玉鋼の剣
しばらく道具屋の中を静寂が包んだ。誰も口を開かないというか開けないという方が正しいだろう。
「な、何だ今の鑑定紙の反応は……私は見たことないぞ!?」
一番最初に口を開いたのは店主だ。見たことないという事は普通ならフィーレさんのように字が表記されるのだろうが。蠢くというのは前例がないか。
「坊や、もう一回やってみてくれないか、ほら鑑定紙。」
「え?でもそれ買ってないけど。」
「いいんだ、ほら。」
店主はそう言いフィーレさんに鑑定紙を渡す。
何も言わずアイコンタクトで「いいですか?」とフィーレさんの目は語るので、俺は頷いておいた。
まぁさっきの鑑定紙が不良品って可能性がワンチャンあるしな。
今度こそ俺のステータスを見ることが出来るかもしれない。
結果だが……
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あぁ、今回もダメだったよ。今回も字が蠢いて紙が崩れてお終いだよ。
「うぅん?何故だ?坊やにだけ効かない?でも坊やが鑑定妨害なんて持ってるわけないしな……」
うんうん唸って考えても多分店主には気づくことは出来ないだろうなぁ。というか鑑定妨害なんてスキルもあるのか。
ただまぁこれはもう確定した方がよさそうだな。こりゃ原因は俺自身にある。
神の力が作用して鑑定紙の力を妨害しているのだろう。それこそスキル抜きで。そう考えるのが自然だ。
じゃあもし仮にスキルの鑑定を受けたら俺のステータスはどうなるのだろうか?
俺から流れる情報量の多さで相手の頭吹っ飛んだりして……シャレにならんな。
俺とフィーレさんは店主が何か言ってくる前にそそくさと店を脱出させてもらった。追及なんてされたら面倒だ。流石に鑑定を妨害云々の言い訳はパッとは思いつかない。
……そう言う事態に遭遇したときのために言い訳考えておく必要あるなぁ。
「残念でしたね、ウルトル様……」
「確かに残念だったけど仕方ないよ。じゃ次々!」
「ところでウルトル様の正体って」
「次次!!次武器屋ね!」
だからこんな往来で話そうとしないでよフィーレさん。どこに耳があるのか分からないんだからさぁ!
屋敷に戻ったらこっそり教えるからと言うとフィーレさんも引いてくれた。
これは流石に言い逃れできないな、帰ったらちゃんと話そう。
さて、武器屋だが。何人か冒険者のような人たちがいて武器を手に持ち品定めをしていた。冒険を共にするからか、その目は真剣だ。
俺も目に留まった飾られている武器を見てみたが、正直な印象、弱そう。
玉鋼の剣らしいが……
「おっ!坊主、良いもんに目ぇ付けてるじゃねぇか。これな、剣の中じゃうち一番の商品なんだよ。」
機嫌よさそうに禿げ頭に捻じり鉢巻きを巻いたおっさんが話しかけてきた。店主のようだ。
え、これ店で一番強い武器なのか。確かに値札に0が他の武器よりも多いな。
「わ、ワァ、スゴイナーカンドウダナーボクアコガレチャウナー」
我ながらすごい棒読みだ。玉鋼の剣がこの店の剣のトップと聞いて俺自身動揺を隠しきれてないみたいだ。
だが、店主はそれに気づくことなく機嫌よく
「ガッハッハ!そうだろうそうだろう!でも坊主にはまだ早いなぁ!もうちょっとでっかくなってからだな!それに金もいるな!」
この剣にお世話になることは一度もないと思うんだが、ここは子供らしく
「ウン!ボク、この剣に見合う男になるよ!」
とでも言っておこう。
はい、そこフィーレさん笑い堪えない。
武器と言えば気になっていたんだが
「フィーレさん。フィーレさんのスキルにあったマルチウェポンって何?」
「あぁ、あれですか。あのスキルはですね、まぁ簡単に言っちゃうとどんな武器でも上手に扱えてしまうスキルなんですよね。と言っても達人レベルではなくてそれなりに……ですけど。」
何でそんな強力なスキル持っているんですかね、フィーレさんは。
ちなみに前の店で道具を、この店で武器に鑑定しようとしても駄目でした。字も浮かばないし頭の中に情報も流れてこない。
俺、鑑定スキルの才能なかったのか……?
ここの店はもういいや、何か視線が集まってきた気がするし……
足早に退散させてもらおう。
さて、次はお待ちかね……屋台にでも行ってみようか!




