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語るよ佐井田さん。—記憶の波にさらわれて—  作者: 猫田笑吉


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『赤飯の記憶 ― 第一話 ごまの落ちる音 ―』

初めまして、猫田笑吉です。

この作品は、特殊な記憶能力を持つ佐井田さんと、

ツッコミの声がやたらデカい後輩・翔子が、休憩室で語る日常コメディです。

肩の力を抜いて読んでいただけたら嬉しいです。

ここは、とある赤飯製造工場の休憩室。


スチール椅子が、ぎしっと鳴る。

昼休みの工場は、湯気と味噌汁の匂いで満たされていた。


佐井田茜(38)は、紙コップのほうじ茶を両手で包みながら、静かに息をついた。

一度見た光景を“動画として記憶する”能力を持つ、ちょっとズレたベテラン社員である。


向かいには後輩の風間翔子(28)がドサッと腰を下ろす。

ツッコミの声が無駄にでかい、元気で単純な後輩だ。


「佐井田さん、ちょっといいスか」


「なに?」


「佐井田さんって、なんで“ごま振り専任”なんですか?」


ほうじ茶がぴたりと止まった。


「……才能よ」


「即答ー! いや、違うでしょ絶対! ウチの会社、新人は全員“赤飯炊き担当”から始めるんですよ!? なのに佐井田さんだけ最初から“ごま振り”だなんておかしくないですか!?」


「だから言ってるじゃない。才能よ」


「いやいやいや! “才能”で炊飯器の前線回避した人初めて見ましたよ! どんな才能ですか!? ごまの気持ちが分かるとか!?」


佐井田は真顔でうなずいた。


「……分かるわ」


「分かるんかい!! どういう感性してるんスか!」


翔子がテーブルを叩く。

しかし佐井田は真剣そのもの。


「あなた、知らないでしょ……赤飯炊き場の恐怖を」


翔子が一瞬だけ黙る。


「……え、そんなヤバいんスか?」


「ええ。動画で覚えてるから、もう消えないのよ。

赤飯の釜が――爆発した日のこともね」


「爆発したんかい!! 赤飯って平和な顔してるくせに物騒すぎるでしょ!!」


佐井田はしみじみとうなずく。


「その日から、私は“ごま”しか振らなくなったの。

ごまは……爆発しないから」


「当たり前だわ!! ごまと赤飯を同じ爆発物みたいに扱うな!!」


翔子の声が休憩室に響き、湯気が揺れた。


佐井田はふっと笑って、髪をかき上げた。


「まあ、そういうわけで……今日もごまを振るわ」


「いや締めたけど!!

全然締まってないですよ!?

理由ズレすぎでしょ!!」


二人のツッコミとズレた会話は、今日も工場の休憩室にこだまする。


読んでいただきありがとうございます!

初回なので短めですが、佐井田の“ズレ”と翔子の“ツッコミ力”を楽しんでいただけたら幸いです。

次話では、佐井田の意外な過去がもう少し明らかになります。

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