第16部
「飲酒運転の検査してるんだ。」警官はそう言った。血の気が失せ顔が青ざめるのが自分で分かった。
「は、はい分かります・・・。」
「ちょっと呼気検査一応やるからパトカー乗ってもらえるかな?」
ボクは諦めた。だって焼酎ボトル一本近く空けてたから。
警官も酒臭いのには気付いているだろう。袋のような物の中に息を吐く。
「はい、0.15mg以上!確認して。酒気帯び運転」
そして赤紙を切られた。ボクが一番不安だったのは学校に連絡がいかないかそれだけだった。紙には嘘偽り無く書いたので。警察に見つかった以上じたばたしてもしょうがないだろう。
その後路上の歩道に出て真っすぐ歩けるかのテストをした後「で、どのくらい飲んだの?」と警官が聞いてきたので「焼酎ボトル一本です。」
と答えると
「え、そんなに?それなら酒酔い運転のはずなんだけどなぁ。とりあえず車を運転して帰らないでよ。また捕まるから。」ボクは代行を携帯で頼んで自宅に帰った。父は寝ていた。
北海道は既に初冬だった。飲酒運転の次の日も学校だったが足が無い。焦ってバスの時刻表を調べ上げ乗り継ぎありだがルートは見つけた。友達と呼べる人はもうその頃専門学校にはいなかったので車で登校していない事を気にする人は居なかった。二日酔い気味で息は酒臭く担任の先生も穏やかではない表情をしているような気がした。
バイト先にも電話しなくちゃ……。ピザ屋は車での配達が僕のメインの仕事だったので吊るし上げ喰らうのは確実。店長に電話をする。「すいません、スピード違反で捕まって免停になっちゃったんです。辞めなきゃならないでしょうか?」と涙ながらに話すと嘘なのに店長は「ははは、ストア業務もあるから辞めなくてもいいよ。」これは結果的にはボクにとって吉となった。ストア業務つまりピザの製造に関われれば仕事の幅が広がって居やすくなるから。
運送の方の仕事は場所が職業団地近くで僕の家からは10kmは離れていた。時間は夜、雪が徐々に降り始めるその中、自転車を冬タイヤにしてかなり厚着をしなければ凍えそうだし、サッカーで鍛えた自慢の両足も衰えていてきつくてしょうがなかった。