いざ森へ
「なぁユッテ……じゃなかった、姉さん。聞きたいんだけどこの森って安全なんだよな?」
俺、ユッテ、そして新たに仲間に加わったクイルの前には森がある。確かに森なのだが、すっごい陰鬱な雰囲気がした森なんですけど。
「安全ですよ?多分。」
「待って姉さん今多分って言ったよね、危険なことあるんじゃないのか!?」
「確かにこの森にはたまに魔物が入り込んできますがそれこそ本当に稀なんですよ?何せうちのメイド隊がパトロールしてますから!」
「ん?メイド隊?」
何か容易に想像できそうな名前が出て来たけどそのメイド隊って……!
「フィーレさん達の事か!?」
「そうです我がルーマル家が誇る最高の矛と盾、それがメイド隊です。彼女たちはメイドでありこの地を守る戦士でもあるのです!」
何それ格好いいと思ったんだが、それメイドである必要性ないような気がするんだが。もしかしてラディさんの趣味だったりするのだろうか。
「……まぁこの地に攻め入って来る者は稀ですから基本的には領地近くの魔物の討伐ですね。ちなみにフィーレはあれでも隊のエース的存在なんですよ?」
フィーレさんの手の傷は闘ったために出来た傷だったのか、いやフィーレさんの事を考えるとあれは本当にメイドの仕事で出来た傷かもしれないけど。
「じゃあそれならメイド隊の誰かついてきてもらえばよかったんじゃあ……」
「それじゃあダメです!私が、ウルトルを案内したいんですから!メイドたちがいたんじゃダメなんです!」
何をそんなに意地になっているんだユッテは……?まぁそこまで安全を保障するなら信じてみようか。
「ね、ねぇユッテ。本当に行くの?いつもよりこの森暗くない?」
クイルはキョロキョロと森を見渡すが、何だコイツ、もしかして
「クイルは怖いのは嫌いか?」
「ななななな、何を言ってるんだウルトル!僕がそんな怖いと思う訳ないじゃないか!」
うわー、わっかりやす。
「それじゃ行っても問題ないよな?安心しろ、いざとなりゃ守ってやるから。」
「も、もちろんさ!怖くないから全然平気さ!でもお前に守られる気はないぞ!」
まぁそうならないことが一番なんだけど、本当に嫌な予感がするからな。いざと言う時は2人を守らないとな。
「さぁ行きましょう2人とも!」
ただまぁユッテに引きずられるこの移動方法はさっさと止めてもらおう。いい加減情けなくなってきた。というかクイルも抵抗なく引きずられるなよ!!




