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三度目の人生を満喫したい  作者: 八尋
第1章 転生
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4.終焉の時

 お爺さんが横に手を少し振るう。


 すると何もなかった空間に、高そうな装飾の施された椅子が二つとテーブルが現れた。


 もう納得するしかないだろう。


 これくらいなら、魔法で何とかなることかもしれない。


 でも、この空間を作ったことと言い、僕の心や過去を読んだことと言い、魔法が発動された時の魔力の流れを感じない。


 魔法を使うと魔力の流れを感じる。


 これはどれだけ一流の人でも完全に消し去ることはできない。


 でもこのお爺さんは魔法らしき力を使ったのにもかかわらず、それが一切ない。


 僕が魔法のない世界で十何年か過ごしていた所為で、感じられなくなってしまっている可能性もあるが、これは魔法とは違う気がする。


 なら、これが前世の文献にも出てきた【神力】、神の力なのだろう。


 ゼーウス様に勧められた椅子に座ると、硬そうな見た目とは裏腹に絶妙な座り心地である。


 包み込まれるようにお尻が沈み込み、何時間座っていても疲れることがないと思わせる程、柔らか過ぎず、かといって眠たくなるような気持ちいものとも違う。正に神の椅子だ。

 

 次にこれまた高そうなティーポットとカップ、それにお茶菓子が現れる。


 出されたお茶も菓子も、今までに飲んだり食べたりした中で、確実に一番美味しい。これ以上のものは存在しないと思わせる程だ。


 これはもうこのお爺さんが神様だと信じるしかないようだ。


 美味しい至福の時を過ごしていると、ゼーウス様が口を開く。


 「では、信じてもらえた様じゃし、そろそろお主の行く世界について話していこうかのぉ。・・・」


 ・・・・・

 ・・・・・

 ・・・・・


 ゼーウス様の話をまとめると、


 ・レベル(Lv)というものが存在し、Lvを上げるためには経験値が必要で、Lvが上がれば強くなる


 ・視界にヒットポイント(HP)マジックポイント(MP)のゲージが見える


 ・スキルはLvアップ時に獲得するスキルポイント(SP)を消費して取得する(知能ある生物のみ)


 ・幼い時の方が、獲得経験値が多く、ステータスも上がりやすい


 等々、「その他で分からないことがあれば、向こうで調べてくれ」ということだった。


 そして、肝心の戴けるスキルは、


 ・〖獲得経験値超増加〗

 ・〖獲得SP超増加〗

 ・〖限界突破〗

 ・〖絶対防御〗


 だそう……


 名前からしてヤバそうなものが多いが、これらは、【固有(ユニーク)スキル】というものらしい。


 SPでは獲得できない、生まれながらにして持つスキルだそうで、極少数の生物しか持っていないそうだ。


 その中でも、「ステータスの限界に達してもそれ以上にステータスを上げられる」〖限界突破〗と、「他者の攻撃(罠を含む)から適用者を守る」〖絶対防御〗は特に希少らしい。


 ありがたいけど、これは強すぎるんじゃないか。


 知られれば絶対悪用されるだろうし、怪我も一切しないとなると気味悪がられる可能性が...


 そう思っているとゼーウス様は、笑いながらこう言った。


 「まぁ、悪用されるような状況に陥ったとしても、殺されることはないわけじゃし、お主の意志が固ければ問題なかろう。そう思って授けるわけじゃし。ここに人が来たのも久しぶりで張り切ってしもうたわい。儂が送り出す以上、簡単に死なれては困るしのぉ」


 「信用してもらえるのは嬉しいですけど……」


 ここまでしてもらうのは気が引ける。


 「遠慮せずともいいんじゃが。それに一切怪我をしないわけではないぞ。自分で転んだりしたら擦り傷などもできるじゃろうし……まぁ、どうしてもと言うのであれば、何かあった時に、こちらから連絡するからその時助けてくれ。交換条件じゃ」


 「まあそういうことでしたら、ありがたく受け取らせて戴きます」


 「よし。納得してくれたようじゃな。それに他の神々も自分たちで勝手に加護を与えたりしておるし、まぁここまでの者はおらんじゃろうが。それなりの強敵はおるぞ。幼少期から鍛錬しておる、中々に手強い者もおるじゃろう」


 これ程のスキルをもらっても強敵って……


 それにさっき、人が来るのが久しぶりって……


 「嗚呼、それなら前に……確か2300年くらい前じゃったかのぉ。ここに人間が来たのじゃ。お主と同じニホンジン?だったはずじゃ。こことお主が今から行く世界の時間の流れは余り変わらんのじゃが、お主が元いた場所とはかなり違うはずじゃ」


 2300年……久しぶりの感覚とは……


 でも、なんか時間の流れも違うみたいだし。そういうことで納得しよう。


 「お主らニホンジンは、物分かりが良くて助かるのぉ。お主は過去に同じような世界で過ごしていたからじゃろうが、前の者はそんな過去はないのにすぐに納得しよった。魔法と似たものは過去にあったようじゃが、今はその存在は空想のものとして扱われておるようじゃな。まあ、そんなことはどうでも良いか。では、そろそろ良いかのぉ。婆さんが申し訳ないことをしたのぉ。儂からの謝罪も込めてお主の要望通り、生家や能力についても手配しておこう」


 「ありがとうございます。このご恩は忘れません。ゼーウス様に恥じぬ生活を送って見せます」

 

 富豪、名家とまではいかなくとも、しっかり成長できる環境の揃った家族が優しい家に生まれたいな。


 そう思いながらゼーウス様にお礼を言う。


 「うむ。ではな。しっかりと生きるのじゃぞ」


 そうゼーウス様が言い終えると、地面に穴が開く。


 僕の真下に空いたその穴に、重力に導かれるまま僕は落ちて行く。


 だんだん意識が遠退いて行く。


 やがて僕は意識を失った。


 こちらを覗きながら手を振るゼーウス様の笑顔が、【神界】での、日本で育った高校生の僕(拓斗)の最期の記憶だった。

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