第12部
ボクは世界一不幸な男だ。整形は失敗した。瞼は常に痙攣し、鼻に入れたプロテーゼは飛び出し、鼻が無くなった。人からは奇異な目で見られ、親に整形した事がバレ、母親と同じく精神科に入れられる。そんな夢を整形してから5日後に見た。
明日が抜糸の日だな。包帯は既に取れているが、ガーゼはまだあてがっているので、まだはっきりどのような顔になったか分からない。次の日稲積美容整形外科に抜糸してもらいに自転車で行った。
「どうだい?」
うーん・・・。パッチリ二重だし、鼻も高くなったおかげで目と目が離れているのも気にならなくなっている。元々奥二重だったので時々まばたきし辛いがまぁ許容範囲だ。先生によればしばらくすれば気にならなくなるらしい。たぶん、たぶんだが前の顔よりカッコ良い。
「ありがとうございました。」
「何かあったらまた来て下さい。」
ボクは1日早いがウィークリーマンションの契約を解除し、地元に戻る事にした。車の運転をするのも仕事を探すのもその方が楽だろう。まず免許取得だな。貯金はまだあるのだが。不安な額ではあった。誰もいない実家に帰り、近くの自動車教習所に電話した。免許を取得するのに親から恥ずかしながら少し金を借りた。実はこの頃パチンコはCR機が台頭しだしスペックが不安定で中々勝てなくなっていたのだ。パチスロは四号機の末期で旭川市では等価交換の店が多く設定には期待出来なかった。設定1でも勝てるとうたわれていたクランキーコンドル、タコスロ、ワニ丸等は撤去され始め、CT搭載機は規制されノーマルタイプが主流となった。
免許は実技で一度落ちたが無事取得できた。