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三度目の人生を満喫したい  作者: 八尋
第1章 転生
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6.そして日常となる

 ゼーウス様は幼い時の方がステータスが上がりやすいと仰っていた。


 今もウェットナースが、隣の部屋にナニーと共に控えている。


 魔法を試してみたいところだけど、バレると大事になるだろう……


 どうしたものか。


 そう言えば、ステータスや、アイテムボックスについては、普通の言葉は喋ることが出来なくても発することができたが、魔法はどうなのだろうか。


 一層気になって来た。


 ええい、儘よ。


 僕はベビーベッドに寝ころんだままの状態で、右手を上にあげ、掌を上に向け魔力を集中させる。


 前々世と同じならば、この魔法ならば今のMPでも発動できるはず。


 「初段魔法〘(ウィンド)〙」


 そう思った通りに声になる。


 その声に合わせて、緑色の小さな魔法陣が掌の前に現れ、弱い風が吹き出す。


 「くー(できたー)


 僕は魔法が発動したことに対する喜びが言葉になったことに気づかなかった。


 しかし、それに気がついた者がいた。


 隣の部屋のウェットナースだ。


 彼女は、魔法の発動にこそ気がつかなかったものの、ライルの声には反応した。


 それは彼女の職業ゆえかもしれない。


 急いでこちらに向かってくる彼女の気配に気づいた僕は、手をすぐに下げ、寝たふりをする。


 幸い、彼女は気のせいだろうと戻って行った。


 隣の部屋で「何かありましたか?」「いえ、気のせいです」という会話が聞こえた。


 彼女の察知能力を甘く見ていたようだ。気を付けなければ。


 ・・・・・

 ・・・・・

 ・・・・・


 それからも僕はウェットナースやナニーの目を盗んでは、魔法の練習をした。


 次第にLvも上がり、魔法力のステータスも上がって行った。


 生まれて数日でクーイングらしき声が発せられた僕は、一週間程経つと首が座っていた。


 もう寝返りも打てそうだ。


 ゼーウス様がお取り計らいくださったのだろうか。


 それともこの世界ではこれが普通なのだろうか。


 しかし、未だに喃語は発せられていない。


 声を出す器官の成長が追い付いていないようだ。


 それさえ整えば、知識にあるものの中ならば、喋ることも可能となるのではないだろうか。


 未だに食事や排泄の世話はウェットナースが担当してくれている。


 どうやら彼女の名前はパーシャというらしい。


 ずっとお世話をしてもらっているわけだし、彼女の名前を最初に話してみたいな。


 どんな顔をするだろうか。


 楽しみになって来たな。


 体を動かすことも寝返りができていない今は難しい。


 取り敢えず、魔法の練習を気付かれないように続けることにしよう。


 ・・・・・

 ・・・・・

 ・・・・・


 二年の年月が流れ、新しい家族が増えた。


 妹が生まれたのだ。


 妹の名前はエリス=べリアン=アドルクス。


 1歳になる頃には普通に会話ができていた僕も、名前決めを手伝った。


 生後半年でかなり喋ることができるようになっていたのは、ゼーウス様の加護のおかげだと思っている。


 僕がパーシャの名前を初めて発した時は、それは驚いて「恐れ多い」と言いながらも、嬉しそうに父母に報告していた。


 父母が少し恨めしそうに彼女を見ていたのは面白かった。


 やはり、こちらの世界でも赤ちゃんの発達は地球と同じようなもののようで、父母は勿論、使用人達も驚いていた。


 動き回れるようになった頃には、屋敷中を案内してもらったが、かなり広い。


 日に日に顔を合わせる使用人も増えて行き、今は殆どの使用人の顔と名前を暗記している。


 かなりの人数がいたので大変だった。


 既に簡単な文字の読み書きはできるようになってきている。


 そのおかげもあって、色々と我が家についてわかってきた。


 どうやら家はエイヴィスティン王国という国の公爵家らしい。


 公爵家というと、かなり国のトップに近いのではないだろうか。


 ステータスで見ていたのでわかってはいたものの、やはり今までの生活と違い過ぎる。


 ゼーウス様、これもやりすぎな気がしないでもないですが、優しいあたたかい家に生まれさせてくださり、ありがとうございます。


 そして、父は現当主であり、公務に追われており、あまり顔を見ることはない。


 定期的に長期間家を空けることもあるのだ。


 母も舞踏会やら茶会やらで家を空けることが多い。


 しかし、家にいる時は優しく接してくれる。


 エリスが生まれたことにより、パーシャは僕の躾に専念して、他のことはナニーのユーリが担当してくれるそうだ。


 しかし、躾といっても、日本で高校生まで過ごしていた僕は、それなりの知識はある。


 主に貴族の嗜みなどをガヴァネスが雇われるまで担当してくれるようだ。


 毎日の努力、動けるようになってからは様々なトレーニングも行ったことと、ゼーウス様のおかげで、ステータスも驚くほど上がっていた。


 最近は多くの使用人たちがエリスのことで精一杯だ。


 隣の部屋にもユーリしかいない。


 丁度良いので、前々からしようと思っていたスキルの取得をしてみよう。

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