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幼馴染の彼女にしておく  作者: トマトクン
第三章 『センチメンタル・アマレットシンドローム』
30/77

4

10/15 お知らせ

昨日、投稿した小説は前半がごっそり抜けていました。具体的には3500文字もです。ごめんなさい。なので、本日はそれをつけ加えて再度投稿。そして、本日投稿予定のやつは明日投稿します。ご了承ください。

「せっかくだから、私はこの赤の飲み物を選ぶぜ」


 翠は自販機の購入ボタンを押す。ポチっと。それは地雷臭がするのに。そこはかとなくダメな感じを漂わせてる。後、何がせっかくなのかも分からない。他の飲み物はすべて売り切れ。選択肢はこれしかなかった。


「じゃあ、俺も買う。せっかくだから、この赤の飲み物を選ぶぜ」

「翠にも言いたかったけど、何がせっかくなんだよ。それにその後のセリフも」


 なぜだか、二人は目配せ。仲が良いことこの上ない。


「「せーの。しーらない」」


 結局、二人は意気投合して僕を煙に巻いた。


「君たち、さっきからずっとその調子だよね」

「そう? でも、こうするには理由があるんだから。たとえば、マクが後輩の女の子と付き合ってるとか。いつのまにかね。様子を見てたのに全然言わないし」

「まだ付き合ってない」

「でも、時間の問題って言うじゃない?」


 おかま口調で言われた。佐々くんの芸風は広い。


「そうそ。まだって言ってる時点で確信犯だよねー」

「その通り。てか、幼馴染にはばれてたと。そして、土俵際に追い込まれた翠ちゃん」

「え? 何言ってるの? 私、窓際なんだけど」

「窓際?」

「教室の席」

「なんだよその返しは。そもそも、土俵際の席なんてねえよ。翠ちゃんの恋の行方だから」

「え? ちょっと佐々くん。やめてよ。カン違いしないでよね。私はマクのことが幼馴染として好きなだけ。しかも、それだって長年の腐れ縁みたいな好き。べつに異性としては。うん」

「あー今、躊躇したぞ。鋭い俺は見逃さなかった。ほんとは、好き好きってパターンだろ」

「違うから」


 翠が頬を膨らます。からかった張本人はとても楽しそうだ。


「まあ、佐々くんはさ、適当なことを言うのに定評があるんだ」

「へんなところで割り込むなよ。このモテ男」


 やっぱり、口を開くべきではなかった。


「てかね、翠ちゃん。しのぴーの想いを話すときはあれだ。顔が赤くなってたから。ごまかしてもムダだし」

「それは気のせいだよ。佐々くんがその方向に結びつけたいのは分かるけどね。でもだめ」

「じゃあ、なんでだか。どうして急に顔が火照りだす」

「それは、うん。きっと、夏のせいだ。あー。暑いな。あのギラギラ照りの太陽がいけない」


 翠は仰々しく額の汗をぬぐった。すごい大根芝居。このレベルだとすがすがしい。


「しのぴー。なんか言ったらどうだ? 翠ちゃんに」


 少し考える。特に言うことはない。しいて挙げるならこれくらいか。


「えっと、喉が渇いたかな。飲み物を少し分けてくれない?」


 隣で佐々木くんがあきれてる。でも、ここで何を言おうが正解はなし。


「あのさ、マク。だめでしょ。だって、間接キスになる。後、これはマクのおごりだし。絶対にあげないよ。マクだけじゃなくて誰にも」


 そうである。この前あいまいにした約束。翠への助太刀のお礼だ。対象も缶コーヒーからジュースへ変化。ただ、これは佐々木くんとの話。なのに、翠にもおごることへ。本当に話の流れというのは恐ろしい。いつのまにか、そういう算段がついてたりする。


 もっとも、商品は一種類しかなかった。残りの種類は売り切れ。でも、二人が面白がってたからいいと思う。


「その代わりに、祝福くらいならしてあげよっか」

「翠。祝福はいらないって」

「ふーん。いらないんだ。いいよね。本当にいい心意気」


 なぜか、悩ましく腕組み。スタイルの良さが強調される格好だ。とはいえ、その構えはすぐに解かれた。そして、招き猫のポーズへ。胸の前でくるりと両手を回す。


「祝福がほしいのなら?」


 動きの勢いで佐々木くんへ。指差しで振る。その最中、へんなリズムも追加。なんだか、元気のいい女の子がやりそうな動き。友達の影響でも受けたんだろうか。なんか楽しい音楽を聞いてるみたいだ。サイドにハーフアップした髪も揺れた。おかげで、謎のチャーミングさを醸しだす。


「つまり、悲しみを知って泣きましょう。ってことかい」

「そういうこと。だから、マクはさっさと泣きをみてしまえっ」

「違うし、翠ちゃん。それはちょっと違うと思うぜ」

「佐々くん、甘い。この残り物のジュース並に甘いよ。これは違ってるかもしれないけど、違ってないんだよ。分かる?」


 あまり意味が分からない。言葉遊びの一環かもしれない。


「ああ、分かった。翠ちゃんはしのぴーのことが好きだってことだ」

「違うって」

「いやいや。これは違ってるかもしれないけど、違ってないんだぜ」

「うー、パクられた。ひどい」


 翠が不満を訴える。そして、それを受け流す佐々木くん。やっぱり、相性抜群の雰囲気。これから行くカラオケでも期待大か。スーパーなデュエットでもしそうだ。


「マクもなんとか言ってよ」

「え?」

「だから、佐々くんに」

「俺じゃないから。むしろ、翠ちゃんに言うことがあるんじゃないのか?」


 言いたいことは一つしかない。


「翠なら飲み物を分けてくれると思ったのに」


 言った瞬間、二人にずっこけられた。タイミングまでばっちりである。


「そっちじゃないだろ」

「てか、マクが憤ってたのは飲み物か。へんなところでへそを曲げるよね」

「翠には言われたくないよ」

「じゃあ、俺が言ってあげよう」

「佐々くんにもなあ」

「結局、誰にも言われたくないんじゃない」


 翠のセリフはもっともである。誰かに言われたくないという発言。これは誰にも言われたくないのと一緒だ。


「とりあえず、佐々くん。少し飲み物を分けてくれない?」

「いいぜ。と言いたいところだけどな。だめだ。翠ちゃんからの流れを汲んでるし。脱水症状になってもやらん。てか、しのぴーがおごってくれたんだぜ。まさしく、友情の証だろーが」


 そこまでの意味は込められてない。


「でも、そうだな。なにか飲みたかったらこうしよう。俺がおごってやる」

「それは本末転倒のような」


 翠も頷く。


「そうそ。本末転倒。こうするとおごられた意味がないじゃない。佐々くんはマクを甘やかしちゃだめ」

「おっと、翠ちゃんがそのセリフを言うわけ? 私がマクを甘やかすからいいの。なんてところですか」

「ああああ、違う違う」


 なんだか、会話の展開がパターン化してる。佐々木くんがからかい、翠が否定。このやり取りがしばらく続く。


「ほんとにもう。佐々くんは。こんなに言われるのもマクのせいだ。これもマクがいけない」


 大人しくしてたら、お鉢が回ってきた。


「おーいいね。全てはこいつがモテすぎるからいけない。この天然ジゴロめ」


 さらに、佐々木くんまで便乗。


「ほんとだよ。なんかかわいい女の子に好かれすぎ」

「そうそ。女の子選び放題のくせに。夏の遊びもほどほどにしとけよ」

「えっと、僕はそんなキャラじゃないよね」

「アバンチュールは良くない」


 翠まで悪乗りしていた。


「しかし、今日はマジで暑いな。しのぴーのせいだ」

「うん。去年の暑さを思い出すよ。マクがいけない」


 二人は顔を見合わせて笑う。本当に短時間で結束。それも僕を敵視する形で。第三者を敵にするとまとまりやすい。なんて格言は聞いたことがある。まるでどこかの国の外交的手法みたいだ。


 ともあれ、翠と佐々木くんの初顔合わせ。というか、初顔合わせではない。お互いに存在は知ってた。これは二人とも名を馳せてるせいか。我が校では接点のないまま卒業というのもざらでなく。顔と名前が一致しない同級生も数多い。いわゆる、一般的なマンモス校の特徴。ただ、今回は様相が違う。二人は有名で人気があるタイプ。目立つ行動もそれなりに取ってる。同学年で知らない人は少ない。なので、きっとどこかで接点は生まれてたはずだ。たとえば、生徒がもっといたとしても。だから、僕が仲介して関係ができたこと。これは瑣末の出来事にすぎないと思う。


「マク、どうしたの?」

「んん? あ、翠。なんでもないよ」

「ほんとに?」


 翠が心配そうに見つめてくる。


「しのぴーのやつ、この暑さでぐたったんじゃないのか」


 たしかにとんでもない暑さだ。去年に匹敵する。


「まあ、ぐたるほど暑いよね」

「だよな。さっさとクーラーの効いたところへ行こうぜ。な。つまりカラオケだ。歌うぞ」


 佐々木くんは、おもむろにテンションを上げていく。


「佐々くん。クーラーもいいけど、マクはあまり得意じゃないんだからね」

「でた。夫婦っぽい気づかい」

「違うから。今のは幼馴染的な気づかい。もう。佐々くんのばか」


 翠が逃げる佐々木くんを追いかけた。おかげで、二人が離れる。


「ほら、マク。早く行くよ」


 振り向いて声をかける翠。いつのまにか、距離がついてしまった。しかも、太陽の斜光で二人が見えにくい。手で庇を作る。ついでに空も仰ぐ。月は出てない。


「なにしてんの? マク」


 太陽みたいに明るい翠が大声で呼ぶ。その声の方へ足を踏み出す。











 翠と佐々木くんは、本当に相性が良い。カラオケでも見事なコンビネーションを発揮。往年の付き合いみたいに息が合ってる。おかげで、カラオケの違った一面を堪能。大いに楽しませてもらった。見たり聞いたりで面白い。素晴らしいことだ。なにかのショーを見てるような感覚を抱く。


 でも、こうして過ごすと重要なことを忘れてしまう。そう。今だって脱線に近い。本来はもっと緊迫感があるはずだ。翠に起きた不都合な事態への対処。翠に迫るストーカーへの配慮。具体的な対策は聞いてない。これらに精通してる佐々木くんの思案とは。彼の嗅覚が何を判断するのか。この前に絡まれたおじさんの件。これの影響がますます大事になっていく。


「なあ、しのぴー。あまり考えすぎるなよ」


 カラオケの後、翠がトイレへ向かったタイミング。いきなり耳打ちをしてきた。今、僕と佐々木くんは店のエントランス付近。外は暑いので中で翠を待つ。会計の方はすでに済ませた。意外と安上がりなので驚く。


「考えすぎてもな、そんなにいいことはねえ。なんて思うのは俺だからか? まあ、そういうモットーでいく方がいい。気楽ってもんだよ」


 僕は黙って頷く。


「こういうのは相手の出方次第。その一点に尽きる。受け身なんだ。だろ?」

「そうだね。佐々くんが言うなら間違いない」

「だから、翠ちゃんの気分を高揚させるのがいい。これで解決とはいかないけどな。ただ、気晴らしにはなるぜ。本当に文字通り。ただの気晴らし。でも、いいことには変わりない」

「うん。たしかにな。やっぱり見えない敵はストレスがたまる。未知の恐怖が一番きついはずだから」

「そうそ。対応ができない。イメージがしにくい。経験則からも導き出せない。つまり、俺の手助けは当てになるのか? なんちゃってな」


 彼らしくないニヒルな笑い。チワワ系に似つかわしくない表情だ。


「そこは謙遜しすぎだよ。僕は見たんだぜ。あの日の対応を。おかげで、翠が抱える問題を話した。僕一人では対応し切れないことに協力を頼んだんだ。佐々くんに少し荷物を預けたといえばいいか」

「なんてくさいセリフだ」

「この前、似たようなことを言ってたくせに」


 僕は眉根を寄せてつぶやく。


「あれは忘れた。てか、しのぴーだとジゴロっぽく聞こえるぜ」

「また、そこをつくのかよ」

「ああ、そうだ。弱点を徹底的につく。これが兵法の基本だからな。弱点なんて攻められるためにあってしかるべきさ。あ、でも違うな。しのぴーのジゴロっぷり。女の子にモテる。これは長所か。ん? それだと俺はなにしてるんだ? なんか、こんがらがってきて分からん。本当にさっぱりだぜ」

「つまり、佐々くんはかなり矛盾したことを言ってる。こうだね」

「知らん。楽しければいいんだ」

「じゃあ、今は楽しい?」

「ああ。気晴らしだからな。それとこれとはべつだ。ここは切り離せよ。深く考えんな」

「あ、うん。分かった。とにかくさ、佐々くんの手助け。ここに疑いは全くない」

「おう。そうかい。ただな、ほどほどでいこうぜ。あ、来た。お姫様」


 曲がり角の向こう側。奥の方から翠が顔を出す。ハンカチで丹念に手を拭いてる。表情を見ても機嫌が良さそうだ。カラオケ効果恐るべし。まるでスキップなんかしそうな気配。などと考えていれば本当にしてた。


「スキップとか子どもー。翠ちゃんは子どもだなー」

「子どもだよ。まだ、高二だし。誕生日はマクより早いけどね。それもずっと」

「ふーん。ま、いっか。スキップ姿がかわいかったし。後、翠ちゃんはスタイルいいからね。もっと、上下に動けばいい。胸元が輝くから」

「うわー。色々と嬉しいけど。でも、最後のセリフはちょっとだめだ」

「すいませんっと」


 佐々木くんは平謝り。舌を出してもかわいくない。


「もしかして、マクも同じことを考えてる?」


 そして、矛先はこちら側に。お決まりのパターンである。


「ああ、そうだぜ。しのぴーだって」


 急いで、佐々木くんの口を塞ぐ。タップしてくるが気にしない。ただ、同時に視線が胸元へ。話の流れで仕方がない。


「あ、やっぱりか。胸が気になるわけだ。揺れていれば。ほら、スキップってジャンプだし。後、なんか韻を踏んじゃったし。へんなの」

 

 最後の方が饒舌なのは照れ隠しのせいか。


「あーなんて言えばいいかな。サイドのハーフアップにした髪が揺れていいなって」

「うそつき」


 しっかり唇を舐めてしまった。とはいえ、髪型自体は気に入ってる。翠という個体の象徴みたいで。つまり、それが翠のイメージ。幼き日はその髪型ばかりだった。


「そんなとこ見てない。うん。やっぱりこっちだ」


 そして、いきなりあの時のことを思いだす。翠がやたらとドジをかました日。スカート脱いで昼寝して階段から転げ落ちた。しまいには、翠の胸を偶然揉んでいた。あの感触が蘇る。すごく柔らかかったと思う。


「マク、なんかへん」

「いや、あの日のことを思い出して」

「え?」

「あれだよ。翠がおかしかった日」

「あ、あう」


 沈黙。へんな空気が流れ出す。いつかどこかで体験した感覚。苦いデジャブ。今は遠い昔の安寧を思い返す。すでに、どうにもならない感傷。絶対的で最強の空気感。そんなものは存在しなかった。


「てか、佐々くん! マクが殺し屋に。しかも無意識で」

「あああ、ごめん佐々くん。本当にごめん」


 彼のおかげで救われた気がした。無論、彼も救われたことに。とはいえ、その原因は紛れもなく僕だったが。笑えない話だ。


「ぷっはー。ふぉぉぉ。ふーふー」


 僕が手を離すと、佐々木くんは肩で息をした。


「あー。オマエに殺されるとこだった。ホント、躊躇なく息の根を止めようとしてくるからな。そんでもって、二人はイチャイチャしてるし。困ったもんだ。せっかく、息を殺して行く末を見守ってたのに。進展はなしと。やっぱあれだ。俺みたいにオーラがあるとだめか。気配を隠すのにも一苦労だぜ」


 なんとも暴露しすぎである。秘密話には向かない。疑いもなく確信できた。


「そもそも、僕が口元を押さえてても何の問題ないよね。佐々くんの実力ならさ。なんなく拘束を解くはずだし。そういう凄さで今回手助けしてもらうんだから」

「あーあ。ばれちゃったか」

「冷静になれば分かるって。てか、佐々くんはまたー。イチャイチャとか言わない。マクだって憤ってるよ」


 言った本人こそ怒ってた。


「そうかい。憤っているか。それなら、俺は大いに悲しもう。沈黙解消のだしに使われたことを。よよよ」


 佐々木くんは泣きまねを始めた。ただ、彼の言い分は間違いでない。


「たしかにそうだよね。うん」


 翠も納得する。


「しかし、自然とそういう雰囲気が醸成されてたというか。選択の余地がなかったというか」

「そうそ。マクもいいこと言うね。タイミングが良かったってやつ」

「それだ。とてもピンとくるな」

「うん。ピンとくる」


 僕と翠が結論を導きだす。でも、佐々木くんは不満を表明。


「おーい。ちょっと。そんな形で納得されても困るぜ」

「「どうして?」」


 翠と同じ言葉。同じ疑問。


「そうだとさ、俺がその程度の存在ってことになるぜ。オーラがあるから気配を消せなかった。なんていう話ではなくなってしまうな」


 なんだか、どうでもいいことで悩んでると思う。そして、翠も同じように察したらし

い。目配せで分かった。


「佐々くん言ってたよね。下手な考え休むに似たりって」

「え? マジ? 俺が自分のオーラに悩むことは下手な考えか?」

「うん。へんなこだわり。だいたい、男の子って本当に不思議だよね。おかしなところで意固地になったりするから。ひとくくりにするのはあれだけど」

「そうか。翠ちゃんが言うなら仕方がねえ。お姫様だしな」

「ちょっと、佐々くん。お姫様ってなに? それ禁止。てかマク。私が空想好きだった過去を暴露したの?」


 翠が頬を膨らます。


「言ってないよ」


 言うわけがない。それこそ翠のオーラである。


「やっほー。これはこれは。いいからかいのネタができたぜ」

「佐々くんってば。だいたい、昔の話なんだからね。今は違うよ。違う。私は普通の女の子だし。高校二年生に相応しいとはいえないけど、でも、年相応の考え方は持ってる」

「いいからいいから。お姫様最高じゃん。女の子は持て囃されてなんぼ。上等上等。だいたいあれだ。男二人も従えて否定はできないだろ。だから、そのメルヘンチックな気持ちを忘れないでくれ」

「あああ、違う。なんでこうなるの」


 翠が佐々木くんを軽く叩きだす。パシッ。パシッと。叩かれた方は派手なリアクションで応対。完全にいつもの展開だ。スキンシップといってもいい。なんだか見てて和む。だから、僕はそれを生暖かい気持ちで見つめてた。

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