しかし水、されど水
リメイク版一話です、他のはどんどん変えていきます
『・・・意識がある?』
俺がまだ自我が残っているのはすぐに気付いた、いや、むしろ何時間か失ってようやく目覚めたのかも知れないが、とにかく自分がまだ意識がある事には気付いた。
『・・・どういう事だ?あれは確実に致命傷だったはずだ、ならば僕は死んだと考えるべきだが・・・何故自我があるる脳が生命活動を停止したならばまず物事を考えるなんて事は不可能なはずだ、故に自我が残るはずないのだ』
この時俺は首を斬られた事からまず自分が死んだと仮定して何故意識が、自我が残っているのかを考えた、だがしかし完全に未知の現象の為、すぐに情報が足りな過ぎると結論を出した。
『そういえば転生システムだとかなんとかが聞こえた気がしたな、まさか・・・いや、そうと仮定すると辻褄は合うか?いやしかしどういう仕組みなのか?だが転生というからにはやはり死んだのか?そしてたしか『願い』だったか?それが曖昧だから種族等はランダムとなると言ってはいたがそうなると俺は人間では無い可能性が高いのか?いや、そもそもここは地球なのか?前が見えないし何も聞こえないし、感覚はなんか広くある気がすると言うことはまず生きてはいるが目も見えなく耳も口もない巨大な生物と考えるべきか?いやそれ以前に転生等と言うものが実在するならば何故生前ではそんな話題が無かった?情報統制?いや、まさか例そのものが無かった?ならばやはりここは地球では無い別世界と考えるべきか?ってか種族なんだ!?自分がでかいのはわかるが手も足も触手も尻尾も羽も何もかもが無い感覚がするぞ!?なんなんだ!?』
この時俺は自分に何が起きたかやどんな事になってるのかの結論を出すこと自体は早かったが、自分の感じたことのない感覚、巨大と言う事以外自分がどんな生物であるかと言う事が一切理解出来ないという事実が怖かった。
『感覚があるということは・・・やはり動いたが・・・触手だとかとはちょっと違うな、体の一部を伸ばした?全身が自由自在に動く?いや、内部まで動かせる!?と言う事は・・・少なくともまともな生物では無いのは確かか?だが体が流動性が恐ろしく高い事は分かったが軟体動物だとかとは全く別だな、感覚を感じた限りでは、そう考えると生物ではあるが体の大部分が液状化してる?』何故?仕組みが理解出来ない』
俺はまず自分の体を確認する事から始めた、まぁ、手も足もなければ耳も鼻も口すらもないからな、そして結論としてまずまともな生き物では無いと言う事だ。
『ふむ・・・ならばここまで体が自由自在ならばせめて目と耳はなんとか作って・・・てかこんな簡単に体を作り変えるなんて・・・そもそも生物としてどうなんだ?』
その疑問はすぐに解けることとなった。
次の瞬間映ってきたのはあたり一面の喉静かな森、しかし所々で地球では見られないような植物、生物がいる、そして生物達の体には、鱗があったり、宝石のような物がついたりする奴もいれば、腕がいくつもあったりする奴もいた。
そして自分を見下ろそうとすれば見えるのは巨大な湖であり、自分と思える生物は見えなかった。
『・・・認めたくはないが、いや、認めるべきなのか?だが、体が透明ならまだ分からなくもないが明らか違うっぽいし見えるのは湖、そして自分を動かす感覚と同時に水面も動く・・・あぁ・・・不本意だ、不本意だが・・・よりにもよって生物ですら無いものに転生って・・・いや、科学者の端くれとしては面白いか?だがしかし、認めたくは・・・でもいろいろ便利そうな不便そうな・・・』
俺は・・・どうやら湖として転生を果たしたらしい、科学者をやっていた為、この体は研究のやりがいはありそうだが、そもそもここからどうやっても移動すら出来なさそうだという現実から目を逸らしたくなってしまった。
『そういえばあの娘は大丈夫だろうか・・・ん?あの娘って誰だ?そういえば俺はなんであんな研究を始めたんだったか?う〜む、どうも転生のショックで記憶が欠けているのか?』
そのように自分の事を考えていると、森の向こうから真っ白いサイの様な角を生やしたドラゴンと言われる様な姿をした生物だった、ただ、ドラゴンと言っても翼等は無く、角の生えた巨大な白いトカゲと言った感じだろうか?
『やはりここは異世界と見るべきなんだろうな・・・ん?あいつ俺を飲む気か?まぁ、俺湖だし飲もうとするのは普通・・・アレ俺ヤバくね?あんなデカイのに飲まれたら体結構削れるんじゃね?』
やはりドラゴンというだけあって結構大きい為、あれに何度も飲まれたりしたら死ぬんじゃないか?と命の危機を感じたのでとりあえず飲む瞬間に体を引っ込めてみた。
「・・・?」
何度も飲もうとしても引っ込むせいで飲めないと言う事もあり、そのドラゴンは不思議がっていた、そして何を思ったのか四足の内の一本を俺に入れてきた。
『・・・ま・か?聞こ・・す・?聞こえますか?』
『っ!?頭に直接声が!?って頭無いんだった、じゃなくてこの声はなんだ!?』
その瞬間に聞こえた声に俺は混乱を隠せなかった、これもまた物理法則を完全に無視しているからである。
そしてまたあの声が聞こえた
『やはり意思がありましたか、普通の湖だと思って飲もうとしたら避けられるのでおかしいと思ったのですよ。しかし珍しいですね?見た目から見るにスライムの最上位種族の一種なのでしょうか?それとも意思ある物質ですか?でもここまで大きい物があるものなのでしょうか?』
『へ?スライム?意思ある物質?なんの事だ?ってかこれなんだ!?それに君も何なんだ!?』
意思ある物質?やはりこの世界特有の物質か何かだろうか?それ以前にスライムとかもいるのか?前の世界なら単なる粘着質なゲルと言ったところだが、この声が言ってるのはおそらく生物としてなんだろう、それ以前に話の内容からしてこの声の正体がこのドラゴンなのだろうか?
『そんな一遍に質問はしないでください、順番に答えますと私は貴方が何なのかを聞いてます、そしてこの声は私の能力である念話です、そして私が何なのかと言う質問に関して言えば私は近くの集落に住んでいる竜の一体でしょうか?名前はまだありません。』
『へ?この近くに集落があるのか?あと俺は自分の種族なんかは知らない、さっき意識が芽生えたと言うか起きたと言うかそんな感じだし』
『なるほど、ならステータスの開き方を知らなそうですしそれをやり方教えるので開いてみてください』
ステータス?自身の能力表みたいな物か?
『やり方自体は簡単です、自分に意識を向けて能力開示と唱えてみてください』
『わ、分かった。能力開示』
俺は戸惑いながらも指示に従う事にした、そうすれば自分が今どのような存在に転生してるかがわかるだろうしな
個体名:無し
種族:意識ある物質・神水
加護:異世界転生者の加護
Lv.1
HP:∞
MP:530000
攻撃:????
魔力:53
防御:0
魔法耐性:3800
特殊耐性:水属性完全吸収、火属性無効化、雷属性無効化、風属性無効化
スキル:吸収、液体操作、コピー、異世界言語、鑑定
魔法:無し
個体スキル:???封印中『開放条件:氷結』
称号:異世界人、転生者、水、ある種の天才、忘れし者、謎の転生を果たした者、ある種の才能を持つ者、偏りし者
・・・ふむ、とりあえずいろいろと確認したほうが良さそうだな




