今までとは違う冒険者
指示された場所に行ってみると、キイの言った通りいるな。
ふむ、男女コンビの冒険者か。剣士に……神官?年齢が若そうなのは他の冒険者も殆どがそうだったが、コイツ等はなんか違う気がする。
纏ってる雰囲気が他の奴らとは違う。歴戦潜り抜けてそうだな。
俺は鑑定使えないから観察するしかないが、強そうってのはよく分かる。あのオスニエル王子よりは強そうだ。
「オイ、そこの奴。出て来い。」
おっと?気づかれないように離れて観察していたのに、男の視線は間違いなくこっちに向いているな。
どうして俺の場所を察知したのかは分からないが、相当な実力者ってのは間違いじゃなさそうだ。
依然としてこっち睨んでるし、俺が姿現すまで動かないつもりか?
ま、いいか。出てやろう。
「そこの奴とは失礼だね、お兄さん。こんな子供を威嚇しちゃだめだよ。」
あくまで子供として奴らの前に顔を出す。
あ、でも顔バレは嫌だから仮面は付けているよ。
さて、奴らはどんな反応を示すかな……ってうおっ!?
「チッ、避けられたか。」
まさかいきなり斬りかかって来るとは思わなんだ。何だコイツ、子供に対して刃を向けるなんて!
女の方も男の行動に何も言うつもりはないみたいだ。というか、女も俺を睨んでるな。
「ちょっとちょっと、乱暴すぎない?こちとら普通の子供だよ?」
「はぁ?普通の子供がさっきの一撃避けるかよ。」
「そりゃごもっともだね!」
こりゃ一本取られましたな!確かに一般的な子供であれは避けられないよね。真っ二つになっていたことだろう。
それを見越したうえで斬りかかるのか……
「アラン、出てきた人たちの言ってたことは本当みたいね。」
「ああ、角の生えた鬼っぽい人間の仮面に白の見たことのない形状の服。コイツで間違いないな。」
何だコイツ等、いきなり話し合い始めて。だが、こっちの警戒は怠っていないみたいだな。
聞いてみようか、答えてくれるかは知らんけど。
「何話してんの?」
「てめぇの事だよクソガキ。さっきから依頼を受けた奴らが次々と逃げるように森から出てくる。そいつらに話を聞いてみるとこういうんだよ。『変な仮面をつけた子供が見たこともない強力な魔物を使役してる』ってな。」
「それが俺だと?」
「そんな特徴的な仮面付けてりゃあな。」
それもそうか。しかし不味ったなぁ、口封じもしておくべきだったな。
「で?お兄さんたちはそれを聞いて俺をどうしようと?」
「なぁに、ちょっと手合わせしてもらうかとな。出してみろよ、その魔物とやらをよ。」
挑発的な目だな。魔物っていうのはエトリの事だろうな。というかそれ以外に心当たりがない。
魔物扱いされるのは不服なんだけどな。あんな可愛い奴を魔物というなんてひどすぎる。
俺は懐から種を取り出し地面に落と――
さなかった。
「嫌だよ?何でわざわざペットが殺されるのを見なきゃいけないの?」
「ほぉ?お前の魔物は俺以下だと?ってかお前そのキャラ作ってるだろ。雰囲気と合わねぇぞ?」
「そこまでお見通しかよ、お兄さん。あと魔物じゃねぇからな。俺の可愛い可愛い植物だ。」
エトリはあくまでも植物。決して魔物なんかではないのだよ。
にしても後ろの女はちっとも話さないな。俺と……えっと、アランだっけ、しか話してないぞ。
ジッとこっちを見ているだけでなんかむずかゆいな。
「どうだ、レリィ。鑑定は出来たか?」
何っ!あの女、鑑定持ちだったか。つまりアランが俺と話していたのは鑑定が完了するまでの時間稼ぎだったのか。
あちゃーつい乗っちゃったよ。
でも俺を鑑定したという事は俺のステータスを見れたってことか?
やっばい、凄い楽しみ。
って、レリィとか言ってた女の子、何か震えてない?何か俺を恐ろしいものを見るような目で見てない?
「見えない……」
震えた口から紡がれた言葉にアランの眉が吊り上がる。
「あ?レリィ?」
「見えないの……あの子、鑑定しても何も見えないの!靄がかかったような、黒い何かに覆われてステータスが、名前すらも見えないの!!」
残念、彼女じゃ俺のステータスを見れるほどの鑑定を持っていなかったという事か。
はぁ、期待して損した。
「オイ、クソガキ。」
「何だよ、アラン君。」
「てめぇ、何者だ。」
「何者だと思う?」
質問を質問で返しちゃダメだってどこかの誰かが言っていた気がするが、まぁ気にする必要はないよな。
「しらばっくれるなよ。レリィが鑑定をし損ねるなんて滅多にねぇことだ。鑑定妨害のスキルだろうが少なくともてめぇみてぇなガキが持っている力じゃねぇ。大方魔法で姿を変えている魔族ってところか?」
どうしてそうなるし。鑑定妨害なんて使ってないし、使った結果鑑定されないんだったら俺はそのスキルを解除しているだろう。
まぁアランの質問には正直に答えておこうか。
「ガキだよ?見た目通りにさ。正真正銘の生後6年だ。」
「そうかよ、白を切るつもりか。」
「いや、本当なんだけど……?」
真実教えたのに嘘と思われるとは何故だし。そんなに俺の言葉が信用ならないのか、泣けてくるぜ。
……おい、待てアラン君。何腰落としてるの?何で剣を持つ手に力入れてるの?
ねぇレリィにボソッと言ったかと思うと彼女、後ろに下がったんだけど?
「だったら正体も隠せないほど追い込んでやるよ!」
うん、予想通り斬りかかって来たね。
さっきの不意打ちと違って体を逸らすだけ余裕で避けさせてもらったけど。
「何、アラン君俺と闘うつもりなの?」
「闘う?違うな、殺すつもりだよ!」
「うっわー怖いわー。」
しかし、アラン君本当に強い部類に入るな。
次々と斬りかかるが、疲れから剣を振る速度が遅くなるどころか、むしろ早くなっている気がする。
まだ余裕で避けられるけどね。
ってあれ?体のバランスがってコイツ足引っ掛けやがった!
「死ね!」
アランの剣が俺目掛け振り下ろされる。
剣だけに集中させ、足元をおろそかにさせるとは、やりおるな。
いやぁアラン君、顔怖いよ。笑いながらって人殺しのそれだよ?
そんな挑発めいた言葉も出る間もなく――
アランの渾身の力によって振り下ろされた剣が真っ二つに割った。




