第3話:笑顔の代価
学ランを来て彼女と一緒に歩きだしたはいいが、ズボンがびしょ濡れで気持ち悪かった
祐貴
「本当にありがとうございました………えっと……」
優一
「坂井優一、だから優一でいいよ」
祐貴
「はい、私は白凰学院中等部二年の榊 祐貴、みんな祐貴って呼ぶので優一さんもそう呼んで下さい」
あ〜…………多分年下だとは思ったけど中等部の子か…………って白凰学院ってぼんぼんばっかりいるって噂の超有名な学校じゃん!通りでこの制服見た事あると思った……………いや、別に制服マニアっていう訳じゃないよ?本当だよ?
祐貴
「その………すいませんでした私の帽子を取って貰う為にびしょ濡れになってしまって……」
申し訳なさそうに言う彼女に何て言っていいか……
優一
「あ〜………気にしなくていいよ、困った時はお互い様ってよく言うしさ」よく言うのか?って自分でツッコミ入れるのって何だか寂しいね…………
祐貴
「でもズボンびしょ濡れになっちゃいました、何かお礼がしたいのですが……よかったら電話番号教えて貰ってもよろしいですか?」
優一
「別に気にしなくていいよ………………一応コレがオレの番号ね」
苦笑しながら言うが一応ノートに携帯の番号とメアドを書いて彼女に渡す。
ちなみにコレが坂井 優一、記念すべき女の子にメアドと番号を教えた一回目である………………………………………大丈夫さ、同情の眼差しにも最近は大分耐性がついてきたからな。
祐貴
「ありがとうございます、今日の夜にでも連絡してもいいでしょうか?」
ノートの紙を嬉しそうに受け取ると微笑んで言う彼女。
優一
「いいよ、じゃあオレちょっと用事あるからさ……」
用事なんて無いよ、ただ単に早くズボンを絞りたいだけさ、さすがに女の子の前でズボン脱ぐ程のレベルの変態にはなっていない。
祐貴
「はい、本当にありがとうございました優一さん」
彼女は微笑んで礼儀正しくお辞儀するとそのまま橋を渡って行った。
オレは彼女が見えなくなると急いで公園に駆け込みトイレを探した………………………結果トイレが無い、無駄な物作る金あるなら公園にトイレぐらい作れよ!
仕方ないのでオレは草むらにはいり木々に隠れながらズボンを脱…………ぎかけて後ろから人の気配がするのに気付いた、幼稚園ぐらいの子供がこちらを見ていた。
優一
「いや、コレには訳が合ってね………」
幼稚園児
「ママー!変なおじさんがズボン脱いでるよー!」
これだからガキは!つーかオレはおじさんじゃなくお兄さんだ!
何てツッコミを入れてる暇は無い、オレは脱ぎかけていたズボンを急いで履くとダッシュで公園を後にした。
コレじゃオレがまるで何かしたみたいじゃないか!何て事を考えながらズボンびしょ濡れのまま帰路につく事にした。
まぁ寒いし気持ち悪いけどあんな笑顔が見れたんなら、むしろこっちがありがとうって言いたいくらいの気持ちだった。