無意識にしていた力の行使
あぁんもう、熱いなぁ……この鳳凰。
予想通りというか、当たり前の事なんだけど振るうたびに俺の木刀が燃え、炭へと変化してしまう。
王子の時は相性以上の力の差があったから押し切れ、王子が力尽きるまであの鳥を縛り上げれることが出来た。
でもこの鳳凰となると話は別だな。
だって炎神がわざわざ作り上げた奴だからな……あれと比べちゃ失礼というものだ。
だからと言ってここで音を上げるのは男として断固嫌だ。せめて一矢報いてやらねば
「おっらぁ!」
力任せで木刀を振るっても鳳凰の肌に触れる前に炭化してしまう。これの繰り返し。
鳳凰はというと全く攻撃してこない。
『あぁその子?君が攻撃当てられるようになったら攻撃するようになってるから。ま、頑張んなさい。』
「そいつはどーも!」
炎神楽しそうな声を出しちゃってまぁ!気に食わないが今俺は奴の娯楽に付き合わされているんだろうな。
暇を持て余した神々の遊びってか?俺は遊びなんかじゃなくて真剣にやってるんだよ!
……ん、待て。こいつ攻撃当てるまで攻撃してこないんだよな?
じゃあ休めるじゃん。ちょっと対抗策考えよ。
『え、ちょっと何座ってんの?』
『攻撃しないんだろ?じゃあ作戦考える時間だってくれるんだよな?』
『ふーん?まぁ私が言い出したことだしいいよ。好きにすれば?』
炎神様のお許しがでたべ。ありがたやーありがたやー
鳳凰も不思議気にこちらを見つめ、攻撃してこないと判断したのか、鳳凰の方も座った。以前視線はこっちを向いているけど。
さて、どうしようか。
木刀は炭化、ツタは触れるより先に燃え尽きる。
んーもう少し何かできるんだろうけど俺自身が俺のの能力を把握しきれていない。
いままでやってきたことは…植物を生やしたり、呪いを解呪したり、武器作ったり、木の精霊にキイと名付けたり、あとウォーウルフを瞬殺したり……
アカン、今のこの状況に役に立ちそうなことやった記憶がない。
「ウルトル……大丈夫ですか?」
ユッテが心配そうな目で俺に声をかけるが、やっぱりユッテは癒しだなぁ。
元気が出てくる気がする。
しかしユッテに心配を掛けさせるのはイカンな。ユッテに心配をかけることは俺にとって罪に等しい。
「大丈夫だよ、姉さん。あんな鳥すぐに片付けるからそんな目しないでな。」
「駄目です!心配します!だってウルトル……髪薄くなってますもん!」
「はぁっ!!??」
ちょっと待って!ユッテ、今髪薄くなっているって言わなかったか!?
慌てて髪を触るが、あれ?髪の感触あるぞ?ふさふさ……してるよな?
「あ、あのウルトル。すみません、髪の量が薄くなってるんじゃなくて……ウルトルの髪の黒色が白に。」
試しに一本抜いてみると本当だ。俺の髪の色が白に染まっていた。もしかして、力を使いすぎたからだろうか?
だとしてもこれ以上無駄に力を使うのは駄目かもしれない。
でもいい案浮かばないんだよなぁ……こういう時は俺だけで考えちゃだめだな。
というか俺悠長だな!いや、今はそんなことはどうでもいいな。藁にも縋る思いだ。
「姉さん、俺の力で何か気づいたことある?」
「え、何ですかいきなり……」
本当にな。いきなり何を聞いているんだか、俺。
ユッテが困惑するのも無理はないよなぁ
少し考えたそぶりを見せた後ユッテは顔を上げ
「あっそう言えばウルトル……サンライトの花。」
「サンライトの花?」
確かユッテの誕生日に俺が人間態になってユッテにプレゼントした花だったな。
標高が高い山に生息する花だったよな。それがどうしたんだ?
「最初は嬉しさが勝っていたから疑問に思わなかったんですけど……ウルトル、何であの花枯れないんですか?」
「枯れないってそりゃ……あれ?」
確かにユッテの言った通りだな。俺は無意識にサンライトの花を作り出したがあれは標高が高い山に生えて育つ花なんだから標高の低いルーマル領で枯れないのはおかしいよな。
もしかして俺、何か無意識で力を使ったのか?
そこでしか生きられない植物を、生きられるようにしたのか?
あ、気づいた。気づいたかもしれないわ。
何というか、当たり前に使いすぎて気づいていなかった。俺の神樹としての力の1つ。
「ありがとう、ユッテ。」
「え?何が……ってだから姉さんと呼びなさいって!」
ごめんごめんと苦笑いながら俺は立ち上がる。ちぃとばかしの覚悟完了。
俺が立ち上がるのに気付き、鳳凰も同様に立ち上がり俺を見据える。
上手いこと言えないが、その目は俺に「何か気づいたのか?」とでも言っているかのようだ。
あぁ、気づいたね。気づいちゃったよ。
俺は力を使い、さっきから燃やされた木刀と同じような木刀を作る。
うむ、今までよりもちょっと力使った感があるな。
俺は大きく深呼吸をし、精神を落ち着かせる。
吸って、吐いて、吸って、吐いて、吸って、吐いて。よし。
「行くぞ!」
『おっやるんだ。』
炎神の声に反応することなく鳳凰に向かって飛びかかり、そして木刀を振り降ろす。
もちろん鳳凰は何も行動を起こさない。以前として木刀が燃えるとでも思っているのだろう。
残念だったな、この木刀、単純な話だが
俺が0から生み出した燃えない木で作った木刀だから!!
『ふーん。』
「GYUA!!??」
脳天を叩き割られ、鳳凰は今の状況に理解できず驚愕の鳴き声を上げる。
ふっふん、どうだこの鳳凰野郎!悪いが攻略させてもらうぜ?
というか炎神の反応が薄すぎて悔しいんだが。




