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序章
憎悪のみに支配された人は強い。
愛情のために戦う人と同じように。
その鍛冶屋は何世紀もの間続いてきた。歴代の王の剣を造り、王家から長い間信頼されていた。その鍛冶屋の最高傑作と言われる剣がある。
埃自ら避けていくような、汚れなき真実の剣。それはいつしか「鏡の刃」と呼ばれるようになった。 その剣は強烈な感情の奔流、激動する時代の中に産声を上げた。それを作り上げたのは、一滴も濁りのない憎悪の感情だった。
職人はほどなくして、時の王に納めた鏡の刃によって殺され鍛冶屋の長い歴史に幕が降りた。
暴政の時代が始まるとともに、世界に剣は溢れたが、その「鏡の刃」を超えうる剣を造れる者はいなかった。
人々はその職人に敬意を払い、「最後の鉄鋼王」として革命の旗頭になった。
間違いなく、憎悪の象徴として。