7、試練~彼の場合 6~
七話目です。
7、試練〜彼の場合 6〜
トリスさんの活動停止まで、後1週間。
外視鏡の様子。
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とあるレクスギルドで。
「トリスティーファ・ラスティンを探している。情報が欲しい。」
トリスさんの行方を探す、アリさんの姿があった。
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トリスさんの活動停止まで、後3日。
外視鏡の様子。
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湧水亭。
「おう!アリ!久しぶりだな。噂は届いてるぜ?絶不調なんだってな?」
ボーイのカイルさんが、元気にアリさんを迎え入れた。
「ああ。不調の原因であるトリスを探している。漸く此処までの足取りを辿って来たのだが、何か知らないか?」
ちっ、とカイルさんが舌打ちした。
「あんまし教えたくねぇなあってのが、俺の意見な訳だが。質問していいか?」
ボーイとして、席に案内しながら、カイルさんは他のメンバーに口封じを目配せながら問うた。
「何だろうか?」
改まって、姿勢を正してアリさんはカイルさんを見た。
「アリよぉ。お前は、トリスの気持ちに気付いてるんだよな?応えてやる気はあんのかよ?」
ぎゅっと手を握って、真剣な眼差しでカイルさんは聞いた。
「寧ろ、私がトリスに伝えなければならないんだ。…私はお前達がくっつくのが、あの子の幸せだと、思い込んでいたんだがな。」
珍しく心情を吐露するアリさんに、苛立ったカイルさんが声を荒らげた。
「今更かよ!アリ…あんなに一途に、トリスはお前しか見てねぇんだぜ?それは酷だろ。」
それを受け止めて、静かな様子で、アリさんも応じる。
「ああ。今更だな。だが、私も譲れんのだ。」
はぁ。と溜め息を吐くと、カイルさんは拳を握り締めた。
「取り敢えず、お前は水にでも入ってろ。」
「何故だ?」
(失恋決定の腹いせだよ!俺の気も知らないで!)
「問答無用だ!」
言うなり、どかっとカイルさんはアリさんの鳩尾に渾身の一撃をお見舞いし、トリエル湖へとアリさんを運ぶ。カイルさんは、そのまま、どぶん!と手荒くアリさんをトリエル湖へと放り投げた。
ごぼごぼと溺れるアリさん。
カイルさんは、ぷかぁっと浮き上がってきたアリさんを回収すると、また湧水亭へと引き返して行くとアーサガさんに告げた。
「親父。宿泊一名追加だ。」
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