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恋愛図書館  作者: よつば猫
5月
30/46

 今年も結歌の誕生日が訪れて……

例の如く、5月に贈られた本を開いた。


 対抗しちゃいましたっ!と渡されたその本は、花束の写真詩集で。

その花束達は、キミの笑顔みたいに鮮やかだった。


 写真の隣には、出会えた事やあなたのおかげだという感謝の詩が綴られいて……

切なくなるほど、ズキリとするほど、幾度となく共感してきた。


 そして見返しのメッセージには……

当時、目頭が熱くなるほど胸を打たれて。

幸せを感じながら、キミとの未来に心を突き動かされてたのに。

今となってはこの胸を、どうしょうもなく遣る瀬ない思いで締め付けられる。



《ありがとうのしるしに、メッセージ本を贈ります。


感動の誕生日をありがとう。

何もかもが嬉しすぎて、心の中は嬉し涙のどしゃぶりですっ。←カツオ醤油さんの名言を引用しました(笑)


改めて、たくさんの幸せをありがとね。

最っ高のラブレターも感激でした。

キザなんて言っちゃったけど、ほんとはもう本気でキュン死しちゃいそうでした!


クレープ美味しかったね。

カフェごっこも楽しかったね。

でもそんな食べ物の胃袋だけじゃなく……

道哉の愛の胃袋はちゃんと満たされてますか?

その容量は大きいですかっ?


安心して下さい!

私の愛情は、何回満腹にさせてもお釣りが来るはずですっ。

愛情ハングリーにはさせません。

失くした分まで、いっぱいいっぱい注ぎます。


そして消化されて、道哉の頑張るエネルギーになりたいです。

道哉の愛も、私のエネルギーになってるよっ。

このWエネルギーで〜〜?

2人の夢に向かって頑張ろーね!》



「結歌っ……

誕生日、おめでとう」


 キミは今、どこでどんな今日を過ごしてる?

どんな夢を描いてる?

その笑顔は曇ってないかな。

少しは俺の事も、思い出したりしてるかな。

もし思い出してくれてるなら……


ー愛情ハングリーにはさせません!ー

もうペコペコだから、早く戻って来いよ。


 なんて、あの時キミを拒絶しといて勝手だよな……


 マリちゃんには、同窓会って名目で結歌の実家に探りを入れてもらってるけど。

相変わらず居場所は掴めなくて……


 こう何年も姿をくらませてるなんて、もう戻って来ないつもりなのか?

それとも、戻れない理由が他にあるのか?

もしくは、何処かで幸せに暮らしてるのか……


 こうやってキミに辿り着けないまま、少しずつ思い出せない事も増えてって……

例えば、俺のラブレターをキザだって笑ったキミに何て言葉を返したのかも。

その後の記憶も曖昧で、他の思い出と被ったり。


 鮮やかだった思い出は、じわじわと色褪せて。

モノクロの時間は、想いを奪う事は出来なくても……

思い出をさらってく。


 何度もメッセージ本を読み返したり、必死に記憶を辿っても……

抗えない。


 あんなに忘れたかったのに、今は忘れないように頑張ってるなんて……

なんなんだろうな。


 たまにキミの名前を叫びたくなる。

届く筈もないのに、ただ無性に。


 あと何カ月、何年……

いったいどれだけ、こんな日々が繰り返されるんだろうっ……



 なぁ結歌……

俺はとっくに、必要ない?





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