私、綺麗?
それは真夏の帰り道。
予備校の帰り道を一人の男子高校生が歩いていた。
街の中心と言えど、街灯もほとんど無い道。
道の下には、接近してきた台風のせいかごうごうと流れる川。
真っ黒な川を見ると一年前を思い出す。
そう、一年前のあの日。
嫌がる同級生の女子高生を、彼等は拉致して強姦し、絞殺した後に川へ投げ捨てたのだ。
遺体は半年後に発見されたが、腐乱していて誰か分からず、DNA鑑定でやっと判明された。
彼等は事件の大きさや、連日騒ぎ立てる報道にやっと自分達の罪の大きさがわかった。
あれは悪い夢だと決めつけ、彼等四人は会うことも無くなり半年。
何故か一人ずつ行方不明になって行った。
今では、最後の一人となった彼は明日は我が身かと奮えたものだ。
ばかばかしい。
一蹴りして、彼は家路へと急ぐ。
「私、綺麗?」
「は?」
後ろから声を掛けられ、彼が振り返ると、浴衣姿でずぶ濡れの少女が佇んでいた。
「……お前は……」
見覚えのある浴衣姿に、少女を見て彼は青ざめると一歩退く。
「貴方で最後よ。よくも……」
少女は彼にゆっくりと近付くと……
「この私を殺したわね?」
少女の顔がドロドロに溶けて骸骨になった。
「ぎゃあああああ!!」
彼は思わず絶叫し、それ以降……彼等の姿を見たものは居ない。
連日報道されるニュース。
犯人は捕まっていなくても被害者はちゃんと犯人の背に居る。
ゆめゆめ、犯罪を犯された人はお忘れなきように。
人の命を奪うことは、貴方の命を捨てると同じです。