駆け出し冒険者 アンカラ
翌日の冒険者ギルド。
角と尻尾の生えた珍しい種族の冒険者を一目見ようと、人々が集まる。
「あれが噂の…」
「意外とかわいいな…」
アンカラの姿にぼそぼそとつぶやく冒険者たちをよそに、彼女はリラと一緒に駆け出し用の依頼書が貼られた掲示板を眺める。
「薬草採取に農作業の手伝いに弱いモンスターの討伐。駆け出しにはもってこいね」
「つまらないクエストばかりだな」
「どんな仕事も誰かの役に立つのよ。そんなこと言っちゃだめ。
それに物足りないと思うのなら、たくさん依頼をこなしてランクアップを目指しなさい。
実績を積み重ねればどこかの組織からスカウトも来るわ」
「そうなのか?」
「例えば探索系の依頼で実績を上げれば探検隊や調査隊、戦闘ならば傭兵団や衛兵隊などの専門組織に引き抜かれてキャリアアップすることもできるわ。
中には冒険者からいろいろあって国王になった人だっているし」
「なら、これにするぞ」
貼られた依頼書の中から、比較的難易度の高そうなモンスターの討伐依頼書を手に取る。
『駆け出し用 スライム討伐依頼
目的 ブルースライム十頭の討伐
報酬 二百セレカ
目的地 アスリー平原
依頼主 冒険者ギルド
冒険者の仕事に慣れてきた皆様に依頼です。
平原で繁殖しているブルースライムの討伐をお願いいたします。
少し難しいかもしれませんが、仲間たちと協力して頑張ってください』
「いきなり討伐依頼を受けるなんて、挑戦的ね。普通は薬草とかの採取や落し物などの探索から始めるんだけど」
「我をその辺の冒険者と一緒にするな」
カウンターに駆け出し用の冒険者カードと一緒に依頼書を提出。
いきなり危険な討伐クエストを受けたことに、受付嬢は少し驚きつつも、規定に従って認可のハンコを押す。
「本当に大丈夫?誰かとパーティを組んだほうがいいと思うけど?」
「我を愚弄するつもりか?スライムの群れ如き、我には相手にすらならんわ」
リラの提案を鼻で笑いながら拒絶する。
「自信にあふれているのはいいことだけど、不安ね。
ねえ、そこのあなた」
近くにいた、ギルドから支給された装備を身につけた駆け出し冒険者の少年に声をかける。
眼鏡をかけた、白髪の冒険者。
「な、何でしょうか?」
急に話しかけられたことにドキッとしながらもリラに向き合う。
「あの子と一緒にブルースライムの討伐依頼を受けてくれないかしら?」
「ブ、ブルースライムの討伐依頼ですか?」
戦闘の依頼に少年は尻込みする。
「あの子一人だけじゃいろいろと不安なのよ。私も助力するから、お願いできるかしら?」
『上級冒険者リラ』と記された冒険者カードを見せながら、そう頼み込む。
「わ、わかりました!」
目上の存在であるリラに少年ことペータは委縮しつつも承諾する。




