第五話 とある少女と勇者の勝負と真実の一端
かなり遅くなってしまいました。高校生になってからはもっと遅くなるかもしれません。
皆さんお久しぶりです。覚えてますか?隼人です。俺は今、二人の模擬戦を見ています。え、誰のだって?沙月さんと林野の試合ですよ。今のところ沙月さんが九本の尻尾に狐耳の状態で林野を圧倒しています。皆さん「「「はい?何言ってんだこいつ」」」ってなるでしょう。大丈夫俺も意味わかんないので。そもそも何でこうなったかと言うと、
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「はい」
「お、サツキが一番手か相手は誰にするんだ?」
「相手を選ぶ前に一つ聞きたい。林野、お前のユニークスキル『勇者』の説明に剣の名前が書かれてなかったか?」
「ん、名前?確か『鈴蘭』ていう名前があったなでもどこにあるのかわk「それなら大丈夫だ」ん、どういうことだい?」
沙月さんはそれを聞くと殺気を放ちながら
「おい林野。俺に一撃入れたら・・・この世界を救う覚悟があるんだったら鈴蘭をこの世界にいる間はかそう。ただし模擬戦だからって、女だからって手加減したら殺すからな」
そう言ったかと思ったら沙月さんの体がひかり、収まった時には九本の尻尾に狐耳の黒髪少女になっていた。当たり前だが皆は目がテンになっていた。
「さてと、林野、さっさとやるぞ。」
「いやいや、待ってって、まずその前に質問させてくれ、君は何者だい。それに沙月さんをどこにやったんだ?それに鈴蘭を貸すというのはどういうことだい?」
当たり前のことだが林野は沙月さん?に質問をした。
「最初の二つの質問は簡単だ。沙月は俺だしこっちが本当の姿だ。鈴蘭については俺のだからだ。」
皆は沙月さんの質問の答えを聞いて、はい?って感じだった。そこにルコンさんが割って入ってきた。
「ちょっと待ってくれ。つまり君はサツキで鈴蘭は君の所有する剣という事か?」
「ああ、そうだ。まあ、鈴蘭は剣というよりも刀というものに分類されるがな・・・何か問題が?」
「いや、特にはないが・・・どうも腑に落ちない。君が鈴蘭をもっているならば君が鈴蘭を使って魔王を倒してしまえばいいのではないか?」
「それは無理だ。とある神様との契約でな。俺は鈴蘭を誰かに貸すことになったんだ。」
「ま、まってくれ沙月さん。君は今、神との契約と言ったか?どういうことだい?」
「林野お前は質問が多いな。契約に関しては詳しい内容は喋らない。つかしゃっべたら死ぬ契約になっているからな。」
とんでもない契約してるなオイ・・・もう俺はキャパオーバーしてるぞ・・・
「さてと、それじゃ質問はもうないな。林野、やるぞ。早くこっちにこい。」
「あ、ああ、分かった。」
そう言って林野は闘技場みたいな所に降りて行った。
「んじゃ、始めようか。さっきも言ったが殺す気で来いよ、じゃないとマジで殺すからな。あ、後先手はお前にやるからかかってこい。」
「あ、ああ。では、遠慮なく・・・ハッ!!」
林野は、剣を構えると掛け声と共に沙月さんに一気に接近し、上から剣を振り下ろした。
「はあ、おそい。」
沙月さんはため息をつきながらそう言うと、後ろに行き林野の剣をよけると次は前に距離を詰めて林野を蹴り上げた。
「遅いな・・・お前の本気はこの程度なのか?」
「まだだ・・・俺の本気はこんなもんじゃない!!」
「ほう、本気ではないと・・・俺が最初に言ったことを忘れているようだな・・・なら次からは本気でこい。俺も本気で行くから」
「ど・・・どういうことだい?」
「こういうことだ・・・こい『鈴蘭』、『小鴉』。」
沙月さんがそう言うと、彼女の両手には二振りの刀が握られていた一つは刀身が白く、柄の先には白い鈴蘭をかたどったものが付いていた。もう一つは刀身が黒く、柄の先には烏をかたどったものが付いていた。
「まだまだやるぞ・・・妖術『炎身・蒼の籠手』・・・魔法『夢幻結界』。」
は?・・・いま沙月さん『妖術』と言わなかったか?彼女が妖術と言ったものは如何やら身にまとうものらしく、蒼い炎が彼女の手を包んでいた。
魔法の方は全く見えないからか、全く検討が付かない。
「こ、これが沙月さんの本気・・・」
「いいや、まだだ!!」
そう言うと、彼女の手にまとっていた蒼い炎が刀にも纏わりついた。
「さあ、やろうか。林野。」
沙月さんはそう言うと林野に向かって普通に歩いた
「ちょっと林野、何で何もしないのかしら?」
菜々美さんがそう言った・・・が、実際にその通りだ。沙月さんは林野に向かって歩いているのに林野はそれに対して構えていないまるでそこに沙月さんがいないとみているかのように・・・そうか!!そういうことか!!
「林野!!俺が今からいう場所に合わせて武器を構えろ!!」
俺が林野にそう叫ぶと・・・
「隼人くん?・・・分かった!!」
よし、んじゃ沙月さんの動きを観察してっと・・・
「林野!!右上45度!!」
「ッ!!」
林野が俺が言った所に剣を振った。キン!!と金属同士がぶつかる音がした
「ふむ、塞がれたか・・・ならこいつでどうだ!!」
沙月さんはそう言うと目にもとまらぬ速さで林野に切りかかった。
ここから冒頭の部分になる。
「ぐああああああああ!!」
「なんだ、終わりか?勇者さま?」
沙月さんは煽るようにそう言う。いつの間にか刀は持っておらず、炎もいつの間にか消えていた。
「なめるな!!」
林野は激昂し、手に持っている剣できりかかる。
「ほら、こんな一直線に来ても意味はないぞ?」
沙月さんはそう言うと横に体をずらしてよけた。林野は沙月さんがよけた場所に剣を大振りに振った。
「だから、意味がないっちゅうに・・・よっと。」
沙月さんはよけると同時に林野を尻尾ではたいた。というか尻尾自由に動かせたのな。
「沙月さんもうやめて!!これ以上は林野がつぶれてしまうわ!!」
こらえきれない様に菜々美さんがそう叫んだ。
「うむ、それもそうだな。うし、今日はもうやめるか。」
沙月さんは何事もなかったかのように終了の言葉を口にしたのだった。
「ああ、そういえば言い忘れてたな。」
そう言いながら沙月さんは思い出したかのように林野に向き直った。
「林野、俺からしてみれば一生許せないお前の大事な親父の最後の言葉だ。「済まなかった、林野・・・」
だ。・・・確かに伝えたぞ。」
「ま・・・まて・・・なぜ・・・君が・・・」
林野はそう言うと気絶してしまった。
「気絶したか・・・んじゃ俺はこれで・・・「まて」・・・ん、なんだ?」
出ていこうとする沙月さんを紫苑が引き留めた。
「なぜ・・・お前林野の父親が死んだことを知っている・・・」
紫苑がそうきいた。
「いや、なぜってそりゃあ俺がアイツの父親を殺した犯人だからだが?」
一瞬俺たちの時が止まった気がした。