第10話:飲み会アシスト作戦!味噌汁の妖精を追え
第10話では、佐井田さんが翔子の恋愛アシストに挑戦します。
居酒屋のざわめきの中で、笑いと小さな駆け引きが交錯する――
恋も味噌汁も、少し具だくさんがちょうどいい。そんな物語です。
その夜。
居酒屋「魚神」に、笑い声と焼き鳥の匂いが漂っていた。
「佐井田さん、こっちです!」
翔子が手を振る。
カウンターの奥では、あの“味噌汁の妖精”こと、営業の松尾さん(32)が笑っていた。
佐井田はすっと座る。
「作戦開始ね」
翔子「はい……って、作戦なんですかこれ」
佐井田「もちろん。恋愛アシストには段取りが必要なの」
ポケットから小さなメモ帳を出す。
『観察対象:松尾。笑うと犬っぽい。弱点:味噌汁。』
翔子「どこからの情報ですかそれ」
佐井田「動画記憶。3日前の昼食シーンより抜粋」
翔子「盗撮みたいに言わないでください!」
松尾「翔子さん、飲みます?」
翔子「あっ、あ、はい!ありがとうございますっ!」
佐井田(小声で)「目をそらさない、翔子ちゃん。相手の瞳に3秒、心を映すの」
翔子「そんなに長く見たら照れます!」
佐井田「じゃあ2.8秒」
翔子「誤差!」
松尾「はは、どうしたんです?二人で理科の話でもしてました?」
翔子「あっいえ!味噌汁の濃度の話を!」
松尾「……?」
佐井田「翔子ちゃん、落ち着いて。恋は味噌汁じゃないのよ、具だくさんにしちゃダメ」
翔子「何の例え!?」
――場が少し和む。
松尾が笑った。翔子もつられて笑う。
その瞬間、佐井田はそっと呟く。
「……いいわね、その顔。ちゃんと“動画に残る恋”になってる」
翔子「えっ?」
佐井田「恋は記録じゃなく記憶。でも、あなたの今の表情――多分、私の中の永久保存版よ」
翔子は赤くなった。
「佐井田さん……それ、ちょっと反則っす」
佐井田「ふふ。恋って、だいたい反則よ」
――夜は、赤飯色に染まっていった。
第10話を読んでくださり、ありがとうございます。
佐井田さんのアシスト術は、今日も絶妙でした。笑いの中にある小さな恋の芽は、次にどう育つのでしょうか。
次回もお楽しみに。




