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魔導図書館のroundabouts  作者: 飯塚 喆
魔導図書館のroundabouts
8/15

瑠璃色を綴ってfarewell…

 全てが終わったのだろうか。

 クラインで本を収納し、暗い森の中、私は空っぽの彼を担いでいる。彼は私のことを重いと言っていたが、その当人もわりかし重量があった。


 歩く。


 放浪の旅に出るまでも含めて、こんなにもこの森で長いこと暮らしてきたというのに、暗い木々は棒立ちの巨人のようで、怖い。


 歩く。


 私はあんなに得体の知れないものを心に示し、今の自分が存在していると納得できても、身近な木々に対する恐怖で心が揺れ動いている。


 極限なし。


 この星の夜は濃く、全ては0に収束すると思いきや、朝になれば、無限に発散するフリをする。


 極限なし。


 ふと見上げてみれば、宵は開け、空は丁寧に瑠璃色でペイントされている。

 収束と発散の隙間、つまりは混沌の時間帯。

 太陽が昇る前のちょっとした魔法みたいな時間。

 

「彼も、魔法みたく起きてくれればいいのに…」


 叶って欲しいと言霊にする。

 神様がいるのなら、私たちに祝福を。

 

「なーんてね」


 もうちょっとで図書館にたどり着けるだろう。考えるのはやめて、とっとと惰眠を貪ろう。泥のように眠って、何もかも忘れてしまおう。

 空の方を向いていた顔を、地面に縋って下にした。

 じんわりと目が熱い。

 肩も熱い。ん?肩も熱い?


「うそ…」


 肩の熱源の方の正体は、空っぽのはずだった彼だった。ぬくもりと脈が戻ってきている。

 担いでいたのをおんぶに変える。

 しばらく歩いていると、あくびが聞こえてきた。目を擦っている。

 

「……ほんっとに貴方は人騒がせね」


 さっきとは違う理由のせいで、目がもっと熱い。

 だから、わざと彼の顔を見なかった。

 彼は寝ぼけていたが、その震える声に眠気が吹っ飛び、完全に意識を取り戻した。


「迷惑かけてごめんなさい…なんて言えばいいか…」


 それを聞いて、彼を背中から下ろす。

 絶対に振り返らんぞという意志のもと、鼻声で言う。


「いい?そんなぐだぐだ懺悔する暇があったら、自分で歩い

 てちょうだい!貴方重いんだから!」


 よりそっぽをむいて、左手だけを後ろに伸ばした。

 彼は頷いてその手を握った。

 

 二人の先には立派な図書館が。

 建物の背後に朝日が昇る。

あーさにはーきーえたーあのうたーごーえをいつまでーもkeyてーたー…ハッ!すみません。ちょっと夢中になって歌ってました。

これにて本編は終了です。読んでいただいてありがとうございました。オマケもありますので、どうぞ宜しく。

(特別誤訳:どろり濃厚ジュース飲んでみたいなって思います。売ってたら教えてください。翼を生やして高野山まで飛んでいきます。)

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