ばーん・ゆあ・ぶっく
topic:アリス=フィロ=テオリア
(22歳児。うわなにをすくぁwせdrftgyふじこlp)
今の図書館のオーナーの名前。
家族や友人からはあだ名のような感覚で、
アリーと呼ばれる。
【魂弴力について】
葉隠雲母で詳しく語られる魔力とは違う力の概念。
魔導の操作、魔力の出力方法やパワーを調整するコードのようなものを思考・想像から汲み取る力。
ルーインはオーナーが起きたことを確認すると、森の入り口に今日は臨時休業という看板を置いた。
一方、オーナーはラフな服に着替えた後、図書館の裏側にある住処とは違うもう一つの離れに移動した。
昨日の無茶な転送が祟ったのか、ここにまで柱や壁中にヒビが入っている。
図書館から持ってきた年季が入った大きい紙を敷き、灰色の石壁で囲まれた部屋の上で瓶に入った魔獣の血を垂らす。血は紙の上で自然と円形の形に流れてゆき、そこから中心に向かって術式情報が刻まれていく。
術式の上に手を翳し、詠唱と演算を始める。
「地番磁気666獲得。
交信用の魔力パルスを送信。
エネルギー変換コード入力。
空間操作発動_______」
詠唱と同時に術式が光り、部屋中の大気が振動する。
術式の上に浮かぶのはホログラム。
「はー、いっつも疲れるのよねーこれ。なんであの面倒くさい人のためにこんなことしなくちゃいけないんだろ」
独り言を吐き捨てながら、肩を竦める。
「んー?誰が面倒だって?愛娘に言われるのって結構しんどいんだぞー?」
ホログラムから声がしたかと思えば、すでに娘から通信が来ることを予測していたかのように口髭の生えた壮年男性、父、いわば元オーナーの姿が見えた。
「やっほー!愛しのアリー♪」
「全く元気そうよね。まるで倒れたことが嘘みたいね。」
「そう悪態つかないでくれよー。僕だってずっとどっかを放浪してたお前が心配で心配で。嘘ついてまでこの図書館を託したんだぞ?」
いや、嘘だったんかい!とツッコミたくなる衝動を抑えて本当に話したかった内容を切り込む。
「それはそれとして、今回わざわざ通信したのはちょっと折り入った話があってさ」
「だと思った。いっぱいの目玉に取り憑かれた誰かに襲われたんだろ?アレの封印がもうそろそろ解けるかなーーって思ってたけど案の定だったねー」
愛娘が大変な目に遭っているというのに、このクズ親父は何故そんなに軽い感じでいられるんだろう。というイライラが込み上げてくる。第一に、この図書館を引き継ぐせるとき何も封印とかそんな大事そうなこと言ってなかったじゃん。と彼女は思った。
「ア゛---!もういいわよ。とにかく、何か解決方法は?」
「ない」
「はい?」
父が放った、たった2文字に唖然とさせられる彼女。
対して父は目を細めて、だってしょうがないだろという目線を送りながら言った。
「やだなー。解決する方法がなかったから封印に踏み切ったんだよ?」
全くの正論である。
と同時に、封印はかなり上級のスキル。大掛かりな転移ができた彼女でさえも成功したことはない。よって、解決方法はほぼ皆無に等しいということも示唆していた。
「じゃあどうしろっていうのよ!」
嘆きとやけくその念を以って叫んだ。
画面の前の父は人差し指でぽりぽりと後頭部をかいた。
「本当は一目散にこんな老害に頼らずに、自力で調べて解決して欲しかったけど。僕がそう教えてこなかったのが悪いな…すまない」
「な、何よ急に謝って。たしかに今のオーナーは私だし、もっと相手を観察すればよかったけどさ」
微妙な距離感が、まさに家庭的しがらみを体現していた。しばしの沈黙の時間がその長さを測っているようだった。
彼女と魔術陣以外何もない部屋。まった埃がホログラムの光を反射してはっきり見える。
沈黙を破ったのは父の方だった。
「まー、なんだ。せっかくこうやって話してる訳だし、ヒントくらいは教えておこう。正直なところ、解決方法はない。というのは嘘だ。だが、今から教えるのはどうしようもない時の緊急手段。なんせリスクが高いからな。本当の本当に困った時、書庫番号40のラベルℹ︎-Ⅷの本を見てみろ。奴の正体と封印の糸口が見つかるはずだ。」
「…わかった…けど、リスクって?」
「簡単に言うと、奴に取り込まれる。覚悟なしで本を開けば特に。仕組みはよくわからんが奴と本は一心同体。
僕は奴と戦った当時、本を開きはしなかったが一緒に戦ってた仲間が見たんだ。そして戻ってきた。だが、口を大きく開けて半狂乱になった。仲間は、なけなしの理性で僕に言ってきた。『俺は本の中で奴に半分魂を喰われた。奴は主人がいないから自分を見失っている。封印する方法はわかった。だから封印してじっと主人が迎えにくるまで待つしかない』ってな。それで半分の魂を全て封印用の魂弴力と魔力に変換して僕に注いだ。そして、やっと封印できたんだよ。
だから、逃げてしまう手もあったんじゃないか?結果的に諦めて逃げてくれることを期待していたから、絶対言いたくなかったんだけど。
アリーの威勢に負けて口が滑ったよ…」
重い記憶の蓋を開けた、能天気だったはずの父の顔は今までに見たことがない表情だった。
でも…だからって誰かがいつか、収拾をつけなければいけない日が来るのは明らかだった。
決心を固める。
「…親バカ。あのね!私は、そんな提案をするアンタみたいな逃げ腰じゃない。自分が遭遇した事件くらい、できる全てを使って解決するわ。今回通信したことだってそのための道具でしかないのよ」
目が心配そうになっているのが隠しきれていないが、父はいつものような笑顔を作った。
「わかったよ、健闘を祈る。死ぬなよ我が娘。」
「もちろん!というか、頑張って生き残ろうとしてる娘に死亡フラグぶっ刺すのやめてよ…」
「あ、そうそう。」
付け加えるようにして、父は彼女にとんでもない爆弾を残していった。
「お前の弟そっちに来てるだろ?タイミングが悪かったからな、お前が護ってやってくれ。子供二人一緒に死なれるのは親不孝だぞ。じゃあなー」
「え、ちょっ、ま、それってどういう…」
プツリ…通信は終了した。
同時にホログラムと魔術陣の光は消えた。
彼女は情報量が多すぎて頭がしばらくついていけなかったが、我に帰った時に父がやはり屑であることを再確認した。
というのも、オーナーは二人の姉妹の妹である。そして、母は17歳くらいの時に病気で死別した。
その経験を経て、母との『夢を叶える』という約束を果たすために努力した姉は、少し離れた国で成功し、ブティックを営んでいる。
その時、身近に残った家族は私と父。(まあ二人になってすぐにオーナーも父にキレて放浪の旅に出るのだが。)
よって弟などいるはずがないのだ。
オーナーは怒り心頭で地獄の気を纏う。それも、ただでさえ昨日の件で弱くなっている離れが崩れる勢いで。
さっきのシリアスな会話はどこにいったのでしょう。
まさに鬼の形相で、図書館に戻った。
お久しぶりでンタークリアマックス。随分と前からプロットは細かいところまで決まっていたのですが、書き起こす余裕が有らず…結局は4か月も後に文字に起こせるという…(実はこっちの方が葉隠雲母より構想に着手したのが早かったりします。世界観が爆発してあっちに妄想が入ってしまったのですがね。)
いやはや、もうすぐバレンタイン。え?私ですか?もちろん自分で作って経口摂取することでイマジナリーフレンドにプレゼントしますよ?
≪特別誤訳:おんたま生活200000日目。今日も長浜におんたまをスパーキンッ!夜おんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたまおんたま≫