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生まれ変わったら神樹だった  作者:


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エトリ

「そろそろさ、捕まってくれないかなぁ?」

「うふふ、そう簡単に捕まると思って?」


何で捕まらないんだよコイツ……最小限の力を使っているとはいえここまで華麗に避けられるとショックなんだけど。

そろそろイライラしてきたぞ。あの余裕そうな顔が余計腹立たしい。


「これでも私もショックなのよ?腕には自信はあるのにここまで攻撃を当てられないなんて……しかもこんな子供に。」


まぁ見た目は子供でも頭脳と力は段違いだからね。見た目は子供、頭脳は大人(E級大学)力は神だからな。

だがこれ以上時間をかけるのも面倒だ。隠し玉があるかも入れないし何より……ユッテが心配だし。あ、あとラディさん達も

だからさっさと終わらせたい。というか終わらせたる。


「お姉さん、そろそろ終わらせてもらうよ?ちょっと飽きてきたから。」

「あら失礼ね、坊や。飽きたなんて女性に言う台詞じゃないわよ?」

「言ってろ。」


まだ余裕ぶってやがるな。だがまぁその方が都合がいいよな……油断してくれればその分捕まえやすくなるというものだ。

俺は木刀を思いっきり床に突き刺し、力を注ぐ。

ダークエルフは俺の行動を訝し気に見つめたが、次第にその表情が驚愕のものと変わる。


奴が気づいたのはまず床だ。

木刀が突き刺した先から亀裂が走り出しどんどんと広がっていきその亀裂の狭間から、緑色の物体が顔をのぞかせた。


「な、何よこの魔物!?」


ダークエルフが見上げるその先には緑色の平べったい大きな頭。

その頭には生物の多くが持っている目や鼻を持たず大きく裂けた口のみが存在していた。

体は頭同様緑色の細い胴体。肩など呼べる部分は無く胴体から触手が5本生え、その先には頭同様の口が付いている。。

それより下は床に埋まっているため確認できないが、俺が生み出したそれの大きさは人の高さを優に超えていた。

というか魔物とは失礼な!俺が魔物なんて生み出すわけないじゃないか。


「酷いことを言う。コイツはれっきとした植物だって。しかもこんなに可愛いのに。」


俺が手を上げると緑色のそれは頭を俺の手の位置まで下げ俺に服従しているという意思を見せるのでその頭を撫でてやる。結構すべすべしている。

さて、こいつだが名は……そうだな。


「よし、お前の名前は"エトリ"だ。」

俺がそう言うとエトリは口をパカパカと開け閉めするが、多分喜んでいるんだろう。可愛い奴め。

名前の由来だが、こいつの元となった植物、ハエトリグサから拝借した。

しかし力使っちゃったなー髪の先が白ずんできた


「ちょっとー何変なの生み出してるのよー。」


背後からアラキファから批判的な声が聞こえる。


「変なのとは失礼な!エトリは俺の命令に忠実な可愛い食人植物だぞ!ってかアラキファもうちょっと止血集中してあげて!」

「ぬおおおおおおおおおおおおおお!!」


まだエルベルド王悲鳴あげてるじゃん!早く終わらせてあげろよ!

ダークエルフに視線を戻そうとした瞬間、エトリの腕が俺の眼前を横切った。

何事かと思ったらダークエルフが俺に迫って斬りつけようとしていたみたいで、エトナはそれを弾いたと。

ナイスエトリ。


「ちっ!」

「余裕なくなったね、お姉さん。」

「そうね……予想外にもほどがあるわ。まさか服従する魔物を作り出すとは。」


聞いてないな、あいつ。だからエトリは植物なんだってば。あくまでも植物。これ大事。

分かってない奴には分からせる必要があるな。


「エトリ、あいつ捕まえろ。食べちゃ駄目だぞ?」

ガチンガチンと口を開閉する。やる気十分みたいで何より。

無い目で狙いをダークエルフにロックオンしたエトリは素早かった。

5本の触手がダークエルフに噛みつきにかかる。


攻撃はさっきの一撃でエトリには通らないと察したのか避けの1手だ。

さっきの俺の動きとは違い触手の動きは素早い。触手特有の柔軟性も相まって避けるのも一苦労そうだが今の所はダークエルフも何とか避けているみたいだ。

だがいくら今避けられていても奴は生き物だ。当然疲れが出始めて――


「ぐっ!」

苦痛の声を上げるダークエルフ。肩に触手が掠ったみたいだ。

その後も少しずつ触手が当たるようになり……しかし、あのダークエルフの体力も相当なものだな。もしかして魔法も使ってるのかな?


そしてとうとう……


「ダークエルフの植物巻きの完成。」

そこには触手に顔以外ぐるぐる巻きにされたダークエルフの姿があった。ダークエルフ×触手のはずなのに色気もくそもないのはエトリにそういう知識が全くないからだろう。エトリは清純。


「で、お姉さん。そろそろ話してくれない?狙いはまぁ王様の命だとしてさ。どこの国から来たとかさ。」


俺はあくまで優しく語り掛ける。ここで下手に怒鳴ったら逆に口を閉ざすかもしれないし。


「はぁ……まさか捕まっちゃうとはね。敗因は貴方というイレギュラーが存在することかしら。」

「いやあの、感想とか反省とかいらないんで喋ろよ。」

「あなたに話すことなんてないわ?坊や。試合には負けたけど勝負には買ったつもりよ?私。」


話すつもりないな、こいつ。逃げられないと分かっているはずだが……

体をぐるぐるにして腕も動かないようになっているから仮に仕込み刀とかあっても取り出せないだろうし。

じゃあいいか。話すつもりがないなら脅して黙秘する意思を砕いてしまおう。

その方法とは


「エトリ、食っちゃっていいよ。」

俺のにエトリの頭の大きな口が開かれる。

エトリは俺の意図を理解してくれたみたいで口を開いたままゆっくりとダークエルフに向かって顔を下ろしていく。


「あらあら、そんなことをしてもしゃべらないわよ?」

「ん?いや、別にいいよ。喋らなくてもエトリの餌にでもなってくれれば。」


無理に口を開かせちゃ可哀想だもんね!なら栄養になってくれた方が俺も嬉しいエトリも嬉しい皆嬉しいでいいこと尽くめだね!

ダークエルフは気丈に振る舞っているように見えてその実、頬に一筋の冷や汗が流れているのを俺は見逃さなかった。

どうやらちゃんと恐怖を与えられているようだ。


ついにエトリの口がダークエルフの目の先鼻の先と近づいた。

あらあら、エトリちゃんったら涎なんて垂らして意地汚いわぁ後でよく言っておかなくっちゃ☆という寒いノリは止めておこう。


「よしパクっちゃえ。」

エトリに喋る能力があればわーいとか言っていたんだろうか。でも嬉しそうにさらに大きく口を開いたのは俺分かっているよ。

まぁ本当に食べるわけじゃなくて口の中に閉じ込めるってだけなんだけどね。


「チッ!我が神よ――お許しください!」

ダークエルフがそう叫んだ瞬間、無慈悲にもエトリの口は大きな音を立て閉じた。

神とか気になるワードを呟いていたがまぁいい。多分今は気絶しているだろうしあとでゆっくりと聞きだせば……ん?

エトリが首を振っている。


「どうしたエトリ?」

問うとエトリが顔を俺の近くまで寄せるとダークエルフが入っているはずの口を再び開き中身を俺に見せる。

その中には――


ダークエルフの姿が無かったのだ。影も形も。

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