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生まれ変わったら神樹だった  作者:


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フィーレにご褒美

さて、気づいたことがあったのだが、どうやら人間態は長い時間なれるものではないようだ。

力を制限すれば半日ほどは大丈夫だが、力の使い加減によっては少ない時間で意識が木に戻ってしまうみたいだ。

まぁそれでも動けるからだというのは嬉しいから別にいいんだけど。

ちなみに木の状態でも会話や力を使うことは可能でこちらは本当に大きな力を使わない限りは力が切れることはない。


ユッテと俺の誕生日から数日後、ルーマル家はいつものようにのんびりしていた。

のんびりしていたんですよ、ええ。

今日もフィーレさんが朝食のお水をやりに来てくれた。

じょうろから流れる水は俺の体や葉っぱを潤してくれるし、地面にしみ込んだ水が美味い。


「ウルトル様、今日のお水どうですかー?」

「美味しいよ。いつもありがとう、フィーレさん。」

「いえいえそんな!当然のことですよぅ!好きでやってるんですから!」


フィーレさんはこう言ってはいるがよくもまぁ律儀にやってくれるものだ。

仕事と言えどもサボることは出来ただろうに。風よけを作るとか業務外じゃないか。

ラディさんがフィーレさんのこの仕事に給料を払っているのかは分からない。だからちょっとばかしフィーレさんにプレゼントをあげてみよう。


「フィーレさんフィーレさん。」

「はい、何でしょう?」

「ちょっと手を出してくれる?」


フィーレさんは言われた通り手を出してくるが、おおっとこれは……小さな傷がいくつもあるな。

メイドの仕事はよく分からないが給仕とか掃除意外にこんなに傷つくことあるのか?

まぁいいや。ちょっと力を込めてーっと。

俺の枝の一本をゆっくりと伸ばし、フィーレさんの手の上まで持っていき1つの実をその手のひらに落とす。


「あの、ウルトル様。これは……?」

「いちごって果実だよ。いつもの感謝の気持ちだ。食べてみてくれる?」

「へぇー!初めて見ました……でもこのいちごって、ストベリーの実に似てます?」


物珍しそうにいちごを眺めるフィーレさん。フィーレさんの言った通りこの世界にはいちごに似た果実があるみたいだ。

そして俺に感謝するようにいただきますと小さくつぶやき、いちごを一口でたいらげた。

感謝しているのはこっちなんだから別にいいのに……


フィーレさんは笑みを綻ばせながらもぐもぐしてゴックンといい音を立てて飲み込む

「ウルトル様!すごいです!このいちご美味しいです!ストベリーの実の何倍も甘酸っぱいです!」

「そっかそっかそりゃよかった。」


いやぁここまで喜ばれるとこちらも嬉しくなっちゃうね。フィーレさん犬っぽいところがあるからご褒美もっとあげたくなっちゃう。


「あぁっ!でもこんなに美味しいもの頂いたのに私お返しできるものありませんよ!?」

「いやいや、いつも通り水をくれれば俺は十分だから!気に入ったんだったらまたいつかあげるから!ね!?」

「本当ですか!?これからも精一杯水をお持ちいたしますね!たっくさん!」

「うん、ほどほどにね!」


流石に【神樹、根が腐って死ぬ!!】って話題になるのは勘弁だから!

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