第16話:御見舞い
祐貴
「今回の事で警備員の人達も優一さん達が私達の友達だと分かったので、もう待ち合わせしてても大丈夫ですね」
何て微笑みながら言う女神様、いや〜本当に助かりました、下手すりゃ新聞に不審者として載る所だったよ…………
啓太
「優一が怪しいせいでオレまでとばっちりくらったよ……」
優一
「何被害者みたいな言い方してるんだよ!?お前も同罪だろうが!!」
美咲
「まぁまぁ、そういえばお兄さんの家ってこんな遠かったの?」
オレが啓太のボケにツッコミを入れていると美咲ちゃんが苦笑しながら止めに入り、オレ等が落ち着くとオレを見ながら聞いてきた。
優一
「家はちょっと前に通り過ぎたよ、ちょっと遠いしバスか何か使えばよかったね」
オレは苦笑しながら美咲ちゃんの質問に答えた、すると……
啓太
「今向かってるのはコイツの家じゃなくて病院なんだよ、優一の妹の美花ちゃんは入院してるんだ」
オレが言いだしにくいのを察してか啓太が今向かってる場所を説明してくれた。
祐貴
「入院って事は何処か悪いんですか?」
祐貴ちゃんは心配そうな表情でオレを見ながら言ってきた。
啓太
「ちょっとね、別に病気とかって訳じゃないから大丈夫だよ、まぁ病院に着いたら色々説明するよ」
オレの代わりに祐貴ちゃんの質問に答えてくれる啓太、普段は変な事しか言っていない奴だけど、やっぱりコイツは親友だよ。
そんな訳でオレ等は病院にやってくると四人で美花の病室に向かい、入り口までやってくるとゆっくりと扉を開いた。
優一
「…………元気にしてたか美花?今日はさ、啓太以外に友達連れて来たんだよ」
オレは椅子を四つ出すと一番近くの席に座りながら言った。
祐貴
「榊 祐貴です、白凰学園の中等部二年生です」
祐貴ちゃんは礼儀正しくお辞儀すると微笑みながら自己紹介をしてから椅子に座り。
美咲
「私は神楽 美咲っていいます、祐貴とは幼なじみで祐貴と同じ白凰学園の中等部二年生だよ、美咲って呼んでね」
美咲ちゃんは微笑みながら軽い感じで自己紹介をしてから椅子に座った。
美花
「……………」
美花は相変わらずボーッとオレ等を見ているだけで話そうとはしない、昔みたいに笑ってくれない………
啓太はジュースを買いに行ってくると言い、祐貴ちゃんと美咲ちゃんを連れて病室を後にした。
優一
「今日は大勢で来てごめんな、でも賑やかな方が楽しいかな〜って思ってさ………」
オレは空元気で美花に笑いかけながら喋りかけた、昨日四人で遊んだ事や今日警備員に追い掛けられた事………色々な事を話した、それでも美花は笑ってくれなかった。
〜啓太視点〜
啓太
「……………………………っていう事が合ってさ、それから美花ちゃんは入院してるんだよ」
オレは五人分のジュースを買って休憩所で椅子に座りながら、勝手な事だとは分かっていたけど祐貴ちゃんと美咲ちゃんに美花ちゃんの事を話した。
祐貴
「それで優一さんたまに寂しそうになるんですか……」
美咲
「昨日の帰りに約束した時お兄さん元気無かったから、何かあるのかなって思ってましたけど…………悪い事しちゃったな」
二人はジュースを両手で持ちながら落ち込んだような表情で言った。
啓太
「……………優一の事思うならさ、笑顔でいてやって欲しいんだ、昔アイツ美花ちゃんの事で思いつめててさ、スゲー暗かったんだよ……何とか持ちなおしたけどたまに暗くなってさ、アイツには馬鹿みたいな笑顔が一番似合うからな」
オレは苦笑しながら落ち込んでいる二人を見ながら言った。
祐貴
「…………啓太さんって優一さんの事本当に好きなんですね」
すると祐貴ちゃんは微笑みながらオレを見ると言った。
啓太
「……まぁね、変な意味じゃなくてアイツの事は大好きだよ」
オレは一瞬誤魔化そうかと思ったけど苦笑しながら本当の事を話した。
美咲
「じゃあそろそろ戻ろうか、寂しんぼうのお兄さんが寂しがってるだろうからさ」
美咲ちゃんは微笑みながら言うと、祐貴ちゃんと立ち上がって病室に向かって歩きだした、だから言っただろうが馬鹿………あの子達なら大丈夫だってさ。