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第23部
「よぉ純菜元気にしてるか?」
独り暮らしのセキュリティマンションのインターフォンから聞き覚えのある声。
男の声だ。純菜には自分の家を訪問してくるような男に全く心覚えが無かったし部屋番号を知られているのも不気味だ。ただ直観的に「父は何をやっているのだろう?」と心配していた純菜はもしかしたらお父さんかもしれない…… そう思い「どうぞ」とマンションへの入出の許可を出した。
その不安と期待は現実のものだった。「よぉ純菜久しぶり」「父さんどうしたの急に?体はもういいの?鬱病は?」
純菜は軽いパニック障害を起こす。父とは会うのは四年ぶりの事。そして幼少期、日曜日に必ず酒を飲んでは暴れていた父の言動、姿を思い出す。PTSDなのだ。その日父は素面のようでちょっと安心したが、どうしても許せない気持ちや、文科がお金を送って来てくれているという秘密、そして父は何をいまさらと思い、そして仕事をしているのだろうか、これから探すのか全く謎でただビックリしたが、押し入れから布団を出しその日は父を家に泊めた。