依頼(前)
初の他絵師様キャラ登場ですよ
本編終わってるけどね、気にせずいきますよ
「ホントにやるのぉー?」
「ああ。まあ戦は嫌いじゃねぇし、何より相手は羅刹だしな」
「むー……」
「何だよ。別にいいだろ? 好きでやってるわけだし」
「死んだら終わりじゃん」
「まあそれが|運命なんだろうっよ!」
荷台を飛び降り、地面に降り立つ。
「いやぁ、なんかこう、出そうだね」
白夜が東山を見て戦く。
「白夜。お前武器とかないのか?」
「ん? 武器なら常に持ち歩いているさ」
手をひらひらさせて答える。
「ならいいが。いいか。死んだらお前は終わりだ。せいぜい足を引っ張るなよ」
「りょうかいっと」
馬をふもとに止めさせ、山へと入る。……まさか二日連続で入ることになろうとは。
「で、そのらせつ、とやらはどこにいるんだい?」
「適当に歩いてれば向こうから現れるさ」
「適当なんだ……」
雪姫は馬の見張りも兼ねて置いてきた。
「そうだ。白夜はどんな攻撃をするんだ?」
「んー? そうだなぁ……。例えば……」
ヒュッ
そんな風切り音と共に目の前を何かが横切った。
「やっぱり避けられた? まあ本気じゃないけどね? だいたいこんなものかな?」
「いや全然分かんないし。説明しろよ」
「えーしょーがないなー。まあつまり、刃に糸くっつけて飛ばしてるのさ。張った状態なら肉とかも切れるよ」
「なるほどな。趣味悪」
「美学だよ。そういう君は……刀か。日本人だねー」
「斬られてみるかこの野郎」
「物騒な奴は好かれないよー?」
いつの間にか完全に登山のようになっていた。話しながら山をぶらつく。
「ん」
「どしたの?」
「いや。近くに気配がする……。だが殺気じゃねぇ。なにか……こちらを窺うような視線が二、三……」
「よく分かるね? 全然分かんない」
「出てきやがれ。いるのは分かってるんだよ」
すると、茂みの奥から声がした。
『青ちゃん青ちゃん。どうする? バレちゃったよ?』
『出て行くしかないだろ。羅刹の類ではなさそうだしな』
すぐに、視線の主が姿を現した。
一人は隻髪隻眼の少年で、どうやら左腕がない。もう一人は茶色がかった髪で、向日葵柄の服が目立つ。
「なんだお前達は。羅刹ではないだろうが」
「お前達こそなんでこんな所にいる。危険だぞここは」
「分かってる。羅刹だろ? 俺達はその羅刹を倒しにきたのさ」
「羅刹倒しに? 誰にそんな事言われたんだか知らないが、お前達では危険だぞ」
「そんな事もねぇよ」
俺がそう言った瞬間、隣の木が倒れる。
「……それに、これだけ速ければ十分だろ」
「青ちゃん。こいつらはどうするの?」
「別に戦いたい訳じゃないしな。ほっとく」
青ちゃん、と呼ばれた男はこちらを一瞥すると何も言わずに去っていった。
「あー待ってよ青ちゃん!」
次いで、向日葵柄の服を着た少年も小走りで追いかけていった。
「……で、お前はいつまで隠れてるんだ?」
「いや、別に隠れてた訳じゃないさ」
「じゃあ何だよ」
「いやね、僕所在全然分かんないじゃない? それで混乱を招かないようにと思ってね」
別に隠れる必要はなさそうなんだが……。
「まあいいだろ。それよりおら。お客だ」
僅かに体を後ろへずらす。立っていた場所には槍がつきたっていた。
「……なんだ女か」
「なんだとはなんだ!」
槍の先に付いた金属の輪が、槍を立てるのに合わせてしゃん、と鳴る。
「で、お前達は盗賊だな? 私が成敗してくれる」
「えっちょ、僕達は……はっ!」
白夜が何かに気づく。
「もしかして君、盗賊? そして君の名前まだ知らないんだけど」
「ちげぇよ。因みに俺は良介な」
言いながら、かなりの速さで放たれた槍をかわす。
「中々速いな……」
「お前は避けてばかりでいいのか?」
だって攻撃したら盗賊扱いされそうだし。
「僕が相手するよ」
風切り音と共に二人の間を糸が横切る。
女は半歩退いた。
「はぁ……結局こうなるのか……俺達は盗賊ってか」
「良介君、下がってくれる? 君も斬っちゃいそうで怖いから」
なりふり構わずやるつもりらしい。