一日の終わりに曲を聴く
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
自慢ですが、私の選曲に狂いはないと思ってますよ。
メジャー、マイナー問わず、様々なところから。
人生に置いてやり残した事は無いかと言われれば、沢山ある。寧ろあり過ぎて分からない。
夜の大都会を歩きたい。真夜中の水族館に迷い込みたい。夜に木で出来た岬で踊りながら歩きたい。まだ見ぬ、ただただ美しい物をこの目に焼き付けておきたい。
そう思うのは何もおかしな事ではないだろう。
休日が終わろうとしている。だから終わり噛み締める為、曲を流す事にした。
部屋中を包み込むのは、若い女性のハイトーン。甘く、ふわふわして、この空間に泡を齎す。曲調は小洒落ていて、星空の様な、アクアリウムの様な景色が脳裏に浮かぶ。
そう思うと、多少お金を掛けてでも、あの場所に訪れれば良かったと思ってしまうのだ。
ソファで丸くなっていた彼がむくりと起き上がる。まだ眠そうであったが、瞼を持ち上げようと躍起になっている。
「……俺が好きな曲」
「そう。貴方が無理矢理布教して、私が好きになった曲」
今でもあの時の事を覚えている。最初は夜の大都会を思わせる、何処か草臥れた色気のある曲だったのだ。其れに酔いしれていたら、彼が唐突に曲を変えた。
最初はムッとしていたが、選曲が余りにも良かったので、黙って容認したのだ。真意の読みにくい彼が、こんな淡く、小洒落た夜を思わせる曲が好きなのかと。
曲が終盤に差し掛かる。女性のハイトーンが、響きが、私に星を見せる。綺麗な曲だと思う。
「お前が前、流していた曲じゃないんだ」
「曲のストライクゾーンは人より広いもので」
「なんか……意外だった。お前があんな草臥れた夜を思わせる仄暗い歌が好きだなんて。もっとテンポの早い、ノリの良い曲が好きなのかと思った」
私がそう返すと、彼はのそのそと立ち上がり、するりと私の横に座り込んだ。肩に自らの額を擦り付けると、囁く様にこう言った。
「あれずっと聞いてると、浮気しそうになった」
……浮気とは? あれは決して浮気の歌では無い。何方かと言えば、ハリボテの様なネオン街で、ヤクに染まる歌だ。
疑問に思っていると、彼は囁く様にこう言った。
「一番好きな曲が変わるところだった」
どうやら私も知らずのうちに彼に布教をしていた様だった。同士が増えるのは良い事だ。この調子でどんどんファンが増えてくれれば良い。
「あのね、君の好きな曲を聴く度に、真夜中の水族館に潜り込みたくなるし、夜の岬で踊りたくなる」
「……今度付き合う。子供じみた意地通した詫び」
登場した曲は元ネタありますよ。
廃退的なのは、マイナーなのかな?
もう一つは有名かも。
しんどい平日を乗り越える為に、大抵休日の最後は曲を聴いてるんですよ。
平日はゲームやってて、それどころじゃないんですけど。
人生に置いてやり残した事はそれなりにあります。
夜のネオン街歩きたいとか。※治安悪くて尻込みしてる。
夜の水族館に迷い込みたいとか。※なんか混んでそう。
夜の岬でくるくる回りながら歩きたいとか。※相手が居ないよ。
傍若無人な人って、ハード系のデスボ聞いてそう。
というド偏見があるので、こういう星空の様な、アクアリウムのような幻想的な曲を好きだと、『根はロマンチストなのでは?』と思ったり。
あ、ハード系のデスボが好きなのは私でしたね。
まぁ、私の言いたいことはこれぐらいにして。
一番好きなものってあるじゃないですか。
其れが自分で見つけたものではなく、相手から紹介されたもので順位が下がると、何だか複雑な気持ちになりません?
それこそ『浮気してごめん……』『一番じゃなくてごめん……』って。
だから彼のあれは防御反応なのかなと思ってます。
彼女も『ちょっと( ・᷅-・᷄ )』って叱る予定でしたが、曲が癒し系だったので、なりを潜めました。
彼も罪悪感は10%ぐらいは持っていたので、最後は彼女のわがまま聞いてます。
夜の浜辺を裸足でくるくる回りながら歩きたい。
其れが通じる歳でもないけども。