9、試練~彼女の場合 4~
九話目です。
9、試練~彼女の場合 4~
遂に、私の休眠プログラムが発動するまで、後1週間を過ぎた。
スサノオ君は相変わらず、淡々と芸事を伝授してくれている。
時々、自室に籠って何か行っている様である。
そして、その直後に彼が私を見る目は、憐れみに満ちている気がする。
まぁ、それも見間違いかと思う様な、一瞬の事ではあるのだが。
「何か、あるのですか?」
どうしても気になった私は、スサノオ君に聞いてみる事にした。
「…なぁに、トリスさんの休眠の為の、準備ですよ。お気になさらず、やるべき事をしてくださいね。それから、休眠の儀式を執り行いますので、4日後からトリスさんにも御祓をしていただきます。」
「わかりました。清めの儀式ですね。」
わざわざ、私の休眠の為の準備をしてくれているとは、スサノオ君はとてもいい神様である。
ありがたくて、胸がいっぱいになった。
そして。
私は御祓の行に入った。
段々と食べる物を制限し、聖水で身体を清める。
祈りを捧げるように、心静に、お務めを果たす。
そんな中でも、ふんわりとアリ君を想う自分に、呆れてしまう。
(…どうしようもないなぁ…。何でこんなに、ワタシの中は、アリ君への想いでいっぱいなんだろう。でも、もう、苦しくないよね。私は、アリ君への想いに殉じようって、決めたもの。)