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生まれ変わったら神樹だった  作者:


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怒れる○

すっごい生気の無い顔の銀髪の女の子だなぁ、大きくなったら美人になりそうな顔立ちなのに勿体ない。

……ん?耳が普通の人間よりも尖っているということはもしかして魔族か?それもエルフっぽい。

女の子は裸足のまま、とてとてと歩きヒロルドの横に立つと、ラディさんに対してぺこりと頭を下げる


「……何だこの子は。」


女の子の可愛らしい仕草にも一切頬が緩みそうにないラディさん。未だ仏頂面だ。

対称的にヒロルドは手を揉み合わせ下卑た笑顔を浮かべている。あぁ~右ストレートでいきたいなぁ。


「実は見ての通りこの娘、エルフでしてなぁ。街から街に移動する時に拾ったのですよ。近くに親もおりませんでしたし、奴隷商にでも売りつけて金にするつもりでしたが――」

「私にその少女と引き換えにあの森の権利を渡せと?」

「おぉ、流石はルーマル侯爵。話が早いですなぁ。」


ちょっと待て、今あのおっさんなんて言った。

拾って親もいなかったから拉致って奴隷商に売りつけるだ?

ヒロルドは想像以上の屑だったことが判明したな。商人が皆こんな奴だとは思いたくはないが、ヒロルドは間違いなくいい人間ではないことは確かだな。

あ、分ってますってフィーレさん。今はまだ突撃しませんから。手に力入れないで。

……で、ラディさんどうすんのよ。まさかかとは思うけど


「帰り給え、ヒロルド殿。出来れば二度とこの領地に足を踏み入れないでくれると助かる。」

「は?」


まさかのラディさんの返答に予想を裏切られたのか、ヒロルドは何を言われたかさっぱり分からないと言いたげな顔になる。


「ま、待ってくださいルーマル侯爵!ほ、ほらこの娘、将来は奥方にも負けない美女になり得る資質を持っていると思いませんか!?」

「確かに君の言う通りかもしれないな。だが、私の最愛の妻レナと比べてくれるなよ?」


知らないにしても、少しの間離れるだけでもレナさんの姿を眼球に焼き付けるほど溺愛しているラディさんに初対面の美少女と比べてもダメでしょ。

ただ怒らせるだけだって。ほら、ラディさんの額にちょっと青筋浮かんでる。


「ですが!でもですよ、ルーマル侯爵!ほら、性奴隷として用いれば!ルーマル侯爵も人が悪いですなぁ!この屋敷のメイドは全員そういうのでしょう?」

「は?」

「ですから、メイド兼夜伽なのでしょ――」


ヒロルドが全ての言葉を言い終わる前に、ヒロルドとエルフ少女の間に剣が振り落とされ、轟音とともに地面に大きな亀裂を作った。

アレイシアさんではない、剣を振るったのは――ラディさんだ。


「やぁすまない、ヒロルド殿。何やら聞き捨てならない言葉が聞こえたんで手が勝手にね?」


ゆっくりと顔を上げるラディさん……あ、駄目だアレ怖い。マジで怖い。凄い怖い。

基本的に人当たりのいい笑顔を振りまいているラディさん。今も笑顔は笑顔なのだが、俺の見間違いでなければ後ろに般若が見える。


「メイドたちで夜伽?ハハハッ、面白いことを言うなぁ。彼女たちは僕の、いやルーマル家の誇る大切な仲間だ。それを夜伽相手?それは侮辱ととっても構わないのかな?」

「い、いえ!そのようなつもりでは!」

「じゃあどんなつもりだったのかな?」


笑顔で剣の切っ先をヒロルドの鼻に近付けるラディさんの目は笑っていない。なるほど、ラディさんがマジ切れするとこうなるのかぁ……怒らせないようにしよ。

ってかフィーレさんの手もラディさんの後ろにいるアレイシアさんもガタガタ震えている。

アレイシアさんはともかくとして、メイド隊でもトップのフィーレさんがここまでとは。

いや、ラディさんに動揺していないものが1人だけいる。あのエルフ少女だ。

ボーッとラディさんを見つめたまま表情一つ変えない。人形のような少女だなぁ。


「ヒロルド殿?今なら去って二度とここに現れなければ何もしない。だがこれ以上私の家族、仲間を侮辱するなら――君も名前くらい聞いたことがあると思うが、"守円の剣"。その切れ味を味わう事となると思うが?」


え、何ですかその二つ名。初めて聞きましたよラディさん。これはあとで問い詰めねば。

さて、ヒロルドはと……うわっすげぇ真っ青になって震えているよ。


「し、失礼しましたぁ!!!」


ラディさんの鬼のような気迫と二つ名に恐れおののいたのか、エルフ少女の腕を乱暴につかみ、馬車へと逃げ込み、さっさと屋敷から出て行った。

まさに脱兎のごとく。いや、脱豚のごとくだな。時速30キロ走る豚がいるらしい。


うん。すげぇもん見たなぁ。

基本的にルーマル家の人々は怒らせたら駄目なんだね、ウルトルまた一つこの世界の理を学んだよ。

さて、あのヒロルドが連れて来たエルフ少女。あいつ馬車に詰め込まれる瞬間、こっち見たな。

何か気になるんだよなぁ。


ま、今はいいか。とりあえず今はラディさんが――ってあれ?

ラディさん、お顔真っ青じゃない?あれ?今の今まで凄い怒っていたのに見る影もない顔……あ。

ラディさんの目線の先、屋敷の中に仁王立ちしている1人の女性。レナさんだ!

うっわ、寝間着で凄い眠そうでイライラした顔をしている。もしかしてレナさん、ラディさんのあの剣の音で起きちゃったのかー


あぁらら、こりゃラディさんしっぽり怒られますね。アレイシアさんの援護も無意味みたいだ。

俺は背後にいるフィーレさんと暫く目を合わせた後――


「俺、二度寝するよ。」

「じゃあお供しましょうか。」


いや、フィーレさんは仕事してよ。

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