俺は知らない
一通り花畑全体を楽しんだことでレリィは満面の笑みで戻って来た。
冒険者なんてしてたら滅多に花を愛でるなんてできないだろうからな。
キィもレリィの花好きを気に入ったのか、今後も立ち入っていいと許可を出した。ここまでの花好きも珍しいからな。
「じゃあ俺等はここいらで失礼するわ。」
「送ろうか?」
「いらねぇよ!?……道は覚えたしよ。」
遠慮しなくてもいいのになぁ
……あぁ、なるほどなぁ。2人きりなぁ……フフフ
「気持ち悪い笑顔止めろ。ンじゃあな。」
チッ恥ずかしがっちゃって。
「そうだアラン。お前この森には強力で凶暴な精霊がいるから入るのはお勧めしないって触れ回っといてー!」
「ウルトル様……?」
いや、だって神様だと信憑性湧かないじゃん。ほら、闘ってるところ見たことないけどキイ強いじゃん多分。だからそんな顔しないでって。怖い怖いごめんなさい。
アランは俺の言葉に了承したように背中越しに手を振りレリィは軽く頭を下げ、その場をさ――
「お、そうだ。」
らねぇのかよ。急に立ち止まってどうしたし。
「なぁウルトル。お前変な気配を感じる魔物って知ってるか?」
ん、聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ。変な気ってもしかしなくてもアレの事か。
「変な気配ね。あれか?魔物に纏わりつくような黒い靄みたいなものか?」
「いや、俺は見えたわけじゃなくて感じたんだが、まぁそんな感じの奴だ。ってことは知ってるみたいだな。」
「あぁ、この森でもウォーウルフがその気配を纏っていたし、王都アラキファでは人にその気配が乗り移っていた。」
俺は簡単に王都アラキファで起こった事件についてアラン達に話した。
そう言えば、キイにも話していなかったから丁度いいな。
「そうか、そんなことが。俺たちの方はある遺跡を探索していたら遭遇したんだ。それもゴーレムが何体もな。」
ゴーレム?
ゴーレムと言えば石の巨人であれは生命体というより魔力で動くロボットのようなものだと俺は勝手に考えているんだが、あの気配は無機物にも憑依できるのか?
しかし、この状況でアランが嘘をつくとも思えない。真実なんだろう。
遺跡でゴーレムに気配がねぇ。念頭に置いておくか。
「なぁレリィ、そのゴーレムは鑑定しなかったのか?何か変な状態異常がかかったりとか……」
「いいえ、鑑定はしたけれど特におかしなところはなかったわ。もしかしてもっと強力な鑑定スキルを持っていれば見えるのかも。」
うーん、俺、というより神は鑑定スキル使えないからなぁ。
確認しようにもできないな。レリィの鑑定が駄目なら鑑定紙も無理だろう。
「結論から言うと俺もあれはよく分からん。強いて言うなら良いものじゃないってことぐらいか。」
「ンだよ。お前も分からねぇのかよ。」
「知ってるか?神って結構万能じゃないんだぜ。知らないもんは知らん。だけどまぁ……気を付けろよ。」
少し真剣みを帯びた風に言うとアランもまた神妙な顔で頷いた。
アラン達なら大抵の魔物なら大丈夫だとは思うが、それでもあの気配が関わるとなると心配にもなる。
最悪次あった時には王都の人々のように操られたりなんかするかもしれない。
そうなった場合俺はどうするんだろうな。
そんな事を考えているうちに2人の姿は森に消えていった。
……まぁ今あの気配の事を考えても仕方ないよな。
俺が今気にすべきなのは侵入してくる冒険者の事だ。
「ウルトル様、また5人ほど冒険者が侵入してきました。よろしくお願いします。」
あいほらさっさっと。
俺は少しだけ気怠さを感じつつも冒険者を追い出すだけの単純作業に取り掛かった。
・
・
・
・
森に侵入してくる冒険者は日に日に数が減り、ラディさんから頼まれて5日くらいの時、とある冒険者がエトリにビビって森から逃げ去る際に発した一言
「や、やっぱりあのアランが言ったことは本当だったんだぁああああああああああああ!!」
うん、アラン君はちゃんと仕事を果たしてくれたみたいだな。
それ以降ぱったりと冒険者たちは森に入ってこなくなった。
これで商人が諦めてくれたかどうか、それは神のみぞ知る。いや、俺は知らんけど。
ブクマ・感想ありがとうございます。それを励みに頑張れます。
いつか小話というか、ウルトル以外の話を書いてみようかと思います。(予定は未定)
書くとしたらユッテかフィーレでしょうかね。




