第10、試練~彼の場合 8~
本日最後の十話目です。
10、試練〜彼の場合 8〜
トリスさんの活動停止、当日。
そろそろ、来るかな、と思い、僕は、準備を進める。
上等のお茶うけに、最高級の茶葉。
トリスさんは、彼が来る事を全く予期していない。
伝えた通りの、『万が一』に間に合わなかった時の為の御祓の行を、粛々と行っている。
無駄になって欲しいと、ちょっと彼らに肩入れし過ぎな自分が可笑しい。
最終確認の前に、2日前からのアリさんの様子を思い返してみた。
2日前。
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「くっ…異国で力の強くて、トリスと接点のある神…スサノオが一番確率が高いか…。しかし、アーサガさんが伝えた『後2日』とは、何だ!?ちょっと待て、自分。彼は私をわざわざ『軍師』と呼んだな。という事は、だ。トリス関係と見て間違いない。今の私を『軍師』と認識するのは、トリスくらいだからな。もっとも、連敗の事を知れば彼女は『軍師』とは見てくれないかも知れないが。トリスが頼る神…トリスに甘い神…軍師…後2日以内にスサノオの所まで行け、と言う事か!?」
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僕の神託は、うまく伝わったらしい。
昨日。
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「耶都へ行くには、もう時間が無い。だが、その為の軍資金は、何とかカジノで稼げた。こうなったからには仕方あるまい。身嗜みを整え次第、ミールック便を呼ぼう。ぼろぼろな所なんか、好きな女に見せる訳にはいかんからな。」
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一応、身形を整える、という最低限の礼儀を弁えるくらいには、トリスさんを女性と位置付けているみたいですね。
いいでしょう。
トリスさんにとっても、アリさんにとっても、必要な条件は整いました。
さぁ、時が来ました。神の試練の開始です。
ありがとうございました。
本日はここまでです。