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第19部
そうこうしてる内に春が来て無事卒業できた。反社会的とよく言われる僕は卒業式にも遅刻した。長かったようで短い……とは言えないな。いつも一人ぼっちで辛い思いばかりだった。っと介護福祉士の資格を手に入れたんだ。感無量だった。その時写した写真の写りがよくてまたご満悦だった。
ハローワークで仕事を探し始めた。後で知った事だが恩師の唐川先生から「文科君、就職決まりましたか?」と自宅に何度も電話がかかってきていたらしいのだが、父が全部揉み消していたようだ。父は仕事が長続きせず時折大酒をくらって僕にくだを巻くようになって生活が荒れ始めていたので心配だった。
そしてこう言った。「文科も資格を取った事だし今介護は引く手あまただろう?俺は少し旅をしてみたい。東京に行って一旗あげたいんだ」
意味が分からなかった。そう言って三日もしないうちに荷物をまとめ東京へと父は出発した。