2、そのとき~アリ君の場合 1~
短いです。
2、そのとき〜アリ君の場合 2〜
「着きましたよ〜。」
ミールック便の運転手は、乗客を下ろしながら、料金の請求をする。
彼は、ジャラリと金貨を渡した。
眼前には、神々しいまでの立派な神社が見える。
彼は、歩くのももどかしい、と、走りながら、波居る参拝客を押し退け、形振り構わずお社の扉に近づいた。
瞬間、
パアアアアッ
と、目映い光が辺りを照らした。
そして、お社の扉が開き、彼は光の中へと、吸い込まれていった。
一瞬ざわつく境内。
だが、そこに、
『信者の皆さん、ご安心ください。彼は私の客人です。皆さんへの加護は保証します。』
境内にいる人々の心に、スサノオ神の声が響く。
「なんだ。スサノオ様の関係者かい。スサノオ様の敵ではないんだねぇ。」
「びっくりしたなぁ。スサノオ様の声が聞こえるなんて、ありがてぇ話じゃねぇか!」
参拝客の方々は、今の一幕に、不快感どころか、信仰心を深めた様である。
さて。
『彼』こと、アリス・トートスを招き入れたスサノオ神に。
アリ君は、
「トリスにどうしても言わなくてはいけない事がある。ここに、彼女は来ていないか?」
と捲し立てた。
スサノオ君は、
「落ち着いてください。アリさん。確かに、ここに、彼女は居ますよ。着いてきてください。」
頗る落ち着いた態度で、座敷に彼を上げた。
明日も更新します。