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生まれ変わったら神樹だった  作者:


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長く濃い一日

「ちなみにエルベルド王。王的には誰から狙われているってのは分かる?」

「ううむ、申し訳ない。王という立場上あらゆるものから狙われているでしょう。前なんかメイドに毒を盛られかけましたからな。ハッハッハ。」


それ笑い事じゃないんですけどね……

そのメイドは絶対ただじゃすまないよなぁ、死罪かはたまた奴隷に落とされるか。

この王都では奴隷なんて見たことないからそう言う制度自体ないのかもしれない。


「ただ、比較的温厚な立場の我らの国もあれば、他国から資材を奪わんとす武力主義な国もあります。性質が悪いのは純粋に戦争を好む国も残念ながらこの国には存在しとります。」


そりゃ怖いな。俺たちがいた世界でもそういう時代もあったがそんなものだろうか。豊かな生活を望むが故の戦争……間違ってはいないんだろうけどいい気分はしないよな。


「この件に関しては私共の方で調べておきましょう。最悪、戦争になるやもしれませぬが……」


王様が命狙われて黙っているわけにもいかないからな。そんなことをしたら確実に他国から嘗められること必至だしな。

俺個人としては戦争は目の届かないところでやってほしいのだが。


とりあえずこの話は締めとしよう。後は王都アラキファの問題だ。関係しちゃったとは言えあまり踏み込まない方がいいだろう。

そんなことよりも俺にとって大事なことがある。


「で、エルベルド王。ユッテ達はどこにいるんだ?」

「おぉ、そうでしたな。彼らは今――」


「王よおおおおおおおおおおおおお!!ご無事ですかああああああああ!!!」


王が言葉をつづけようとしたその時、謁見の間の崩れた扉から騎士たちが、いや執事もメイドも庭師も料理人も、避難してきた街の人も我先にと部屋になだれ込んできたではないか。暑苦しい。

城の中の連中は意識を取り戻し、街にいた騎士も戻ってきたのだろう。



「おぉ、よくぞ戻ってきてくれたぞ、お前たち。安心せよ、腕こそ失ったが私は大事ないぞ。」


いや、腕失くした時点で大事でしょう。まともな王様かと思ったけどやっぱりどこかおかしいのかエルベルド王。強がって騎士たちを安心させようとしているんだよな?そうだよな?

うわ、皆号泣だよ……でもこれってそれだけエルベルド王が愛されているという事か。


暴動を止めに行った騎士たちの報告によると、死者は残念ながら出てしまったみたいだ。重傷を負ったもの、軽傷を負ったものもいるが無事なものは既に壊れた建物の修復に取り掛かっているらしい。


この様子じゃ観光なんて言ってられないな……おのれダークエルフめ。この恨みはらさで置くべきか。




「こちらです。」

「ありがとうございます。もう戻っても大丈夫ですよ。」


その後、俺は王様に俺の案内役に任命された執事に連れられてユッテ達が避難しているという城の一室に連れて行ってもらった。

何度も城の地図を見直していたから彼はまだ新人なのだろうな。

俺の言葉に執事さんは一礼すると自分の持ち場へと戻っていった。

……でさ。


「何でアラキファまだいるんだよ。」

「あら、いいじゃない。王都の危機を救った仲じゃないの。」


俺はともかくアンタは自分の国なんだからそりゃ危機を救わなきゃ駄目でしょ。

まぁこのまま何を言っても帰らないんだろうから無視していよう、そうしよう。

扉の取っ手を掴み、ゆっくりと扉を開きまず目に入ったのは


「おぉ、ウルトル。無事だったか……って何だその顔は。」


ラディさんかよ、そちらこそ無事でよかったけどお呼びじゃねぇ。


「ユッテは?」


俺の今の疲れた精神を癒してくれるのはユッテの笑顔なんだよ。

ラディさんソファーに座っているだろ、アイヴィーさんはラディさんの後ろに立っている……あ、扉は言ってすぐにフォルクスいたわ。気づかなかった。

お、フィーレさん発見。ベッドの近くの椅子に腰かけてこっちに手を振っている。

手を振り返したらフィーレさんが片方の手の人差し指を口の前に当て、もう片方の手でベッドを指さしている。

静かにしろという事か?

言われた通り静かにゆっくりとベッドの方まで行っていると


なるほど


「ユッテ様、疲れて寝てるんです。」


確かに今日あったこと、インパクトでかかったよなぁ……炎神アラキファのお遊びを近い場所で見てその後暴動騒ぎですよ。

ある意味ユッテは俺より精神的に疲れたんじゃないだろうか。


軽くユッテの頭を撫でるとうれしそうな表情をしてもぞもぞ動いたではないか。

何これ可愛い。

だが、触りすぎて起こしちゃいけないからこれくらいにしておこうかね。

フォルクスの言う事にゃ今日はここに泊まってもいいみたいだ。



「ウルトル、色々あったみたいだな。」

「今日は本当に濃い一日だったよ……」

「それはまぁ追々聞いていくとしてだな。ところでそろそろ紹介してくれないか?」

「誰を?」

「誰ってほら後ろの……」


ラディさんの目線の先には――あ、アラキファのこと忘れていたなぁ。ユッテの事が心配でアラキファの存在なんて吹き飛んでしまったわ。

ちょ、やめてアラキファ様、肩痛いから。本当にすいません、いやぁ忘れるわけないじゃないですかアハハ。


「じゃあ紹介するよ。こちらアラキファ。」

「ほぉ、この王都と同じ名前の女性か。ハハッそんな人がいるのか?確かこの国に祀られている神がそんな名前だったよう、な……」


おっとラディさん、どうしたよ?段々と喋るスピードが遅くなってますよ。

あらあら、口もパクパクさせて、しかも汗びっしょりで指震えていますよ。


気 づ い て し ま わ れ た か


「初めまして、ルーマル侯爵?お察しの通り炎神よ」


騎士と話していた時のような営業スマイルさながらの笑顔……

アラキファはニッコリと微笑み軽く自己紹介する。

そこからラディさんの行動は早かった、というか一瞬だった。

アラキファからラディさんに視線を戻した時彼は既に――


土下座していた。

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