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生まれ変わったら神樹だった  作者:


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戦闘メイドは朝に水やり

今回の話から数話はフィーレさん目線のお話です。

時系列的にはウルトルが森で冒険者の取り締まりを始めて2日位経ったぐらいですね。

私の朝の日課は屋敷の庭の若木の水やりから始まります。

いいえ、水やりという言い方は少々語弊がありますね、朝食をお持ちするって言った方がいいですよね。

だってその木は――私がお仕えするルーマル侯爵様一家の、息子様ですもん。


「ウルトル様ー今日のお水は如何ですかー?」


何も知らない人から見ると私はじょうろで木に水を与えながら話しかける痛々しい人に見えるのでしょうか?

いえいえ、私は決して痛々しい人ではありません!同僚からは見てて危なっかしいとは言われますけど!

それにこの木、ウルトル様はただの木ではありません。


「あぁー今日の水も美味しいよ、いつもありがとうなフィーレさん。」


私の声に少年の声が応じます。この声は紛れもない、私が水を与えた若木から発せられたものなのです。

名前はウルトル様。6歳でルーマル侯爵の御息女様、ユッテ様と同い年で弟君なのです。

木なのに弟と思われても仕方ありません。仕方ありませんが、事実で、ウルトル様はルーマル家の大事な息子様です!


私は庭で発芽されたウルトル様の第一発見者で、その縁があってか、ご朝食のお水を差し上げる重要な仕事を任されているのです。

……私の先輩メイドのアレイシアさんが「ようやく戦闘以外でまともにできる仕事が見つかりましたね。」ってすごい喜ばれていたのが不服ではありますけど。

ま、確かに掃除するとたまに用具壊したり、皿洗いをすると1枚は絶対割りますけど、この仕事はしっかり失敗することなくやれています!

それに、ウルトル様可愛らしいですしねー!!


「ん?何かフィーレさん嬉しそうだね。良いことあった?」

「えへへ、何でもないでーす!」


おっとっと、顔に出ちゃってましたか。おれはお恥ずかしいところをお見せしちゃいましたね。


「んじゃ行ってくるよ。そろそろ来そうだし。」


ウルトル様から光が漏れたかと思うと木のウルトル様から人間のウルトル様が現れました。

この辺りでは珍しい黒目黒髪の少年的可愛らしさのお顔に見たことのない白いダボダボした服。

これが人間の姿のウルトル様です。……人間の姿?

見るからに、いえ絶対にウルトル様は人間ではないです。そして私はその正体を何となく掴んではいるのですが……駄目ですね。ウルトル様が自分から仰る前に正体を勘繰るなんて失礼極まりないですね。


ウルトル様はこれからラディ様から託された大事なお仕事に向かわれます。

出来ることならお手伝いしたいですが、それは固く禁じられています。何でもルーマル家のメイドである私が加担していると面倒なことになるとか。

大変残念ですが、ルーマル家にご迷惑をかけるわけにはいきません。

ですので私は仕事に赴かれるウルトル様を誠意を込めてお見送りさせていただきます。


「はい、行ってらっしゃいませ、ウルトル様。」

「ってきまー。」


いつもの緊張感のないウルトル様の声が終わると同時にお姿も瞬時に消えました。

移動されたのでしょう、私の前にはウルトル様の意識の無くなった若木のウルトル様だけが残りました。

ん?この足音は……あぁ、ウルトル様言ってましたね、そろそろ来るって。


「ウルトルー!」


屋敷から元気に出てこられたのはユッテ様。

もう体調は戻られたようですね、安心しました。

ユッテ様はウルトル様が大好きでいらっしゃいますからね、遊びに来たのでしょうが――


「ユッテ様、少々遅かったですね。ウルトル様はもう出かけられましたよ。」

「えぇー!せっかく遊ぼうと思いましたのに……」


あらら、ユッテ様目に見えて落ち込んでしまわれました。


「ご理解ください、ユッテ様。ウルトル様は大事なお仕事がありますので……」

「分かっています、街にいた冒険者の事ですよね?」

「御存じだったのですか!?」


まさか!ラディ様からはウルトル様の仕事の内容はユッテ様には教えない様にと仰せつかっています。

手荒な事になりかねない仕事をウルトル様がしているとユッテ様が知るのを快く思っていなかったのでしょう。

ですから、誰も口にはしなかった筈ですのに――


「もう、みんなして私を馬鹿にして。街に見たことのないほどの量の冒険者がいたんですよ?それと同時にウルトルに仕事なんて関係ないなんて言わせませんよ?」


たまにユッテ様が本当に6歳なのか疑問に思う時があります。ウルトル様は例外として


「まぁいいです。皆が私に隠したがる理由も分かりますし、ウルトルのことを信じています。これ以上は聞きません。……まぁ次会ったら一緒に遊んでもらうつもりですけど。」


そこは譲れないんですね……いえ、6歳らしいと言えばらしいですね。


「それに私、ウルトルがいなかった場合、あなたに頼みがあるんです、フィーレ。」

「へぁい!?」


まさか私に頼みだ何て変な声出ちゃったじゃないですか、恥ずかしい!

しかし本当、私に頼み事なんて珍しいですね。ろくに仕事できない私にユッテ様は何をお頼みするつもりなのでしょうか?

場合によってはお断りしなきゃいけませんね。お皿運んでほしいとかは失敗するビジョンしか見えませんからね!


「わ、私にできることなななな、ら、何でもおっしゃってください!」

「フィーレ、そんなに動揺しなくていいですから。あなたに打ってつけの頼み事ですから。」

「私に打ってつけ?」


何でしょうか、重いものを運んでほしいとかですかね?確かにその程度でしたら私でもいけますね。

なんだろうなんだろうと考えている私のことなどお構いなしにユッテ様は人差し指を渡しに突き刺し、こう言いました。


「私を鍛えてください!あなたのように!!!」


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