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3/11

3部が長がすぎて、飽きられてしまったようなので

短く修正しました。

どうぞ、懲りずに最後まで、よろしくお願いします。

しまった!CAFÉで家族の仕事の内容や個人的面白可笑しい話しを何も気にせず、をペラペラと喋っていたことがあった。「ちょっと待った、あれは、まずい!」仕事の内容丸出し、個人情報満載と言えるものを普通のセールスマンに話してしまったことがあったのだった。涼子は急にある場面を思い出し、心臓が高鳴り出した。これは俊介にも話しておいた方がいいかもしれないと思うと、妄想が妄想を呼び益々頭の中で不安が大きくなっていった。

もはや、ただの網タイツ泥棒どころではなく、変な事件に巻き込まれているのでは?私が薬剤師であることを知って後をつけ、家を見つけだし、虎視眈々と調剤室の鍵を盗んでやろうと企んでいるような連中に狙らわれていたりして?

店舗勤めだとお客を選べないので、どんな人でも出入りすることができるし、白サギ、黒サギと呼ばれている詐欺師軍団でも通常の買い物客に混じってやって来る場合だってある。調剤室には闇ルートの売人が喜びそうな向精神薬、劇薬を扱っているから、鍵を持っている私はそういう人種に狙われる可能性だってありうる。

つい最近も、大病院から麻酔薬がこっそり持ち出されていた事件は、まだ記憶に新しい。どうやって薬が盗まれたのかと思えば、個人的情報を闇の軍団がどこからか仕入れ、防衛能力の薄い従業員を見つけ出し、巧妙な手口で鍵やIDを盗んでいた可能性が高い。ちょっとした個人情報でもどの場面で悪用されるかわからない時代なのだ。

涼子も薬を管理している身分のため運が悪ければ、こうした事件に巻き込まれる可能性だって十分ある。涼子は自分を取り巻く事件の可能性を考えているうちに、推理小説に出てくる世界が現実に起こっているような気分になった。

そうして自分が産み出した不安のせいで、リラックスタイムがリラックスどころではなくなってきた。

風呂から上がって、涼子は濡れた髪をタオルで蒔きながら、冴えない顔をして俊介の顔を覗き込んだ。

俊介はバスタイムを先に満喫し、冷えたビールでほろ酔い気分になりソファでゴロゴロくつろいでいた。涼子が風呂から出てきた頃には、350mlのビールが二缶も空っぽになってテーブルの上に転がっていた。

すっかり気持ちよくなっていた俊介はいつものエロ調子で「何だよ、随分風呂が長かったな!どこ洗ってたんだよ?」とからかうように聞いてきた。

涼子は俊介のおふざけに応じる余裕はないという顔をして「いろいろ気になる点を考えていたら、また怖くなってきちゃって」と不安げに眉の間に皺を寄せた。

俊介は「えー、またぶり返しちゃったの?さっきは考えてもしょうがないって言ってたたのに」おいおい勘弁してくれよっと、面倒くさそうな顔して涼子を見た。

涼子は風呂に浸かりながら、もしかしたら誰かに狙われているかもしれないという不安に駆られた事を俊介に話した。

俊介は時々プっと吹き出しそうになるのを押さえながら、涼子の話しに初めからしょうもないという感じで耳を傾けていた。

涼子は俊介が不安になるような事件のシナリオも考えていたが、あまりバカにするので言いそびれてしまった。

「おい、おい、どっかのミステリー小説だかコミックに出てきそうな話しだな!それは!だいたいサギって何だよ?鳥の一種か?鳥がお前の後をついてまわってるとでもいうのか?白だの黒だのいろんな色のサギがいるもんだ。お前の話しのサギは何色だ?青サギとでも名付けておくか?」

俊介は大きな背中をソファに凭れかけながら、惚けた老人のように、当然あり得ないという顔をして笑っていた。そして鳥が飛んでいるように両手を横に広げ茶化しては、一人で受けまくっていた。

涼子は真面目に取り合わない俊介を横目でじろっと、呆れた顔をして見た。本当に起こる可能性だってあるかもしれない話しなんだからと、ブツブツ一人ごとを言いながら化粧台のコンセントにドライヤーを差仕込み、濡れた髪を乾かし始めた。

俊介が何か言って面白そうに笑っていたが、ドライヤーの音でかき消されて聞こえなかった。

今の涼子にとっては面白い話しより、起こりそうな不安を早く何処かへ片づけてほしい気持ちのほうが強く、そんな話しにつき合う気力も失せていた。


涼子は、俊介のバカ!本当に怖いんだから、小説やドラマに出てくるような世界だって現実起こる事だってあるのに。私は仕事で扱っているものも薬だし、運が悪ければそういう事件や事故に巻き込まれてしまうことだってないと言えない。

それに女だし、最近はコンビニに行けば人妻を売りにしている雑誌だってコーナーを作って置かれているし、どこをとっても危険な要素がいっぱい。干してある下着類が盗まれることだってすごい恐怖なのに、どうして男の俊介には理解できないんだろう?大したことじゃないって思っているかもしれないけれど、盗すんだ編みタイツでキモイ男が変態行為をしているかもしれないと想像したら、気持ち悪くて身の毛立つ思いだ。涼子は自分の頭の中に、一番嫌いなタイプの変質系男を想像すると湯冷めしたように寒くなってきた。洗面台で生乾きになった髪を横にブルブル振って、下を向くと本当に吐きそうになるくらい気分が悪くなった。

これ以上、色々な妄想が続くようだったら、精神安定剤のお世話にならないと明日の朝を迎えられないと思うほど、涼子の不安は大きくなってきた。

俊介はそんな涼子の様子を深刻と受け止める間もなく、ビールの酔いがまわってきたのか、ソファに座ったまま顔を下に向け船を漕ぎだしていた。

涼子はつけっぱなしになっていた耳障りなテレビを消すと「俊介ちょっと、こんな所で寝ないで、もう寝るんだったら、ベッドに行ってよ」

俊介がハッと気づき寝ぼけ眼で廻りを見渡した。

「おーぉ、悪い!毎日一生懸命仕事してるものだから、週末になると疲れちゃってなぁ」と座ったまま拳を震わせ、全身で大きく伸びをした。音が無くなったリビングに俊介のふぁァ〜という豪快なあくびだけが響いた。涼子は俊介の座っているソファの横にペタンと正座をして神妙な顔つきで俊介を見ていた。

「ん?何か言いたそうだね?君」と言う俊介の問いにも涼子は呆れて「何もない」と首を横に振るだけだった。

布団に入っても涼子は眠ることができなかった。俊介は横で大きな高いびきを掻き、グッスリ寝ていた。眠れない者にとって鼾の音というのは何とも耳障りなことか、いつもこんな煩いところでよく寝ているものだと自分でもびっくりするほどだった。眠れない夜は長い。もう夜明けが近いのかと思って時計を見てみると、まだ午前2時を少し過ぎたところだった。5分くらい意識が遠のき眠りに導入しそうにはなるが、心臓がドキドキして再び目が冴えてしまう。涼子は一時間でもいいから眠りがほしかった。

不安を引きずったまま翌朝を迎えた涼子は、浮かない顔をしていた。朝ご飯の支度中にも、何か考えごとをしている様子だった。

俊介の方は今日も頗る快調で、起きて早々朝の一服をつけるためにベランダへ出ていった。俊介はタバコを吸うことを朝の儀式としていた。吸わないと腸まで血液が廻らないらしく便通が悪くなってしまうのだ。

俊介は朝の美味しい一服が終わると、活発に動き出した自分の腸から発生する香ばしい臭いを悪戯な笑みを浮かべ、手で握り涼子に投げつけ戯けていた。

そんな俊介のおふざけにも今朝の涼子は無反応で、笑う気に怒る気もなれず、ぼーっと上の空で何か考え事をしているようだった。

俊介はそんな涼子の様子見て、ようやっと「やばい、これはかなり重傷かも」と気づき始めた。このままの状態が続くと冗談じゃすまないような夫婦の危機に陥るかもしれないと、少し焦り出した。涼子の話しをもう少し真剣に受け止めて聞かなければ、二人の関係にすきま風が吹きそうだと感じたのだった。結婚一年目にして早くもピンチ入りしたのでは溜まらないと、今迄のおふざけ行動を反省し改めることにした。


ぼんやりカップスープを煤っている涼子に俊介が「おい、どうしたんだよ!元気がないなぁ?」

「うーん、やっぱり気になっちゃって、あまりよく寝れなかった」

「大丈夫か?あんまり気になるようだったら、今日は休んで家で休んでいた方がいいんじゃないか?」俊介が大きな背中を丸め涼子の顔を覗き込んだ。

「んー、でも一人で家にいると余計不安が募りそうだし、仕事場に行けばそれなりに紛れたりするから、休まない方がまだましかも」寝不足のせいか、涼子の顔はいつもより白く見えた。

「そうか、俺も今日は早めに帰るようにするから、余計な心配事は考えないようにしてがんばって過ごせよ」

俊介の優しい言葉に涼子は気力がなく「うん」と頷いたが、何か言いたそうにしていた。

俊介はそんな涼子を見て内心、女ってどうしてこんな確証も持てないような事ですぐ妄想的に怯えたりするんだろうか?風の強い季節なんだから、自然のいたずらでその辺の木の枝に引っ掛かっている可能性だって十分にありえるのにっと思ったが、今の涼子には通じないだろうと諦めた。

更に続けて俊介は思った。男は外に出れば7人の敵がいるって言われるほどサバイバルに生きているのに、女はよくもこんな得体の知れないもので悩めるよなぁ?それに笑える。俺がもし下着泥棒になったとしたら、こんなどこにもでもありそうな編みタイツなんて、まちがっても盗らないけどなぁ。どっかのおばさんでも履いていそうな色物だし、下着泥棒だって危険を冒してやるんだから、それなりのものを盗るだろう。どうせ盗るなら、持ち主が若くてかわいい子だと想像がつくような、ガーター付き編みタイツとか、Dカップ以上のフリルがいっぱいついたブラだとか、男の妄想に貢献しそうな物を狙うと思うのだが….と、いかにもAVに採用されそうな下着類がいくつも頭の中を過ぎっていった。

俊介はいつもながら、自分の妄想はすぐエロい方向へ飛んで行くと、脱線しかかった思考を普通に戻した。こんなスケベな笑みを浮かべているのを涼子に見つかったら、不謹慎な奴だと状況を益々悪くさせてしてしまうだろう。妄想の続きは犯人をはっきりさせてからたっぷりすることにしようと涼子の様子を窺った。

そんな俊介へ涼子が真面目な面持ちで口を開き語り出した。


次の展開も是非、よろしくお願いします。

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