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楽しい楽しいパーティー

ふむ、なんだか今日はルーマル家が騒がしいな。

騒がしいといっても敵対戦力が攻めてきたぞー的な騒ぎでもない。

何というか楽しそうだな、うん。メイドたちも楽しそうだし俺に水を与えてくれるフィーレさんもニコニコしていた。

あ、この人いつもニコニコしてたわ。言うならいつも以上にニコニコしていた。


日にちが分かれば察しもつくだろうが、もちろん分かるわけもない。

楽しそうな顔で忙しそうにする……お祭りか?

というか今日はフィーレさん以外誰も俺のところ来てくれないんだけど?

あっれ、ユッテ最近フィーレさんと一緒に水くれたのになぁ。

もしかして俺、飽きられちゃったかなぁ


昼頃になるとあれ?ようやく人が来たかと思えばまさかの全員が来た。

おっユッテおめかししてる。これは可愛らしい。

レナさんも化粧しているな。ラディさんはいつも以上にきっちりとした服。

なんだなんだ、メイドさん俺の前に敷物なんて敷いてさぁ。何か豪華な料理置いてさぁ!

久しぶりに野外で食事ですか、いいなぁ。

まぁ木になってからろくに腹は減らないから悔しくはないんだけどね?

でも食べてみたくは思うんだよなぁ。


料理を配置し終えるとルーマル家の3人は敷物に座り、メイドさんたちは飲み物を入ったコップを持ち始めた

あ、分かった。パーティーだこれ。何のパーティーかは分かってないんだけど、恐らくすぐに理解できるだろう。

ルーマル家もコップを持ちラディさんがすっと立ってコップを掲げる

「今日は記念すべきユッテの6歳の誕生日だ。今年はユッテの希望で屋外のパーティーとなったが、良い天気でよかった。束の間ではあるが今日はみんなで楽しもうじゃないか、乾杯!」

あぁー、今日はユッテの誕生日だったのか。そりゃめでたいなぁ。

「お父様!私だけの誕生日じゃありません!ウルトルの誕生日でもあるんですよ!」

ん?いきなりユッテが立ち上がって噛みつくようにラディさんに怒っているんだが、ウルトルって誰だ?少なくとも俺はそんな名前聞いたことないんだけど?

「ウ、ウルトル?……ユッテ、そんな名前のメイドはいないはずだが?」

「違います!この木の名前です!」

そっか、この木の名前かーウルトルって名前なのか。

……ん?この木(・・・)?俺の名前か!?


「あぁ、なるほど。以前からレナと相談していたのはこの木の名前だったのか。」

「そうです!ウルトルは私と同じ日に生まれたのに名前が無いんじゃあんまりです。だからこの名前は私からウルトルへのプレゼントなんです!」

マジか。こんな木の俺に名前を付けてくれたのか。

俺は前世の名前も忘れちゃったから名無しだし、ラディさんが俺の種類を調べようとしても該当するものが無かったらしい。


「ウルトルは私の弟も同然の存在です。だから今日は私とウルトルの誕生日です!」

あ、俺弟ですか。聞いたところによると俺が生えてからユッテが生まれたらしいんですが。後俺を男と見抜いたか……やりおる。

まぁ可愛いお姉ちゃんがいて僕ぁ嬉しいですよ。

ユッテは必死に喋ったせいか、軽く息切れをし、ヘロヘロと座った。

その誰もが彼女をほほえましく見つめている。俺も顔があったら笑っていただろうな。

そこから先は誰もが楽しいパーティーだ。


飲めや食えやで誰もが笑顔で誕生日パーティーを満喫していた。

フィーレさんが一発芸をしようとすると失敗しそれで笑いをかっさらい、堅物そうなラディさんもそれを見て大笑いしていた。

レナさんは少しだけ酒を飲んだはずなのに顔がほんのり赤くなっている。酒弱いのか。


かと思えばユッテが両手をかざすとそこから淡い光が生まれ、小さな氷の結晶が生まれた。

おぉ!ユッテが魔法を使えた!

まぁ6年間も生きていると魔法を見る機会も何回かあったがユッテの魔法は見たことが無かった。

正確に言うと魔法の練習をしていたのは見ていたが、失敗続きだったのだ。

何回も何回も失敗し続けても何度でも挑戦する姿には涙は出なかったが、泣きたくなった。


しかし、今ユッテの努力がようやく実った。魔法が成功し嬉しさのあまり眩しい笑顔を浮かべるユッテにレナさんは涙ぐみながら抱き着き、ラディさんも目に涙を浮かべながら笑顔で拍手していた。

メイドたちからも拍手喝采。中には感動のあまり泣いている者もいた。フィーレさんは泣いていた。


あー俺も感動を表現できないのが悔しい。ほら、枝を揺らして葉っぱをパタパタさせるだけが限界だ。

「あれ?ウルトル様、風が無いのに葉っぱが揺れてませんか?」

お!?フィーレさん気づいてくれた!?意外と抜け目ないなこの人

「ハハッ!もしかしてウルトルも祝福してくれているのかもな。」

そうですそうです。その通りですよ!

「本当ですか!?ウルトル、ありがとう!」

あぁ、ユッテ抱き着いてくれるのは嬉しいんですけどちょっと勢いが、折れちゃいけないから!


『ぃよう。えーっとウルトルか!?久しぶりだな!』

頭の中にいきなり響いてくる子の凄い懐かしいおっさん声。

この声もしかしてグンダル様か!?

『おぉそうだ!お前を転生させた輪廻を司る神、グンダル様だ!』

随分お久しぶりですね、仕事でもあったんですか?

『まぁそんなところだ。ふとお前を転生させた日お思い出してな。気まぐれで祝福に来たってわけよ。』

あらあら、嬉しいことしてくれるじゃないですか。あれ以来干渉ないものかと思いましたよ?

『忘れていたからな!転生させた後一気に仕事が来てな。主にお前に対することでな、新たな神を生み出してしまったせいで!』

それもうグンダル様の自業自得じゃないですか、それで?お祝いの言葉を言いに来たんですか?

『いやいや、それだけじゃあない!お前を見てみると名前を付けてもらったようだな!』

あ、はい。ありがたいプレゼントをもらいましたよ。やっぱり名前ないと不便ですからね

『それは同意だな。というか神には名前が必須だからな!これを機にお前にいいプレゼントをくれてやろう!』

え、グンダル様からプレゼント?神様から直々にプレゼントをくれるんですか?

『おう!名前がついたお前に活動できる体をくれてやろう!』

へー活動できる体……

え?俺動けるようになるの?

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