成長していくまでの日々
神聖な力……それは間違いなく俺の神としての力だろう。
しかしまだ小さいのかーまぁ若葉だし仕方ないか。
「なるほど……レナが言うのならそうなのだろうな。しかし何故こんな若葉にそんな力が?」
「それは分からないわ。でもユッテと同じ日に生まれたのよ?運命を感じないかしら。」
2人の子供……今はラディさんが抱いている赤ん坊がユッテか。名前からして女の子か?
それにしても運命かー恐らくグンダル様は意図せずここに俺を植えたんだろうなぁ。
くじを引かせる神様なんだからそこら辺も適当だろう。
「確かに……そうだな。よし、この若葉はこのままにしておこう。フィーレ、君をこの木の世話を任せる」
「は、はい!」
ぃよっしゃ!レナさんありがとう!あとラディさんもありがとう!
フィーレさん水やりお願いしますね、やり過ぎは厳禁だぞ?腐って死んじゃうからなぁ。
こうして俺はこの屋敷、ルーマル家の庭に居候させてもらおう事となった。
フィーレさん……正直すぐに水やり忘れるものかと思ったが、毎日おいしい水を欠かさず浴びせてくれる。
でもねフィーレさん。雨の日はいいから!変にまじめだなぁ!あ、でも風が強い日に風よけ建ててくれてありがとう。
レナさんはたまにユッテを連れて俺のところに来ていた。
俺に向かって話しかけて来たり近くでのほほんとしていたり、喋れないのがもどかしかった。
ラディさんは仕事もあり月に2回ほど俺のところに来るや否や仕事の愚痴を垂れ流していく。苦労しているんだなぁ
ユッテも元気に成長していったが、時折体調を崩していたらしくレナさんが俺に向かってユッテの回復を祈っていた。
祈られても俺に出来ることはない。まだ喋れもしない、動けても葉っぱを揺らめかせることしかできない自分が悔しかった。
神様パワーが何やかんやあってレナの病気を治すことが出来るかと思ってもまぁ無理。
それでも何とかユッテが自力で元気になったのだから良しとしよう。
治るたびにレナさんが報告に来るのだが、俺のおかげなら二度と発症しないように病気を治すだろうから感謝はしないで欲しい。事実何もしてないし。
俺の体も月日が経つにつれぐんぐんと成長していっているようで目線も少しずつ上がっていった。
たまにフィーレさんをメイド服の覗いてしまったのは内緒だ。
俺も成長していくと出来ることが少し増えたりしていた。
まぁ根っこを伸ばすくらいしかまだ出来てないんですけど。
ユッテも俺に負けじと?可愛らしく成長していった。
こりゃ将来有望なんだろうなぁ、前世もこんなかわいい子と知り合いになれたら俺の人生変わっていたんだろうか。
あーあ、会話してぇなぁ。
童心に帰って一緒に野を駆けまわりたいなぁ。
あ、でもユッテ体弱いからあんまり運動しちゃダメなんじゃないのか?
そんなことを考えながら俺は黙々と成長していった。
気づくとルーマル家に生えてから6年が過ぎていた。