表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったら神樹だった  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/89

あなたにこの花を

2年以上更新していなくて申し訳ございません!

 一層気合を入れた様子で、ユッテは声を上げると、手のひらで器を作る。

 何をするのだろうか?見たところ、彼女の手に冷気が集まっているようだが……


「我が意を汲み、形作れ"アイスメイク"!」


 ユッテのその言葉を皮切りに、冷気が周りの水分を凝縮し、氷を作り上げていく。詠唱や魔法名からしてユッテが思い描いたものを氷で再現する魔法何だろうか。……だが、見たところその創造は苦戦しているようで彼女の額には次第に玉の汗が浮かび上がってきた。


「母さん、あの魔法って難しいの?」

「そうねぇ、大雑把に発動するのであれば簡単よ?でも、ユッテは精巧に再現しようとしているみたいね。アイスメイクは細部まで拘ろうとするとその分集中力と魔力を消費するの。」


 それ、ユッテは大丈夫なのか?再びユッテに視線を向けると、氷の構築は進んでいるようだが、ユッテはまるで運動した後のように大きく肩で息をしている。汗も滝のように流れているではないか。

 止めなきゃ、そう思い立ち上がろうとしたが目の前に差し出された腕によってそれは阻まれた。阻んだのは――ラディさんだ。


「父さん……」

「お前の言わんとしていることは分かる。が、今は見守ってやってくれないか?やり遂げさせてあげてくれ。もし、倒れてしまいそうならその時は助けてあげてくれ」

「……分かった。」


 俺を制止させたラディさんの腕をよく見ると、僅かながら震えていた。ラディさんもまた、ユッテを心配に思い駆け寄りたいのだろう。

 そんなラディさんが我慢しているのだ。俺もそれに倣い、ユッテを見守ることに徹する。


 しかし、ユッテは何を作ろうとしているのだろうか。今出来上がっている段階では棒のような物しかないが……?

 棒の部分が終わったのか、ユッテは大きく息を吐き目を細める。その様子から見て分かった。ここからが本番なのだろう。


「――いきます!」


 瞬間、今までとは比べ物にならないほどの冷気がユッテの手のひらに集まり球体を形作る。正念場に全員の息を呑む音が聞こえる。

 冷気の球体からはパキ、パキと水分が凍り付く気持ちのいい音が鳴り響く。

 次第に鳴る音も少なくなっていき冷気の玉が小さくなってきたところで、ユッテの体勢が崩れた。


「っ!」

「大丈夫です!」


 駆け寄ろうとしたところで、ユッテ本人からの声が届いた。

 彼女は震えた両の足でしっかりと地を踏みしめ手の器を崩さずアイスメイクに努めていた。

 ……いや、信じたいけど本当に倒れそうで怖いんだよ。心中穏やかじゃないんだよ!早く終わってくれ!ユッテ少し大雑把でもいいから早く完成させてくれ!

 流石に声には出せないので心の中で祈ると、その祈りが誰かに届いたのか冷気の玉が完全に消え失せ、ユッテの手のひらの器には、一輪の花があった。


 ユッテはあの花を創造したのか?……ん、あの花どこかで?

 既視感のある花に記憶をめぐらせる俺の前にフィーレさんに汗を拭いてもらってさっぱりとしたユッテが歩いてきた。その手には作ったばかりの氷の花が。


「はい、ウルトル!これはあなたにプレゼントです!」

「俺に?」

「えぇ、あの時の……私の誕生日のお返しです。」


 誕生日、花……あっ!この花、もしかして


「サンライトの花?」


 俺がこの世界で初めて人の体を得た日、誕生日のユッテに贈った伝説と呼ばれる一輪の花。俺が渡したあの花は太陽のような輝きを放っていたが、ユッテが俺に差し出した花は、どこか月を連想させる神秘的な雰囲気を纏っていた。


「ふふっ、そうですよ?ちょっと細部が違うかもしれませんが……私なりに頑張って作りました!」

「でも何で?」

「何でと言われましても……私、いつもウルトルに助けてもらってばかりで何もしていないなって思いまして。」

「そんなことはないと思うんだけど。」

「そんなことあります!私はウルトルのお姉さんなんですよ?いつも弟に貰ってばかりではいられません!」


 そんな必死なユッテが面白くて、俺は思わず笑ってしまった。

 いきなり笑い出した俺にユッテは面を喰らったが、すぐに気を取り直し俺の手に氷でできたサンライトの花の茎の部分を握らせる。

 氷だから勿論冷たい。冷たいが、不快ではなかった。寧ろ心地よかった。


「いつもありがとうございます、私の大事な弟、ウルトル?」

「こちらこそありがとう、ユッテ姉さん。」


 前の世界で急死して、神属性の木に生まれ変わった時はどうなるかと思ったが、この世界に、この国に、この家に生まれ落ちてよかった。

 大事な家族が出来た。大事な友達が出来た。大事な姉が出来た。

 明日はどんなことが起こるのだろう。だが、何が起ころうと俺は守って見せる。

 何故なら俺は、神樹なのだから。

2年ぶりの更新が、最終回で申し訳ありません。

何というか、少し無理やりでも終わらせることができて良かったと思います。

更新していない時でも、読んでくれた方、ブックマークしてくれた方。本当にありがとうございます。

生まれ変わったら神樹だった は、今回で完結ですが、銀のほかの作品……2つほど放置していますが残りは依然として続いていますのでそちらも読んでいただけると幸いです。


改めて、ここまで読んでいただいてありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ