原因の可能性
キイの制服姿で忘れかけていたが俺にはここに来たちゃんとした目的があった。
それはウォーウルフの解剖だ。もしラディさんの予想が正しければ寄生虫に似た何かがウォーウルフの体内にいるはずだ。
ここにしたのは単に屋敷だと色々人目が付くかなと思った次第だ。
俺がこの事を説明するとキイは快く花の咲いていない場所を提供してくれた。
さらに作業を手伝ってくれるみたいだ。本当に有難い。
能力でさっと机の形の木を生やして懐に入れておいたウォーウルフのミンチを机の上に置く。
「ウルトル様……これはちょっと。」
いや、そんなに眉をひそめなくてもいいじゃないか。
確かに原型が分からなくなるほどだけど……すごくグロイかもしれないけれど……
「とりあえず変なものが無いか探ってみよう。」
ミンチの中に手を突っ込み神経をとがらせ、中を物色してみる。
ウォーウルフの中は殺してからすぐアイテムボックスに保存したからか、結構温かい。こうしているとウォーウルフも生きていたんだなって感じるよ。殺したのは俺だけど。
さて、結果だが……何も感じることは無かった。
あの時感じた気配の欠片すらも見つけることは出来なかった。
胃袋に値する部分にも気になるようなものは無かった。
キイの方を見ると視線が合った。キイも同様にミンチに手を突っ込んで……あ、何か手袋みたいなの付けてる。まぁそれは置いといてキイは首を横に振る。見つけられなかったか。
「どう思う?」
「そうですね……考えられる点としては生命活動を停止したと同時に寄生虫の体は消え去ったか。またはそもそも寄生虫が存在しなかったという考え方もありかと。」
「存在しなかった?じゃあお前は何だと考えた。」
「はい。遠隔操作をするような魔法、傀儡の魔法の線も考えられますね。」
「そんな魔法があるのか?」
傀儡の魔法とはまた厄介そうな響きだな。名前からして他者を操る魔法みたいだな。
「あります。でもこれは人族だと使用者は限られるんです。極稀に現れる特別な才能が無い限りは。」
ほー特別な才能、ね。何、必死に魔法の訓練しただけじゃあだめだというのかな。ってか人族だと?その言い方だともしかして
「この世界って人族以外にもいるのか?」
「はい、そうです。この世界には人族、魔人族、獣人族が存在しているんです。」
「魔人族国とか獣人族国とかそれぞれ分かれていたりするのか?」
「そう言った国もあるにはありますけど基本的には三種族同じ国に暮らしているという国が比較的多いですよ?ウルトル様の住んでおられる領地は人族ばかりですからそういう風に考えられてもおかしくありませんね。」
てっきりそれぞれが国家を築いていて敵対関係とかあるのかと思ったがそんなことは無いみたいだ。となると他の地へ言ったらケモミミとか角とか生えている人がいるのか。何それ浪漫感じる行きたい。
「話を戻しますが、傀儡の魔法は魔人族だと比較的覚えやすいのです。それでも相当な魔法ですから使用者は少ないでしょう。」
「だから原因は魔人族だと?」
「いえ、あくまで考察の1つです。ウルトル様の魔人族へ対する印象は分かりかねますが、人族でも魔人族でも獣人族でも悪人も善人も必ずいますからね。」
「それもそうだな。」
人種差別ダメ絶対。
でもこの世界ではどうなんだろうな、種族のみの国家があるとするならそこだと本当に人種差別があってもおかしくないな。
「ウルトル様。今後例の気配の魔物に遭遇した場合生け捕りにしてください。最悪、殺しはしてもミンチにはしないでください。」
「反省しています。」
うん、ミンチはやり過ぎたな。そのせいで証拠も消してしまった恐れがあるからな。今度はちゃんとやるさ、多分な。
「それでウルトル様、このミンチどうしましょうか?」
「え、ハンバーグみたく食べようかと思ったんだけど。」
「お止めになってください!!!!!」
そんなに顔真っ赤にして大声で怒らなくてもいいじゃないか……




