キイからの忠告
俺が花畑に移動するとキイが慌てず騒がず静かにそして深く俺に対してお辞儀をしていた。
「ウルトル様ご機嫌麗しゅう。」
「お前、驚かなくなったな……というか来るタイミング分かってきたな?」
この花畑に来るたびに瞬間移動を使ってキイの目の前に現れるため、キイが驚いてしりもちつくのをひそかに楽しみにしていたんだがなぁ。
「流石に慣れますよ、ウルトル様。で、今日はどのような御用で?釣りですか?栽培ですか?」
キイが挙げたのはここら最近でこの花畑に来た時にしたことだ。栽培はともかく釣りに関してはあの森の中に川が流れているとのことをキイから聞いたので教えてもらい、そこで釣りをしていたのだ。
釣れる量こそ少なくはあったがゆったりと時間を過ごし、楽しめた。また釣れた魚は前世とはまた味わったことのない別の味で美味しかった。
閑話休題
俺はキイに今日来た目的、明日王都に向かうことを簡潔に伝えた。
魔物を倒した(ラディさんは遭遇し、やむなく逃げたと報告したらしい)当事者として王とやらに報告しないといけないことも。
「なるほど。どうぞ行ってきてくださいウルトル様。ウルトル様にとって見聞を広めるいい機会です。ウルトル様には偉大なる力こそございますが、如何せんこの世界の事には疎すぎますからね。」
いやぁ耳が痛い話だな。本当にキイの言った通りだな。お言葉に甘えてこの世界の事を勉強させてもらおう。差し当たってはまずは王都見学をしなくちゃな。見学するほど自由を与えてくれるかはまだ分からないが。
「あ、あとそれとですね。」
そう言うとキイがずいっと俺に顔を近づけてきた。おい本当に近いぞ。というか背の違いのせいで先生に怒られてる気分だ。いや、キイはセーラー服だから
まぁキイは本当に俺よりずっと年上なんだけど。
「絶対に、ぜぇったいに!神の力を行使してはいけませんよ?」
お前もかよ、ラディさんよりも語気を強めている気がするが気のせいじゃ無いみたいだな。
「お、おう分かってる分かってる。」
「いいえっ!絶対ウルトル様は分かっていません!よしんば分かっていたとしても確実にと言ってもいいほど守りません!」
信用無いなー俺。何でこんなに信用無くなったんだろう、俺悲しいわー。
「キイは俺の事信じていないのか?」
「信じていますよ、もちろん。」
「じゃあ今回も俺の事を信じてだな……」
「しかしそれとこれとは話は違います。だってウルトル様、私が何度もここに来るのはいいですけど目の前に現れて驚かさないでくださいって言ってるのにいっつも無視しているじゃないですか!」
あ、てっきりお笑いの基本のフリかと勘違いしていたんだが、違ったのか。でもキイの驚いている顔結構可愛いから好きなんだけどな。
なんて言うかキイは苛めがいがあるからな、ついついやってしまうんだ。
「ウルトル様の力は紛れもなく本物でありとても素晴らしいものです。ですが、その力は軽々しく人に見せていいものではないのですよ?ただでさえ見た目が小さくあられるのですからウルトル様を抱え込んでやろうとする輩は必ず現れるのです。」
ルーマル家の皆に見せたことはいいのか?まぁ過ぎたことだしあの家族は俺に不利なことはしないだろうから安心だ。
「分かった分かった。本当に分かりました!!キイの言った通り力は使わないって!」
「本当ですか!?」
「本当!」
「神に誓いますか!?」
「何故そこで神が出てくるか知らないけどとりあえずグンダル様に誓う!」
グンダル様割と適当な性格だけど一応神様だからね、うん。誓っておこう誓っておこう。
「分かりました。私はウルトル様を信じます。どうぞお気を付けて行ってらっしゃいませ。」
行くのは明日なんだけどなー……こんなこと言われたら何かここに居づらいな、帰ろう。
ユッテに話でも聞いておこうかな。




