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語るよ佐井田さん。—記憶の波にさらわれて—  作者: 猫田笑吉


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11/11

第11話:記憶が飛んだ朝、記録が残った朝

昨夜の飲み会で起きた、ちょっと不思議で笑える出来事――。

翔子の頭にはまだ昨夜の余韻が残る。

味噌汁と恋の残像、そして佐井田のズレた優しさを、どうぞ楽しんでください。

翌朝。

翔子は見知らぬ天井を見つめて呻いた。

「うぅ……頭いてぇ……私、昨日何杯飲んだんだろ……?」


すると横から声。

「八杯目で“味噌汁乾杯!”って言ってたわよ」


「ひゃっ!?」

布団の隣に座っていたのは、にこやかな佐井田茜。

完璧に化粧も整って、朝の光を優雅に浴びていた。


翔子「さ、佐井田さん!? な、なんで!?」

佐井田「心配だったから。あなた、カラオケで“松尾さぁ〜ん”ってマイク抱えて寝たのよ」

翔子「うわあああああ!!!」


佐井田「……でも、安心して。全部、動画で記録してあるから」

翔子「いらない! その記憶消して!」


佐井田「もったいないわ。恋の成長記録よ。

 最初の『味噌汁こぼれてますよ』から、

 昨日の『味噌汁乾杯!』まで、見事なストーリー展開じゃない」


翔子「私の恋、汁まみれじゃないっすか!」


佐井田「翔子ちゃん、恋はね――具が多いほうが美味しいのよ」

翔子「いや例えぇぇぇ!!!」


二人の笑い声が響く部屋で、

翔子はそっと思った。

(……でも、あの人の笑顔、ちゃんと覚えてる)


その記憶だけは、動画なんかより鮮やかに、

翔子の胸の中に焼きついていた。

恋の記録は、時に動画よりも鮮やかに心に刻まれるもの。

翔子の胸には、昨夜の出来事がほんのり温かく残った。

日常はまた戻るけれど、恋の余韻はそっと心を揺らし続ける――。

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