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日本神話の大団円  作者: ナゴヤハシ
3/15

第3話 こんにちは徳島!!


4月25日(金) 正午


 ――――徳島――賀茂神社――

 

2人は目的地に到着したのだった。


清津は車の中でうたた寝していた。


七寿「清ちゃん起きて!着いたよ」ぺしぺし

清津「ん……ん?」

七寿「随分熟睡してたな」

清津「あ……ついたのか、、鳴門の渦潮見えなかった」

七寿「アレは見なくてもいい」


 七寿は少し声を低くして言った。


清津「ん?」

七寿「なんでもないよ、ほら、降りるよ」


 2人は車から降りて賀茂神社の敷地内に入り、本堂に入るための鳥居をくぐろうとした時。


??「おや?観光客の方々ですか?」


 2人の後ろから低く落ち着いた声が聞こえた、振り返ると偉く美丈夫な男性が竹箒を持って佇んでいた。


桃木「失礼、私は桃木剣矢と申します。この神社の神主をしております。」

清津「ご、ご丁寧にどうも」

七寿「偉いね清ちゃん、ありがとうございます。でもなんで神主さんがここに?」


桃木は屈託のない笑みで答えた。


桃木「参拝客の皆様が只今禊の儀式を行っておりますので」

七寿「ここに禊の為の水なんてあるのか?」


 先程と同様に七寿はまた声を低くして聞いた


清津「(ななちゃん先生、今日なんか機嫌悪い?)」

桃木「はは、確かにそうですね、ですが、この神社には清流が流れていますので……」


 七寿は桃木の言葉を遮りながら聞いた


七寿「明神川か?」

桃木「よくご存知ですね」

七寿「清ちゃん、不味い」

清津「え?」

七寿「明神川は街中にも流れているが、ここは神社の境内だ、神の力も溶け込みやすい、そんな水で禊なんてしてみろ」

桃木「はい、確実に意富加牟豆美命様の神域に皆様の魂が引き込まれやすくなります!ニコッ」


 桃木は七寿や清津が暗い雰囲気を出しているのにもかかわらず、明るい声で話したのだ、まるで何も感じていない、いや、喜んでいるように。そして、続けた


桃木「ですが驚きました、まさか………………恵比寿様と瀬織津姫様が来て下さるなんて!」





 清津「………………あ」

 七寿「最悪…」




桃木「恵比寿様はご存知だったでしょう?私の事を」

七寿「御霊までいちいち見ねぇよ」

清津「ななちゃん先生…、何こいつ」

七寿「桃ちゃんの分霊」

桃木「ははっ、どうやら瀬織津姫様は未だに記憶が無いご様子、嘆かわしいことです。まぁ、それも無理はありませんか」

七寿「清ちゃん、分霊ってのは神様の霊力を使って作ったもう1つの小さな神のことだ」

清津「貴方は……ホントに分霊なんすか?」

桃木「ええ、貴方様こそ記憶が無いのでしょうが神ですよ?」

清津「っ……」

七寿「な、言ったろ?」

桃木「さて、どうしましょう?主様(意富加牟豆美命)をお呼びしますか?」

七寿「後でいい、それより、あの信者たちどうすんの?」

桃木「まだ信仰を途絶えさせる訳にはゆいませんので、神隠しをする予定は内容ですよ」


桃木は箒をサッサッサッとはきながらキチンと丁寧に教えた


七寿「じゃあいいや」

清津「え、いいのか?」

七寿「人にはね、縋らなきゃ生きていけない奴もいるし、それで神が喜ぶんだから一石二鳥じゃん。無理に変える必要は無い」


清津は少し目を背けガチに言った


清津「でも、その分神は働くんだろ?」

七寿「元から与えられた役目だし、縋られたらどんな形でも叶えるようにするのが神だ」

清津「……でもよぉ流石に信者なんて」

七寿「たしかに、あんな大勢の信者は流石にダメだ」

清津「流石にそうだよな」

七寿「お前、人は減らしとけよ」


ビシッと、桃木を指先で言った


桃木「私の一存では決められませんが、意富加牟豆美命様には恐らく伝わっていますので!」


尚、桃木は今だ屈託のない笑みで箒を動かしている。


清津「よ、よろしくお願いします」

七寿「ま、ここに来て早々に彼奴に会わせたりしねぇよ、清ちゃんは境内を見て回ってて、俺は昼時だしどっか良い店探してくるから」

清津「え、あ」


七寿「気分転換してこい、後で迎えに来るから」

清津「……わかった、あ、ありがと」

七寿「な、んだと、、デレた……だと?」


七寿は後ろに倒れそうになった自分の体を何とか持ち直し。


清津「は?」

七寿「お前それ危ねぇからやめな?いいか?儚げ美青年のデレはトリカブトや無量〇処並の殺傷能力があるんだからな!」

清津「いいから!早く行ってこい!」

桃木「では、私は境内の掃除の途中ですので失礼」


 七寿は飲食店探しに走り、桃木は境内の掃除をしに戻ったので清津は大人しく境内を見て回ることにした。


清津「そうは言っても神社だし、いつもだったらお祈りするけど、祈るの禁止って言われたし」


「うーん」と唸りながら神社の裏に来ると、清津は1つ思い浮かんだ。


清津「俺の願いってなんだろ、成績は普通だし、学校が嫌いなのは別にどうしようもないし……運命のために動いてる神の方がよっぽど辛いんだろうな……………」



 そして、清津は急に体から力が溢れるような感覚を覚えた



そして、首元を心地よい風が吹き、木の葉が揺れ、体から清らかな小川の水の音が身に染み始めた時、勝手に清津の口が言葉を放った。





「「全ての神々に溢れんばかりの幸を」」







その時、清津の周りを暖かい風が吹き、肌にジリジリとした暑い視線を感じた、次の瞬間





 






 


??「祈ったな?我が友(瀬織津姫)






 目の前に、桃木と風貌が似ているが黒髪で髪先が桃色に光った美丈夫な男性が鼻と目の先にいた。


清津「っ!?誰だ!」

??「祈られたから来ただけだ」

清津「祈っ……あ!」


 そう、無意識に清津は祈ってしまったのだ。途方もない願いを込めて。だが、このぶっきらぼうな男が神なのだと清津は改めて肌で感じとれた。


清津「それじゃお前……」

??「我は意富加牟豆美命だ、好きに呼ぶがいい」

清津「(さ、流石に桃ちゃんとは呼べねぇし)……ア、アカツキで、いいか?」

アカツキ「アカツキ……悪くない」

清津「(良かったー!徳島の桃の品種名覚えてて)てか、神をあだ名で呼んでいいのかよ」


 清津がそう言うと、愛おしいものを見る目でアカツキは清津の頬に手を添えた。


アカツキ「我に祈る愛しいわが(信者)を甘やかして何が悪い?ましてやお前は、記憶を失くしたとはいえお前は我の友ではないか瀬織津姫よ。」

清津「えっ」



 アカツキと目が合った途端に清津は意識を失ってしまった。



――――――その頃――――――


 七寿は境内を散策してるであろう清津を探していた。


七寿「清ちゃーん?あれ?どこにも居ねぇ、ってかここに来るまで人っ子一人居ねぇし、まさか彼奴(意富加牟豆美命)神域を開いたのか」

 

 七寿は本堂の方を向くと、本堂の前にある賽銭箱付近に人が立っている事に気がついた


七寿「丁度よかった、お嬢さん!」

??「?はい」

七寿「ここら辺で儚げな美少年見なかった?」

??「観光客の方ですか?迷子になられたようですが」

七寿「ああ、俺は七寿比恵、お嬢さんは?」

諏訪「諏訪 鼓と言います。この神社の巫女をしております。」

七寿「へぇ、この神社が巫女を…………まぁいい、もし見かけたら教えてくれ、俺は向こうを探してるから」

諏訪「儚げな美少年さんを探せばよろしいのですか?」

七寿「ああ、何かアテがあんのか?」

諏訪「ありませんが」


 そう言うと、諏訪は近くにあった賽銭箱に手を伸ばした。


諏訪「すこし、脅しましょうか」

七寿「え?」


 諏訪は賽銭箱を両手で持ち上げ本堂の奥の部屋に向けてぶん投げた。


 ガラガラ!!ガッシャーン!!ビシビジ!


 賽銭箱は床に沈み、その周りにはお賽銭が散らばってしまい、本堂の柱が揺れ障子が壊れ、御神酒を入れるお酌や、飾りの花瓶などが割れた。


七寿「はぁ!??」

諏訪「最近の神はメンタルが弱くてしょうがない。」


フンフンと諏訪は巫女服の袖をタスキで結びながら他に投げるものを探す。


七寿「いや!何やってんの!?」

諏訪「大丈夫ですよ、ここはあの方(意富加牟豆美命)の神域ですので」

七寿「何となく感ずいてたけどさ!…君ただの巫女じゃないよね、桃ちゃんの神気がバッチリ魂に着きまくってる」

諏訪「仮にも乙女の魂を見るものではありませんよ」

七寿「てか諏訪ちゃん、やっぱ神域外にいなかったよね?」


諏訪はニコッと笑顔で。


諏訪「はい、私はここで意富加牟豆美命のお世話をしているので」

七寿「てか大丈夫なのかよ?!」

諏訪「はい!どーせ神域なんで直ぐに戻りますニコッ」


そして、近くにあったおっきい木の棒を持ち上げて素振りし始めた。


七寿「なんでお嬢さんは楽しそうなんだよ。」

諏訪「私の夫は私の事を外に出てくださらないのでテヘッ」

七寿「お嬢さん、人間だよな?」


七寿の問に興奮から覚めて少し落ち着いた声で。


諏訪「()()()の方が正しいですね。」

七寿「なるほどな………神気の濃度が濃くなってきた」

 

 すると、神域内での神気の濃度が高くなったのか、七寿の体な御霊に引っ張られたのか、口調も変化している

ようだ。

 

諏訪「やはり、貴方は人外ですか」

七寿「お前もだろ神の花嫁、随分とあいつ彼奴(意富加牟豆美命)にかわいがられているようだなぁ」


 赤い瞳が煌めき、千歳緑の髪は月白色に変化し、毛先が花緑色になっていた。


諏訪「今のお姿の方が、お若く見えますよ」

七寿「アレぐらいの見た目の方が俺たち(神々)にとってはちょうどいいんだよ」

諏訪「赤い瞳、白い髪でも髪先が緑…意富加牟豆美命から聞いたヒルコ様の見た目と同じですね。」

七寿「俺がヒルコだからな」


 諏訪は1歩下がり一礼しながら。

 

諏訪「左様ですか、今までの御無礼、後悔も反省もしておりませんが、一応形式的に申し訳ありませんでした。」


諏訪は1度くらいの角度でお辞儀をした。


七寿「お前こそ、捨てられた神なんぞにそんな態度とる必要ないと思うが?」

諏訪「夫のお義兄様に敬語を使うのは当然のことなので。」

七寿「いい嫁さん捕まえたな、彼奴」

諏訪「光栄の極み」

七寿「んで?お前のことは後でいいとして、俺の愚弟は何処にいる」

諏訪「神域の本堂の裏に桃の木があるので、恐らくそこにいます」

七寿「なんで、わかる?」

諏訪「私は意富加牟豆美命と視界を共有できますので」

七寿「案内しろ」


 ――――――清津は――――――

 

清津は桃の木の隆起した根の間に寝かされていた。


清津「ん……?」


清津が起き上がると、目の前には史実で描かれた桃源郷の様な空間が広がっていた。


アカツキ「起きたか、己の姿を見てみろ」

清津「え」

 

 清津の今の姿は朝来てきたパーカーやジーンズではなく、白や青を基調とした漢服と和服どちらともとれる端正な衣装、胸元には青の組紐が誂られており、髪も黒髪の短髪からサイドが長くなっており、先端が水の中のように青くグラデーションになっていた。


清津「は?!なんだよこれ!髪まで伸びてるし、この格好も」

アカツキ「御霊の姿、お前の本来の姿だ」

清津「御霊……ななちゃん先生が言ってたヤツか」

アカツキ「御霊の姿になろうとも記憶がそのままか」

清津「……アカツキは何でここに俺を連れてきたんだよ」 

アカツキ「ふむ、女神から男神に変わったせいで記憶まで改められたのか」

清津「いや、話聞けよ」


その時



 ガラガラガッシャーン!!!






 本堂の方から何かが壊れたような音が聞こえた。



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