久しぶりの食事
馬車は進むよどこまでも。というか王都までまだまだ距離はあるらしい。
道中、やはりどんなに整備されても魔物は現れるみたいで襲ってくるたびにフィーレさん達が魔物を悉く打ちのめしていった。
相変わらずフィーレさんは拳や脚で魔物の体を難なく突き破る。打撃耐性もあるはずのスライムも掌打で消し飛ばしていた。
対するアイヴィーさん、彼女の得物は剣だ。というかどこから出したんだ?メイド服にそんなの隠すスペースないと思うんだけど、もしかしてアイテムボックス持ってるのか。
アイヴィーさんは確実に敵の首を狙い魔物が気づいたときにはすでに体と頭はバイバイしているのだ。こんなスプラッタなシーンはユッテには見せられないな。
しかし彼女たちの戦いは目を引くものがある。戦いというより踊っているように見えるから恐ろしい。達人の域に達しているんだろうか、本当に何者だよこの人たち。
「ふぁあ~あ……良く寝ました。おはようございます、お父様、ウルトル。」
「おはようユッテ。」
「おはよ、姉さん。」
「「おはようございます、お嬢様。」」
ユッテは起きると同時に俺に本を要求してきた。まぁ約束したから素直に1冊差し出したけど……酔わないかな。結構ガタゴト揺れてるから俺の場合神補正が無かったら酔っていただろうな。
心配して聞いてみても
「大丈夫です!」
の一点張りだ。
まぁ本人が言うならと全員様子を見ることにしたんだが、ユッテは期待を裏切ることは無かった。
本を読み始めて1時間もしないうちにユッテの顔がだんだんと青ざめていき終いには
「きぼぢわるいでず……」
と吐き気を訴え始めた。
そこからのメイド2人の行動はとても素早く、まず御者に馬車を停めるよう指示を出し、ユッテを優しく、慎重に抱き抱え馬車から降りユッテに涼しい風が当たるようにしていた。
一瞬柑橘類の果物でも出してユッテに食わせようかとも考えたが、車酔いに柑橘類は逆に駄目だったことを寸でのところで思い出した。
そんなトラブルもあったがそれを上回るトラブルとは遭遇することもなく、順調に旅は進んだ。
不満があるとするなら俺も魔物と闘って体を動かしたいという気持ちはあったのだが、ラディさんの視線が何故か恐ろしかったので諦めた。ちくせう。
王都への道が半分くらい過ぎたらしいところで日が暮れたので今晩は野営という事になった。
このまま進んでもいいのだが、夜になると魔物の動きが活発になるらしく、その中で移動するというのは相当の実力者か、自信家らしい。
フィーレさん達はもちろん夜だろうと構わず魔物を殲滅できるのだろうが、万が一があってはいけないとのことで夜の進行は止めておいた。
皆で火を囲み、食事をとる。
何気にこの時初めて料理らしい料理を食べた。同時にフィーレさんに
「えっ!?ウルトル様食べ物食べれるんですか!?」
と凄い驚かれた。いやまぁ確かに今までフィーレさんがくれた水しか摂ってなかったけどさ。人間の口があるんだからそりゃ食べるって……ってこれ美味しい!!!
実はたまに森での魚釣りで釣った魚を食べて入るんだが、焼くか刺身(醤油無し)かでしか食べてなかったものだから本当にこういう料理は6年ぶりだ。言わずもがな、俺は料理はあまりしないのだ。
だからこの食事が美味しくて……あぁ、温かくて涙が出るぅ
「ウルトル様が泣いた!?」
「ウルトル?どうしたんですか?お腹痛いんですか?」
人が感動しているのに何でそんなこと言うかなぁ!?




