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生まれ変わったら神樹だった  作者:


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商人ヒロルド

久々のゆっくりとした朝。俺は朝食の美味しい水をフィーレさんから頂いている。

最近は冒険者が来るたび出迎えて追い返してきた。深夜、本体の中にいてもキイから出動の要望が飛んできて冒険者の対処に当たる。

領民が寝静まっている中、俺何やってるんだろって思えてきたわけだ。

冒険者も夜なら大丈夫だろうという謎の自信の下侵入したんだろうけど俺には関係ないわけで。

むしろ対応が雑でちょっと痛めつけちゃったこともあったな。


「ねぇ、フィーレさん。冒険者全く来なくなったんだけど何か知ってる?」

「はい、そのことですけどラディ様から伝言を授かっています!もう冒険者があの森に勝手に入ることは無いですって!」

「へ?」


気の抜けた声が出てしまったが、勝手に入ることは無くなるというのはどういうことだ?


「実は、ラディ様が国王様にあの森をルーマル領に加えるように要望書を出したんです。そしたら許可が出まして!」

「ほう。」


俺が森に出張ってる間にラディさんちゃんとアクションを起こしていたんだな。

確かにあの森は今まで誰のものでもない森だった。そのため、冒険者が森に入っても不法侵入にもならず、メイド隊が彼らを追い出そうとすると、ただの森を探索している冒険者を意味もなく攻撃したとされ、罪に問われる。

更に言えば彼女らを雇っているラディまでも罪に当たる可能性だってあるわけだ。

だから今回、身元が割れてない俺が仮面をかぶって冒険者を排除していたわけで。


「まぁ、エルベルド王なら快く許可出してくれそうだしな。」

「むしろ王様はとっくにルーマル領かと思われてたみたいで……」


だからあっさり許可出してくれてたのね。

領民の中にも森はルーマル領だと思ってた人もいたみたいだし、名実ともにルーマル領になれたというのならばそれはいいことだろう。

それにこれでラディさんが許可を出さずに侵入したものは不法侵入者として扱われることとなる。

ラディさんの事だからよっぽどひどい奴じゃない限りメイドたち使って殲滅することは無いと思うけど。


「そっかそっか、それなら安心だな。これで俺の今回の仕事も終わり?」

「そうなりますね。ウルトル様、お疲れ様でした!」


お疲れ様言われる疲れては……いや、最大の敵は夜でしたね、間違いない。

冒険者も基本的に雑魚ばかりだから対処も簡単だった。アランのように襲い掛かって来る者もいたが、それでもアランには及ばず、エトリで追い返した。

これであの商人も手を出すことは出来ないだろう。

一応その事を聞いてみるとフィーレさんの表情が曇った。


「それがですね……」


ん?


「来てるんですよ。その商人さん。」


は?


耳を凝らしてみるとドンドンと荒々しく門を叩く音が聞こえる。

うわぁ、乗り込んできたのかよ商人。商魂たくましいのはいいことだが、朝早いぞ。迷惑考えろや

声もこっちまで聞こえてくるぞ。



「ルーマル侯爵!私です、商人のヒロルドです!お話を聞いていただけますかな!」


騒ぐな喧しい。ラディさんやメイドたちはともかくレサさんやユッテはまだ寝てるかもしれんのだぞ。

それを顧みず音立てて大声で叫びやがって……


「殺しちゃダメかな?」

「駄目ですよ!?」


いやでもあれ普通に声かけても叫びそうだからなぁ……手っ取り早いの息の根止めた方がいいと思うんだけど。

仕方ない、声をかけてせめて大声だけは止めてもらおう。

最悪ボコる。


人間態で本体から出てフィーレさんを伴いヒロルドとやらの所に向かおうとしたところ、門を開く音が聞こえた。

ふむ、チョイと物陰に隠れて様子を見てみると、大きな馬車にデブった男、あれがヒロルドかな?

扉から出てきたのは……おやあれはアレイシアさん。

眉間に皺が寄っているからあれ、キレてるや。


「ヒロルド様。ご家族の皆様が騒音で起きてしまわれるので音を止めて頂けるとありがたいのですが。」

「メイドには用はない!ルーマル侯爵を出さんか!」


何言ってんだコイツ。本格的に暴力に訴えたくなるぞ?

俺の殺気に気付いたのか、フィーレさんが俺の肩を抑えてぶんぶん首を横に振っているからまぁ今抑えておこう。


「お帰り下さい。ラディ様は貴方と話すことは無いと仰られています。」

「フン!メイドじゃ話にならん!ルーマル侯爵を出さんか!」


アレイシアさんがメイドだからとあの態度か。

ヒロルドは人を見下すのがお得意と見える。そして大きなものに取り入るのが大好きとも見える。

つまるところ、クズにしか見えない。

あぁほら、アレイシアさんの眉間がどんどんと深くなって――ん?


「私を呼んだか?ヒロルド殿。」

「おぉ、ルーマル侯爵!」

「旦那様!?」


欠伸を噛みしめながら扉の奥からラディさんが現れた。一瞬寝間着かと思ったが、良かったちゃんとした服だ。


「ヒロルド殿、昨日から何回も言っただろう。君にあの花畑について教える気も花を提供するつもりもない。」


昨日も来たのかよ……諦めろよヒロルド。

いや、あの顔は諦めが悪い顔だな。ほらみろ、なんか企んでいるようにグッフッフと笑っている。


「何が可笑しいのかな?」


ラディさんの声にも苛立ちが見え隠れしているというか、あれ隠す気ないな。


「いえいえ、実はルーマル侯爵にお渡ししたいものがありましてな。それと森の中にある花畑の権利を交換していただきたく思うのですよ。」

「下らないな、私はどのようなものを持ってきても君に花畑をくれてやる気にはならないと思うが?」

「まぁまぁ、まずは見てから判断してください。――オイ!」


ヒロルドは馬車に向かって大声を……出すなってうるせぇなぁ!

って、ん?荷台から誰かが出てきた……む、女の子?

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