めて見た。


「なななな……なんで正太郎がここにいるんだよ!」


「いや、ネムにプロポーズしようと思ってさ。でも寝てたから、起きるまでずっと顔を見てた。寝顔、すごく可愛かったぞ?ネムって、やっぱり顔立ち整ってるよな」


「プロッ!?プロッ!?……」


ネムは口をパクパクさせている。水面に顔を出す鯉のようだ。


「そう、プロポーズ。ちゃんと俺の口からネムに伝えたかったんだ」


「そそそそ、そうだな!口頭で伝えるのは大切だな!何事も!勘違いとかあるからな!」


「そうだよな。では、改めまして――」


俺はソファに座るネムの右手を両手で包み、ゆっくりと片膝をついた。ネムは驚きと緊張でアワアワしている。俺は彼女の瞳をしっかりと見つめ、真剣に言葉を紡いだ。


「ネム。俺と結婚してください。俺の家族になってくれませんか?絶対に幸せにします」


その瞬間、ネムはポカーンと口を開けて、信じられないという顔で俺を見つめてきた。大きな瞳が揺れ、頬がみるみるうちに赤く染まっていく。俺の言葉が、少しずつネムの心に染み込んでいっているような感じだ。


やがて、ネムは恥ずかしそうに視線をそらし、耳まで真っ赤になりながら、もじもじと呟いた。


「……そ、そうか……ま、まあ、仕方ないな!正太郎がどうしてもって言うなら、仕方ないよな!」


「そうだよ。どうしてもだ。じゃあ、これからは研究開発や仕事だけじゃなくて、俺のお嫁さんとしてもよろしく頼むな!」


俺がそう言うと、ネムは照れくさそうに視線をそらしたまま、静かにうなずいてくれた。


ネムは、恥ずかしそうに小さな声でつぶやいた。


「……よろしく、正太郎」


「ああ。こちらこそよろしく。ネム」


※※※


こうして、俺はネムにもきちんとプロポーズをして、彼女からも返事をもらうことができた。


まさか一日のうちに、二人の女性にプロポーズすることになるなんて、今朝の自分には想像もできなかった。千穂とネム、二人とも俺の大切な婚約者になった。本当にこれでいいのかという気持ちはまだあるが、もう突き進むしかない。


さて。俺たちの幸せを掴むためにも「特待パートナー計画」は絶対に成功させなければならない。世論を動かし、政界に食い込むことは「オリガミ神化計画」にとっても避けては通れない重要なステップだろう。今回の件、ちょうどいいタイミングだったのかもしれない。


さあ、これからまた忙しくなりそうだ。頑張るぞ!

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