第12話 ヒサルキの涙
✧︎キャラの激重感情に注意!!
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清津「経験談から語ってたのかよ!」
七寿「でもアレな、崇められてるから見てると分かんねぇもんだな、てっきり喜んで身を捧げてるもんだと……俺そん時とある海に居たからよ」
と、七寿は懐かしい記憶を思い返していた
清津「生贄捧げられる側だったのか」
七寿「いやぁ、正直女より男の方が俺は嬉しかったぞ?栄養とか活力とかさぁ」
清津「栄養素の問題かよ、神にそんなの要らねぇだろ」
七寿「海の魚にとっては大事な問題だ」
清津「生態系の話かよ」
徠祈「…捧げられる人の表情とか見えなかったのか?」
七寿「そりゃあ、水の中だからな、もがいてる時点で苦しみに染まってる」
清津「……」
七寿「だから、正直どうやってお宅の宗教が花嫁を明け渡すのかには興味がある」
こいつ、なかなかの外道である。
徠祈「な、なるほど」
清津「最終的なことは徠祈が決めてくれ、俺たちができることも少ねぇと思うから、あとこの外道は後で殴っとくから気にするな」
徠祈「わかった」
七寿「そこは止めてくれ、んで?続きを」
徠祈「あ、あのさ、実際見てくれた方が早いと思うから、今度、家に来てくれよ、」
七寿「お、いいねぇ!新しい信者って言えば入れてもらえるかもしれねぇ」
清津「…徠祈はいいのか?家族とか……その」
徠祈「いいんだ、もう今更正気にも戻れない……アイツらも…………………………僕も」
その瞬間、七寿は画面越しに、清津は直接空気が変わったのを感じ取った。
七寿「テメェがヒサルキか、徠ちゃんの身体に入り込むなんて、随分とその子がお気に入りなようだ」
清津「こいつがヒサルキか?」
七寿「テメェ、清ちゃん手ぇ出したら口に塩詰め込んで殺すからな」
清津「地味に嫌だな」
すると、徠祈?は清津の方を向き
徠祈?「君は神のなりかけかな?」
清津「ら、らしい」
徠祈?は清津の頬に手を添え
徠祈?「君たちに頼みがある」
清津「は?」
徠祈?「僕たちを…………………」ポロポロ
徠祈?は涙の雫を流しながら
《タスケテ》
清津「はっ?」
その一言を、言ったとたんに徠祈の体傾き清津の体の上に倒れた。
七寿「……なるほど、何となくわかった」
清津「な、なにが」
七寿「今回悪いのは怪異じゃねぇよ……人間だ」
――――――翌日 4月29日(火) ――――――
結局昨夜は徠祈が眠ってしまったので、そこでお開きとなった。清津は自分の上で眠ってしまった徠祈を布団に運ぼうとしたところを志歩に見つかってしまい、全力でいじられたのは既に分かりきったことである。
――――学校――昼休み――屋上
今日は、3人で作戦会議をしていた。
清津「んで?どうすんだよ」
七寿「うーん、考えたんだけど、宗教事態を潰すのは諦めよっか」
清津「は?!」
七寿「だって、徠ちゃんの家はもう既に縋るものが無ければ何も成り立たない家になってそうだからさ……徠ちゃん自体も」
徠祈「な、なんで」
清津「どうゆう事だよ」
七寿「徠ちゃんの体を動かしたり意識を乗っ取って会話できるほどに、ヒサルキが身体に馴染んでたじゃん?」
清津「っ!たしかに」
徠祈「え」
清津は徠祈の顔を見ると、何も知らないのか混乱していた。一応七寿は昨夜あったことを最初に説明していたがその時の徠祈の記憶はないらしい。
七寿「花嫁なんて言うけどさ、実際どうなの?本当に花嫁なの?」
徠祈「……ほ、他にも歴代の花嫁は居たけど、所在は分からねぇ」
清津「やっぱ死んでるのか?」
七寿「さぁ、体だけ生きてるのとかはよく見た」
清津「体だけ?」
七寿「つまり、精神が壊されて廃人になったってことだよ、もしくは精神持ってかれたか」
清津「……そうゆう儀式する場所とかあんのか?」
徠祈「集会所みたいな所で祈ってるからそこだろうと思ってる」
七寿「祈ってるのは何に祈ってるのかわかるか?御神木とか岩とか」
徠祈「御簾の向こうに向かってみんな頭下げてる」
七寿「へぇ……」
清津「花嫁以外になんか無いのか?怪しい風習とか」
徠祈「……不気味だから無視してたが、昔は子供が花嫁に選ばれてたらしい」
七寿「こんなに真っ黒なのも中々ねぇよ普通はもっと隠すんだけど」
清津「たしかに、警察とかにバレるんじゃ」
徠祈「たしかに警察に行こうとしたけど、何故かバレるんだよ、宗教にハマってない人に相談しても、……次の日から口聞いてくれなくなっちまう、片目に包帯巻いて」
七寿「包帯?」
徠祈「ああ、誰かに話そうとしたり、話した翌日には相手の片目が潰れてるんだ」
七寿「何となくわかった、清ちゃん、ヒサルキって調べてみ」
清津「ネットに載ってんのかよ?」
七寿「元々はネットが原因で出てきた怪異だからな」
清津がネットで調べてみると。
清津「《目視してはいけない》《生物に取り憑く》?ってなんだよこれ、保育園で動物の残虐な死体?絵に書こうとした子供や見ようとした親の目を潰そうとする?生物の皮だけを残して他を食べ尽くす?人を……操る?これって」
七寿「そ、それが元々のヒサルキ」
清津「噂じゃねえのかよ」
七寿「神だって降りてくるんだから、噂だって怪異になるよ、まぁそれだろうな、片目が潰れてた理由、徠ちゃんが話そうとしたからだ」
徠祈「う、そだろ」
徠祈は信じられないと言った顔で後ずさってしまった
徠祈「お、俺の……せい……で」
徠祈は罪悪感に駆られたのか震えだしてしまった。
七寿「いや、お前のせいじゃないよ」
清津「まず、子供なのに周りに相談できたのがすげぇよ」
徠祈「だ、けどさ」
七寿「落ち着け、その被害を最小限にするために俺たちに頼ってきたんでしょ?」
清津「何か策でもあんのか?」
七寿「手っ取り早いのは、信者とヒサルキの縁を切ることかな」
清津「縁を切る?」
七寿「そーそ、基本は縁だよ縁さえ切れば後はどーにでもなったりならなかったりすんだけど、ひとつ聞いていい?徠ちゃん」
徠祈「?」
七寿「家族の事見捨ててもいいか?」
徠祈「え……」
徠祈の頬に冷や汗が滲み、カヒュッと息が出来なくなるような音が聞こえた
七寿「やっぱ踏ん切りついてねぇな、徠ちゃん家はもうドップリ宗教にハマってるけどそれ無しに生きていける?」
徠祈「あ、……あ」
徠祈は信じたくなかったのだ家族が既にもうダメだったこと、自分が産まれる前からずっとずっと、……自分の両親が壊れていたことに、そして、自分も壊れかけているとゆうことを気づいては筈なのに。
徠祈「お、俺……は」
七寿「いいか?神様の力って偉大なんだよ、人を操れるほどに、自然を操れるほどに」
七寿は清津の手を握りながら言った。
七寿「俺達が対処したら徠祈 初、お前の家族は崩壊する。それが神ってやつの力だ」
徠祈「ひっ……あ」
徠祈はその場に膝を着いてしまった。
清津「徠祈」
徠祈「せ、瀬織さん……俺……どうすれば、、もう、帰る場所も、、なくなる」
縋るような徠祈の目、依存が籠った目で清津を見つめる。
清津「徠祈、俺に縋ってくれ」
徠祈「……え」
徠祈と七寿が信じられないものを見る目で清津を見つめた。
清津「俺なら受け入れられる、お前の趣味も性格も思考も思想も生い立ちも、だから安心して俺に依存して縋ってくれ」
徠祈「な、に言って」
清津は優しい手つきで徠祈の顎を撫でて、涙で濡れた顔を拭い、妖美な笑みを浮かべながら。
清津「徠祈 初には俺がついてるから」
徠祈の心はとうに限界を超えていた。今まで縋るものがない、自分を守れるのは自分だけ、そう育ってきたから。最後の砦の両親も、もうダメなんだと気づいてしまった……だから、徠祈は目の前差し出された自分が最も卑下する神の手を
とってしまった。
徠祈「あ……あぁ!!!」
徠祈は大粒の涙を流しながら、清津に縋り付いた。その様子を、七寿は奥歯を噛み締めながら見つめていると知らずに。
やはり、清津は神なのだ、器が人間なだけの神、人に縋られる、縋られても問題ない御霊を持つ、神なのだ。
七寿「………………はぁ、徠ちゃん、家族と縁切っても大丈夫かな?(清ちゃんの信者第一号おめでとう。これで君は正真正銘清ちゃんの花嫁だね)」
七寿が呆れたように溜息をつきながら聞くと
徠祈「ああ、もう大丈夫だ(即答)」
七寿は徠祈のお腹のあたりをチラリと見ながら
七寿「(根は真っ直ぐでそう簡単には裏切れない性格、俺たち神は大好物なんだよ。)わかったよこれからもよろしくね、徠ちゃん」
《これから、俺と清ちゃんの行く末を隣で一緒に見よう、俺の唯一の神に縋った罪は重い、ごめんな神様は理不尽なんだ。俺が捧げる最後の生贄としてよろしく。》
《徠ちゃんを選んで良かったよ、お憑かれ様です。》
だが、清津に縋らせる事を教えたのもまた、七寿……いやヒルコという名の神なのだ。
清津「それで?何すればいいんだ?」
七寿「縁切りの神様の所に行って道具貸してもらうんだよ。でも清ちゃんに徠ちゃんの信仰心は向けられてるから、ヒサルキと祈ちゃんの縁は薄くなったとおもうよ」
――――――オマケ――――――
【神様について〜】
――――ナゴヤハシの神域 にて
七寿「さてさて、これから徠ちゃんの質問に俺と清ちゃんが答えるから。どんどん質問してねぇ」
清津「いや、なんだよこれ、なんでそんな展開になってんだよ」
七寿「いいのいいの、ほら、有名作品だとあるでしょ?こうゆうアディショナルタイム的な、○○散歩的なのが」
清津「お前いつか殺されるぞ」
七寿「大丈夫だよ、ナゴヤハシが俺たちを可愛い子供だと思ってるうちは、全力で甘えさせてもらおう」
清津「……はぁ、もういいや、徠祈?大丈夫か」
徠祈「ああ、大丈夫だ、2人の漫才に何時ツッコめばいいか分からなかっただけだからな」
七寿「徠ちゃん、これから鍛えて頑張るぞ」
徠祈「ああ!わかったよ!」
清津「で?本題に戻すぞ徠祈、質問あるか?」
徠祈は少し考えた後
徠祈「……あ!御霊と器のそれぞれの役割聞きたいな」
七寿「お、いい質問じゃん」
清津「確かに俺も詳しくは知らねぇかも」
七寿「まず、御霊は神の本体みたいなもんで、力の供給源とも言っていい、神の力も意識も全ては御霊がないと成立しないからな」
清津「俺は御霊だけだけどな」
七寿「器はそうだな、普通の人間より強ぇんだ、傷も秒で治るし病気にもかかんねぇ、逆に言えば勝手に成長しねぇから、俺みたいに人間と暮らすには常に力の調整が必要なんだよ。何より、神の力でも壊れない体だ」
清津「……俺にはそれがねぇからな」
徠祈「体を探してる理由はそれでなのか」
清津「ああ……てか、神域に入る時に器に引っ張られるって言ったよな?それってどうゆう感じなんだよ」
七寿「あー、簡単に言うと、レインコート……じゃねぇな宇宙服着た感じになる」
清津「あぁ、なるほど、だから水の中でも息できたのか」
七寿「まぁ、完全に神域とかに入ると器が御霊の中に取り込まるようになってんだ」
清津「じゃあ、俺が神域に入った時はどうなってたんだよ?」
七寿「俺の御霊の中に入れてた、お前の体綺麗だったな、仮初の器とはいえ病気や怪我の後もなかったし」
清津「……俺が発作起こした原因それも含まれてんじゃねぇのか?」
七寿「ねぇよ、神気は御霊や人の魂に溜め込まれんだ」
徠祈「さっきから思ってだが、七寿先生の口調が」
清津「あー、引っ張られてんじゃねぇ?」
徠祈「なるほどでもそうか、大変なんだな」
七寿「俺は不完全な神だからな、御霊になるには少し周りの環境を利用しねぇと行けねぇんだよ」
清津「俺もだけどな」
徠祈「なるほど、俺もこれから慣れないとな!」
徠祈の答えに、清津は心配な表情を浮かべたが、七寿は感心したように清津以外には向けたことの無い優しい笑を徠祈にも浮かべたのだった。
そして、3人のお話もお開きになったので作者は、ナゴヤハシ神域は閉じた。




